目次
不動産投資の繰上返済のメリット
・ローンの支払総額を少なくできる
・返済期限が短くなる、もしくは月々の返済金額を抑えられる
・投資先の物件を効果的に増やすことができる
・キャッシュを効果的に使える
・金利変動のリスクを低減できる
不動産投資の繰上返済のデメリット
・必要なときに資金が不足するリスク
・低金利ローンだと効果が薄い
不動産投資の繰上返済のメリット
ローンの支払総額を少なくできる
繰上返済の最も大きなメリットは、支払う予定だった利息を減らすことができるため、ローンの総返済額を減らすことができることです。
返済期限が短くなる、もしくは月々の返済金額を抑えられる
繰上返済は後述する2つの方法があります。それによって、ローンの返済期限を短くするか、毎月の返済金額を軽減するか、どちらかが改善します。
例えばローンの完済時期が定年後に設定されている場合、万が一空室が続くと給与から支払うとができないので貯蓄から支払うといったことが発生します。返済期間を短くすることで、このようなリスクを軽減できます。
投資先の物件を効果的に増やすことができる
物件を所有後に、繰上返済を継続して行い、予定より大幅に早く完済したとします。完済後は、毎月の家賃がそのまま収入となります。となると次に「この家賃収入をどう運用するか」を考えることになります。
不動産投資の規模を大きくする方法として、繰上返済を行って完済期間を短縮することで2件目、3件目の物件購入を効率化していくという考え方があります。
2件目の物件についても不動産投資ローンを組んで購入します。そして、2件目に対しても繰上返済をします。繰上返済の元手には、1件目の家賃収入を加えます。すると1件目の返済よりも返済スピードが早まり、完済時期は1件目よりも早まります。
2件目を完済すると、3件目を購入します。3件目の繰上返済にも1件目と2件目の家賃収入を利用します。2件目よりも返済スピードが早まる、という方法です。
キャッシュを効果的に使える
手元に現金があるとあるだけ使ってしまう、という人には繰上返済は有効です。前月の生活費に余剰ができたら繰上返済に回す、というサイクルができれば無駄遣いを防げますし、返済を早めることで上記のような効果が生まれます。
金利変動のリスクを低減できる
経済の状況によってローン金利は変動するため、不動産投資の際にローンを組んだときよりも金利が上昇してしまうリスクがあります。金利が上昇すると支払利息が増えてしまうため、繰上返済によってできるだけ借入期間や返済総額を減らしておくことで金利変動リスクの低減につながります。
ただし、不動産ローンの金利タイプが変動金利ではなく、期間固定金利の場合はこの限りではありません。例えば、全期間固定金利でローンを組んでいるケースでは、市場の金利が変動してもローン金利は変わらないからです。期間固定金利は、変動金利に比べるとやや金利が高い場合が多いのですが、経済情勢の金利変動に左右されない、といったメリットがあります。 とはいえ、期間固定金利の場合でも、繰上返済をすることで返済期間や返済総額が減らせるメリットがあるのは先述した通りです。
不動産投資の繰上返済のデメリット
必要なときに資金が不足するリスク
繰上返済をしすぎた結果、生活に必要な最低限のお金しか残っておらず、急な出費に耐えられないということになったら本末転倒です。不測の事態に備えて、3か月〜半年分の現金保有は維持しましょう。
そのほかにも、所有物件の修繕費や金利の変動など、支出への備えは常に必要です。ローンの繰上返済は資金に余裕があるときにのみがいいでしょう。
低金利ローンだと効果が薄い
ローンの金利が低いと、繰上返済をしてもあまり効果が感じられない場合があります。同じ条件で金利1%と3%の場合の総返済額を比較してみました。
【金利の差による繰上返済の効果】
- 借入額:3,000万円
- 返済期間:30年
- 金利タイプ:元利均等返済金利
- タイミングと金額:借入れから2年後に200万円を繰上返済
(1)金利3%の場合
返済額軽減型 | 期間短縮型 | |
---|---|---|
毎月返済額 | 11万8,000円 | 12万7,000円 |
返済総額 (繰上なしの場合との差額) | 4,458万円 (-95万5,000円) | 4,310万円 (-243万4,000円) |
(2)金利1%の場合
返済額軽減型 | 期間短縮型 | |
---|---|---|
毎月返済額 | 9万円 | 9万7,000円 |
返済総額 (繰上なしの場合との差額) | 3,445万円 (-29万4,000円) | 3,412万円 (-61万8,000円) |
返済総額を比較すると分かるように、金利1%で借入れを行っている場合、期間短縮型を選んでも差額は61万8,000円にとどまります。3%の場合と比較すると、支払額の減少はおよそ4分の1程度です。
このように、もともと低金利のローンを利用している場合は利息の削減効果も薄いため、必ずしも繰上返済が効果的とはいえません。繰上返済にあてようと思っていたお金を別の投資にあてる方が、リターンが大きい場合もあります。