防災意識を持続的に醸成する工夫が課題
泉氏の情熱にひかれ、学生時代から災害支援活動をともにしてきた20代の若いメンバーでLIFEGIFTは運営されている。カタログに掲載するギフトの選定も全員で話し合いながら決めていく。
「LIFEGIFTが贈られるギフトシーンというのは、出産祝いや引越し祝いなど新生活が始まるタイミングが最も多い。そういうシーンを思い浮かべながら、時にはペルソナに近い人に意見を求めることもあります」
近年では、SDGsの流れから、ソーシャルな取り組みを模索する小売店も多く、そういったニーズにも応えたコラボレーションを展開している。2022年1月には、「阪急うめだ本店」(大阪府大阪市)の一角に、LIFEGIFT掲載商品の一部を展示した。
これからの課題として「防災意識を持続的に醸成する支援をしていきたい」と泉氏は語る。
「LIFEGIFTは、防災意識が『ゼロ』だった人に『1』を与えることはできます。でも、消火器を一本買ったから備えが完了するわけではありません。1を10に、さらに100にするための仕掛けも必要だと考えています」
そこで新たに開発したのが、備蓄食に特化した「LIFEGIFT FOOD」だ。セレクトした備蓄食が定期便で届けられるサービスで、「次に何が届くのか」を心待ちにしながら、防災意識を持ち続けることができる。

例えば、あるテーマについて、定期的に雑誌を購読し、最終的に一つの百科事典を完成させる「分冊百科」がある。LIFEGIFTも、一度ギフトを受け取ったら終わりではなく、「集める楽しみ」を喚起しながら、気づいたら防災対策が完了していた、という仕掛けも今後はありえるだろう。
社名の「KOKUA」とは、ハワイ語で「手伝う、助ける」という意味だ。阪神淡路大震災の前後に生まれ、学生時代に東日本大震災を体験した20代の若者たちが「KOKUA」のマインドで、「防災」の領域に静かなイノベーションを興しつつある。
提供元・DCSオンライン
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