トヨタと同じ織機メーカーにルーツを持つスズキは、それまで培ってきた技術力を活かして、戦後から本格的にクルマづくりをスタートさせました。1960年代にはスズキ初の軽自動車「スズライト」が発売されましたが、高度経済成長のさなかにあった1970年にはどのような車種があったのでしょうか。今回は乗用車を中心とした当時のラインナップを紹介します。

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1970〜1979年のスズキ

戦後自動車メーカーとしてスタートしたスズキは軽自動車の開発に力を入れていました。一方で、1970年代には排気ガスによる公害が国内外で問題となり、クルマは多くの人に手が届く乗り物となると同時にセカンドカーなどの新たな需要が注目されていました。

こうした環境の変化に対応するため、1970年代にスズキは従来の実用的なクルマに加えて、価格を低く抑えた軽乗用車「アルト」や、エクステリア(外装)のデザインを重視した「セルボ」などのクルマをラインナップさせていきます。

主力車種を製造する湖西工場が完成し海外進出も!

スズキは静岡県浜松市を中心に複数の工場を構えていますが、そのなかでも最大級の規模を誇る湖西工場が1970年に完成し、現在に至るまでスズキの主要車種の生産拠点となっています。

また、1970年代には海外への進出が進み、1975年にはパキスタンでジムニーの組み立てを開始。さらに、ジムニーの海外モデルとして排気量を0.8Lに拡大させた「ジムニーエイト」を世界市場に向けて発売しています。

一方で、当時はクルマの排気ガスによる環境汚染が社会問題化し、1973年に第1次オイルショックが発生。環境性能に優れ燃費の良い軽自動車が注目されスズキに追い風となりました。さらに、1975年には軽自動車の規格が変更され、従来よりも大きなボディーサイズとなったことで、同時代のスズキの軽自動車は大きな進化を遂げていきました。

スズキ ジムニー(1970年)

スズキの全車種を紹介!スズキ徹底解説!(1970年~1979年)
(画像=『CarMe』より引用)

スズキ ジムニーは、軽自動車としては珍しい本格的なオフロード走行性能を持つクルマとして登場しました。

初代ジムニーはラダーフレームと呼ばれる車体構造やリジッドアクスルという頑丈な足回りを備えつつ、ルーフやドアに幌を採用し車体を軽量化したことで、普通の4WD(4輪駆動)車では立ち往生してしまう悪路や山道にも入ってくことが可能でした。

山林が多く、未舗装路が少なくなかった当時の日本では、ジムニーの優れた走破性が評価され、官民問わずさまざまなユーザーから支持を集めたと言われています。

開発にあたっては、当時日本に存在した自動車メーカー「ホープ自動車」「ホープスター・ON型4WD」というクルマをベースにしたとされ、そのコンセプトをスズキが引き継いで完成させたとも言われています。

スズキ フロンテクーペ(1970年)

スズキの全車種を紹介!スズキ徹底解説!(1970年~1979年)
(画像=『CarMe』より引用)

スズキ フロンテクーペは、1970年にフルモデルチェンジしたスズキ 3代目フロンテの派生モデルとして登場しました。初代フロンテは、商用車だったスズライトバンの乗用車モデルとして1962年に発売され、実用性の高さからスズキの軽乗用車シェアの拡大を担いました。

1967年には2代目へとフルモデルチェンジしますが、高度経済成長がはじまり軽自動車にも嗜好性が求められるようになり、3代目をベースにしたフロンテクーペは、それにふさわしい2シータークーペのデザインを持つクルマとして発表されました。

デザインはイタリアの工業デザイナーの巨匠、ジョルジェット・ジアウジーロのものをベースにしたとも言われ、スポーツカーらしいシャープなエクステリアが特徴的です。