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保育士の年収が低いとされるのはなぜ?
保育士の年収を上げるには?
保育士の年収が低いとされるのはなぜ?

『保育士の年収は低い』と聞いたことがある人も多いでしょう。なぜそう言われているのか、三つの観点から保育士の年収事情を分析します。
収入の変動がなく、財源確保が難しい
公務員保育士の給料は国によって定められているため、保育園の業績にかかわらず安定して給料が支払われます。しかし私立保育園の場合は少々事情が違います。
私立保育園の財源は、主に国や自治体からの補助金と保護者から支払われる保育料です。このうち児童一人当たりの保育料は『公定価格』で一律になっており、保育園側が自由に設定できません。
そのため私立保育園は財源確保がなかなか難しく、容易に保育士の給料を上げられないという事情があります。
利益優先で人件費が低く抑えられがち
かつて保育園は自治体や福祉団体などの非営利団体が運営していました。しかし現在は民間の法人も参入してきており、保育園でも利益を優先して人件費を削減しているところも多いことが事実です。
質の高い保育をおこなうには、運営コストの7〜8割を人件費に充てるべきと言われています。しかし、人件費を運営コストの5割以下に抑えている保育園が多く、必然的に保育士の給料が安くなってしまいます。
仕事量に対して給料が少ない
給料自体は決して低くないものの、業務量が多すぎるために「割に合っていない」と感じる人もいるでしょう。保育士の業務内容は、子どもの世話をすることの他にも多岐に渡ります。業務内容の一例は以下の通りです。
- 保育計画の作成
- 連絡帳の記入
- 行事の準備
- 遊び歌の習得
- 一般事務
このように業務量が多いことから、就業時間も長くなってしまいます。また、保育士の慢性的な人手不足から、休みも取りづらいといった事情もあります。
保育士の年収を上げるには?

給料が低いと言われがちな保育士ですが、年収を上げるために工夫できる点はいくつかあります。保育士として年収を上げるためにできることを四つ紹介します。
条件のよい職場を選ぶ
公立や私立、役職の有無以外にも、働く保育園によっても給与水準は異なります。また、保育士は人材不足が深刻化しているため、保育士を増やすために待遇を良くしている保育園もあります。
そのため勤務先を選ぶ際は、労働条件をしっかりとチェックしましょう。例えば、病院や会社のオフィスに入っているような小規模の保育施設よりも、保育園と幼稚園が一体となっている認定こども園の方が給与水準が高い傾向にあります。
給料だけでなく福利厚生にも注目すると、自分に合った保育園を見つけやすいでしょう。
公務員保育士を目指す
公務員保育士は、定期的に昇給やボーナスがあることがメリットです。また役職者の給与水準は私立保育園よりも高いため、キャリアアップを狙いたい人にもおすすめです。
また、公立保育園は私立保育園よりも、受け入れる児童の数や職場の環境が綿密に管理されているため、残業が少ないというメリットもあります。
ただし公務員保育士には年齢制限が設けられている点に注意が必要です。年齢制限は各自治体が設定していますが、昨今は人材不足から以前よりも制限が緩和されている傾向にあります。
キャリアアップをする
働いている保育園で昇進したり、資格取得による手当をもらったりすることで、年収アップができるでしょう。従来の責任者は、施設長と主任保育士に限られていました。
しかし、それではポストに限りがあり、昇進が難しかったことを受け、一般保育士と主任保育士の間に副主任保育士などのポジションが新たに設けられました。そのため現在では昇進による給料アップを狙いやすくなっています。
また保育士資格を持っていると、毎月の給料に手当が付きます。金額は保育園によって異なりますが、約5000〜15000円が相場です。
資格手当や家賃補助などの制度を利用
保育士は国や自治体、あるいは保育園から家賃補助を受けられます。家賃補助は下記の通りいくつか種類があります。
- 社宅に対する家賃補助
- 借り上げ社宅制度
- 毎月の給料と一緒にもらえる家賃補助
社宅は保育園が保有する住宅に格安で住める制度です。
また、借り上げ社宅制度は保育園が保育士の住む住宅を契約し、優遇価格で入居させてくれる仕組みで、中には本人負担額が1〜2割になるケースもあります。ただしどこに住むかは保育士が自由に決められません。
一方で毎月の給料に家賃補助が含まれているケースでは、保育士が自分で住む物件を選択できます。自分の収入に見合った物件を契約することがポイントです。