SDGs(持続可能な開発目標)のトレンドを追い風に、ビジネススキームを活用して社会課題の解決を図る取り組みが、スタートアップから大企業まで広くみられるようになった。しかし、その中にあって「防災」は、日常での必要性を実感しにくいだけにビジネスモデル化が難しい領域とされてきた。その「防災」領域で「デザイン性の高い防災用品を集めたカタログギフト」の形で実現したのが、KOKUA(東京)が展開する、「LIFEGIFT」だ。災害大国・日本でもなかなか根づかない人々の防災意識を、いかに自然に、楽しく醸成するか。自身も学生時代に東日本大震災を体験したという代表取締役の泉 勇作氏に聞いた。

「防災×ギフト」で人気「LIFEGIFT」 3.11を経験した若者が起こす「防災イノベーション」
(画像=右側が創業者で代表取締役の泉 勇作氏。左側が広報や開発に携わる右腕の中山和也氏。、『DCSオンライン』より 引用)

災害大国・日本でも約半数が「防災対策をしていない」

セキュリティ・防災事業大手のセコムが2021年に実施した「防災に関する意識調査」によると、「あなたは何らかの防災対策をしていますか」との問いに対して「対策をしている」と回答した人は約半数の51.6%。「対策をしていない理由を教えてください」との問いに対して「具体的にどのような対策をすればよいかわからないから」との回答が50.8%を占めている。

毎年、全国各地で何かしらの地震や水害などが起こっているのに、約半数が防災対策をしていない――それが、災害大国・日本の偽らざる実態だろう。実際に被災した体験のある人はともかく、そうでない大多数の人にとっては、災害とはテレビの向こう側にある「対岸の火事」。防災への備えをしなければという気持ちはあっても、どうしても優先順位が後回しになってしまうものだ。

その防災用品を「ギフト」にすれば、興味のない人にも自然に受け取ってもらえて、防災について考えるきっかけにもなるのではないか――そんな発想から生まれたのが「いのちをまもるカタログギフト」LIFEGIFTだ。

「防災×ギフト」のアイデアでグッドデザイン賞を受賞

LIFEGIFTのカタログを開くと、災害時に必要とされる防災用品の数々が並ぶ。しかし、一見して、すぐに防災用品とは気づかないかもしれない。ランタンや充電ライトはインテリアとしても違和感がないし、モノトーンを基調とした消火器はリビングに置いても邪魔にならない。どの商品もデザイン性が高く、おしゃれな「ギフト」として成立しているのだ。

「防災用品である以上、災害時のさまざまなシーンに役立つという機能性はもちろんですが、それだけでなくギフトとして喜ばれなければなりません。そのためにもデザイン性にすぐれ、暮らしになじむものであることを、ギフトの選定においては重視しています」(泉氏)

いざという時に助けを呼ぶ「アクセサリー防災笛」も、香水などのガラス瓶をモチーフとしたもので、そのままペンダントにもなるユニークなプロダクトだ。このカタログギフトを受け取った人が、家族で楽しみながらグッズを選ぶ光景が浮かんでくるようだ。

「あなたの無事が、いちばん大事」がLIFEGIFTのキャッチフレーズだ。引越し祝いや出産祝いなどのライフイベントに、その相手を大切に思うメッセージを伝えると同時に、自然に防災意識を高めるきっかけを提供することができる。その着眼点が評価され、「2021年度グッドデザイン賞」にも選定されるなど、LIFEGIFTへの注目度は高まっている。

「防災×ギフト」で人気「LIFEGIFT」 3.11を経験した若者が起こす「防災イノベーション」
(画像=LIFEGIFTのブランドメッセージ「あなたの無事がいちばん大事。」が大切な人のライフステージに届けられる。、『DCSオンライン』より 引用)