Amazonは、誰もが知るEC(電子商取引)の世界最大手だ。しかし、最近は「投資会社」としても注目されつつある。特に最近発表した決算で、そのような側面があることが明らかになった。

「株式評価益」の計上で純利益が倍に

2022年2月3日、Amazonは2021年10〜12月期の決算を発表した。純利益は143億2,000万ドル(約1兆6,500億円)で、前年同期の72億2,000万ドル(約8,300億円)から倍増した。

Amazonほどの超大手企業が純利益を倍にするのは簡単ではないが、今回それを実現できたのは多額の株式評価益を計上したからだ。具体的には、2021年10〜12月期に118億ドル以上の株式評価益を計上している。

Rivian Automotiveの株式を上場前に保有

Amazonは、EV(電気自動車)ベンチャーのRivian Automotive(リヴィアン・オートモーティブ)が株式市場に上場する前に投資しており、現在も同社の株式を保有している。

その後、Rivian Automotiveは2021年11月に米ナスダック市場に上場した。AmazonはRivian Automotiveが上場する前に安い価格で同社の株式を取得していたため、2021年10〜12月期の決算で多額の株式評価益を計上することができたわけだ。

2021年10〜12月期の純利益の金額が143億2,000万ドル、Rivian Automotiveの株式評価益が約118億ドル。「Amazonが投資会社になった!」と思う人は少なくないだろう。

グローバルな目線で有望スタートアップに出資

Amazonが投資しているのはRivian Automotiveだけではない。例えば、2021年8月にはインドのフィンテックの新興企業Smallcase Technologies(スモールケース・テクノロジーズ)に出資するなど、グローバルな目線でさまざまな分野の有望スタートアップに投資している。

このような企業が続々と上場して業績を拡大すれば、再び決算で多額の株式評価益を計上することになる。そうなれば、投資会社としての知名度もさらに高まるだろう。

次回のAmazonの決算発表は、2022年5月頃だ。純利益を確認する際は、その中に多額の株式評価益が含まれていないか、ぜひ確認してほしい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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