目次
登記変更に必要な書類
・相続登記に必要な書類
・生前贈与に必要な書類
・財産分与に必要な書類
・不動産取引に必要な書類
司法書士や土地家屋調査士などの専門家に登記変更を依頼するケース
・費用
まとめ
登記変更に必要な書類
登記変更を申請するためにはさまざまな書類が必要になります。相続、生前贈与、財産分与、不動産取引のそれぞれの場合で必要書類は異なります。以下、個別に解説します。
相続登記に必要な書類
相続によって不動産登記の名義変更を行う場合には、「法定相続分を相続する場合」「遺言書がある場合」「遺産分割協議を行った場合」の3種類があります。それぞれ必要書類が少し異なります。
法定相続分を相続する場合
法定相続分どおりに相続する場合は、遺言書も遺産分割協議書も不要です。基本的には相続関係を明らかにするための書類が必要となります。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
亡くなった方に関する書類 | 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本 | 法定相続人を調査するために必要です。 |
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 被相続人が死亡したことを証明するために必要です。 | |
相続する方に関する書類 | 相続人全員の現在の戸籍謄本 | 各相続人が生存していることを証明するために必要です。 |
相続人全員の住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 | |
その他の書類 | 固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 |
遺言書がある場合
遺言書の内容に従って不動産登記の名義変更を行う場合は、遺言で取得者と指定された相続人と被相続人の相続関係のみを証明すれば足ります。被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まで全てそろえたり、相続人全員の戸籍謄本をそろえたりする必要はありません。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
亡くなった方に関する書類 | 遺言書 | 自筆証書遺言と秘密証書遺言については家庭裁判所による検認を受けていることが必要です。公正証書遺言については検認不要です。 |
被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本 | それよりも前の戸籍謄本は不要です。 | |
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 被相続人が死亡したことを証明するために必要です。 | |
相続する方に関する書類 | 対象不動産を取得する相続人の現在の戸籍謄本 | その相続人が生存していることを証明するために必要です。 |
上記相続人の住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 | |
その他の書類 | 固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 |
遺産分割協議を行った場合
遺産分割協議によって不動産登記の名義変更を行う場合は、相続関係を明らかにすることに加えて、遺産分割が有効に行われたことも明らかにする必要があります。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
亡くなった方に関する書類 | 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本 | 法定相続人を調査するために必要です。 |
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 被相続人が死亡したことを証明するために必要です。 | |
相続する方に関する書類 | 相続人全員の現在の戸籍謄本 | 各相続人が生存していることを証明するために必要です。 |
対象不動産を取得する相続人の住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 | |
遺産分割協議書 | 相続人全員の署名押印が必要です。押印には実印が必要です。 | |
相続人全員の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書の署名と実印による押印、印鑑登録証明書を合わせて遺産分割協議が有効に行われたことを証明します。 | |
その他の書類 | 固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 |
生前贈与に必要な書類
生前贈与の場合は相続関係を明らかにする必要がないので、必要書類は少なくなります。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
贈与する方に関する書類 | 贈与契約書 | 登記原因を証明するために必要です。 |
印鑑登録証明書 | 贈与契約書と合わせて贈与の意思があることを証明するために必要です。 | |
登記済権利証または登記識別情報通知 | 対象不動産の所有者であることを証明するために必要です。 | |
固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 | |
贈与を受ける方に関する書類 | 贈与契約書 | 上記の贈与契約書と同じものです。 |
住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 |
財産分与に必要な書類
財産分与の場合は、夫婦が離婚したことと、財産分与の内容を証明することが必要です。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
財産分与をする方に関する書類 | 離婚協議書、または調停調書・審判書・判決書等の謄本 | 登記原因を証明するために必要です。 |
印鑑登録証明書 | 上記書類と合わせて財産分与の意思があることを証明するために必要です。 | |
登記済権利証または登記識別情報通知 | 対象不動産の所有者であることを証明するために必要です。 | |
離婚の記載がある戸籍謄本 | 離婚したことを証明するために必要です。 | |
固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 | |
財産分与を受ける方に関する書類 | 住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 |
不動産取引に必要な書類
不動産取引による場合は、売主と買主の人的関係を証明する必要がないため、必要書類は少なくなります。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
売主に関する書類 | 売買契約書 | 登記原因を証明するために必要です。 |
印鑑登録証明書 | 売買契約書と合わせて売買の意思があることを証明するために必要です。 | |
登記済権利証または登記識別情報通知 | 対象不動産の所有者であることを証明するために必要です。 | |
固定資産評価証明書 | 登録免許税の金額を算定するための資料として必要です。 | |
買主に関する書類 | 売買契約書 | 上記の売買契約書と同じものです。 |
住民票 | 名義変更後の登記簿に記載する名義人の住所を証明するために必要です。 |
司法書士や土地家屋調査士などの専門家に登記変更を依頼するケース
以上に解説してきたとおり、不動産登記の名義変更は必要書類をそろえて費用を支払えば、自分で行うことができます。
しかし、通常は自分で行うためには相当な時間と手間がかかります。相続の場合は戸籍謄本などの証明書類を収集するのが大変です。遺産分割協議書や贈与契約書、離婚協議書、売買契約書の作成も法的に必要な要件を網羅しないといけないので、自分で作成するのは難しいものです。
登記申請書も一言一句正確に記載しなければ受け付けてもらえないので、意外に大変です。
そこで、登記変更手続きは専門家に依頼した方が楽であり、安心できます。
安価で登記手続きを依頼できる専門家は司法書士か土地家屋調査士ですが、土地家屋調査士が依頼を受けることができるのは「表示に関する登記」のみであり、「所有権移転登記」を依頼することはできません。
したがって、相続や生前贈与、財産分与、不動産取引による不動産登記の名義変更を依頼するのは司法書士ということになります。
費用
司法書士に支払う報酬は、司法書士ごとの独自の報酬基準によって算定されます。事案の難易度や複雑度によっても異なります。
相場としては、登記手続きのみを依頼する場合は3万円~7万円程度です。上で解説した費用とは別にこの金額を報酬として司法書士に支払うことになります。
ただ、多くの司法書士が登記手続きだけではなく、必要書類の収集や遺産分割協議書・贈与契約書・離婚協議書・不動産売買契約の作成、遺産分割や離婚協議・贈与や売買の契約のサポートまで含めた料金を設定しています。
登記手続きに加えて必要書類の収集も依頼する場合の報酬の相場は7万円~15万円程度、さらに書類の作成やサポートまで含めた場合の報酬の相場は15万円~30万円程度となっています。
自分でできるところまでは行い、自分では難しい部分だけを依頼すれば支払う報酬を抑えることができます。
まとめ
実際のところ、不動産登記の名義変更は司法書士に依頼する方がほとんどです。一生に一度か二度しか登記手続きをする機会がない方は司法書士に依頼した方がいいかもしれません。
ただ、時間と手間をかければ自分でもできます。7万円~30万円の司法書士費用を削減できれば金銭的なメリットは大きいです。また、不動産投資をしていて登記をする機会がたびたびある方の場合は、勉強のために自分で行ってみるのもいいでしょう。
監修: 税理士法人 スバル合同会計
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
提供元・RENOSYマガジン
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