東京を中心とした大都市圏、そしてアメリカでも不動産事業を展開するオープンハウスグループ。同社が2022年2月14日に発表した業績は、実に好調だった。2021年10〜12月の売上高は前年同期比51.7%増、純利益は同52.6%増。業績向上の理由は何だろうか。
近年はアメリカでの不動産事業にも注力
オープンハウスグループは、大手不動産会社だ。首都圏から名古屋圏、大阪圏、福岡県へと事業を拡大し、新築戸建の分譲やマンション開発、不動産売買の仲介の他、不動産投資なども手掛けている。
2017年からアメリカでも不動産事業を展開しており、主な顧客は日本人の不動産投資家だ。自社で「仕入」「販売」「融資」「管理」「売却」をワンストップで行っているため、日本人でも言語の壁に悩むことなく、アメリカの不動産に投資できる。
2021年10〜12月の売上高は2,352億円
オープンハウスグループの直近決算の数字を見てみよう。冒頭で触れたとおり、2022年2月14日に発表した2022年9月期第1四半期(2021年10〜12月)の売上高は、前年同期比51.7%増の2,352億5,500万円、純利益は同52.6%増の226億5,300万円だった。
四半期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|
2022年9月期第1四半期 | 2,352億5,500万円 | 350億4,100万円 | 354億1,800万円 | 226億5,300万円 |
2021年9月期第1四半期 | 1,551億1,900万円 | 193億9,400万円 | 206億4,700万円 | 148億4,200万円 |
米国不動産事業などの伸びが脅威の94.4%増
セグメント別の売上高の伸びをみると、特にどの事業が好調かわかる。注目したいのが、「アメリカ不動産事業など」の売上高が前年同期比94.4%増となっていることだ。
オープンハウスグループは、売上高が伸びた理由として「法人及び個人富裕層による純投資や資産分散等の需要が旺盛で、販売が好調に推移」したことを挙げている。
ちなみに日本マーケティングリサーチ機構の調べによると、オープンハウスグループは米国不動産の取引数・取扱高で、日本企業では2年連続1位となっている。アメリカ国内で管理している物件は、2022年1月末時点で3,000棟を突破している。特に管理物件が多いのがテキサス州の1,727棟、ジョージア州の859棟だ。
2013年の上場後、増収増益が続く
以下の表は、過去9年間の業績の推移だ。2013年に上場した後、連続で増収増益を果たしていることがわかる。
会計年度 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|
2021年9月期 | 8,105億4,000万円 | 1,011億300万円 | 975億9,000万円 | 695億8,200万円 |
2020年9月期 | 5,759億5,100万円 | 621億2,900万円 | 773億5,700万円 | 594億9,100万円 |
2019年9月期 | 5,403億7,600万円 | 577億8,100万円 | 549億2,800万円 | 394億700万円 |
2018年9月期 | 3,907億3,500万円 | 473億400万円 | 460億5,200万円 | 318億600万円 |
2017年9月期 | 3,046億5,100万円 | 376億1,700万円 | 361億3,100万円 | 247億9,700万円 |
2016年9月期 | 2,472億1,000万円 | 313億2,000万円 | 291億5,400万円 | 187億900万円 |
2015年9月期 | 1,793億1,700万円 | 213億円 | 202億9,400万円 | 126億3,700万円 |
2014年9月期 | 1,121億4,500万円 | 137億4,600万円 | 128億8,200万円 | 77億6,300万円 |
2013年9月期 | 969億9,900万円 | 101億8,500万円 | 91億7,900万円 | 56億6,100万円 |
今期も増収増益で着地する見通しだ。売上高の目標は前期比13.5%増の9,200億円。全セグメントで2桁成長を目指している。
中期経営計画ではセグメントの「選択と集中」をせず、全セグメントで成長を目指すと明言している。DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みも推進し、経営においてESG(環境・社会・ガバナンス)をより一層重視していくという。
最近は株価の下落が続いているが……
上場後、株価が右肩上がりのオープンハウスグループ。2021年下旬から現在まで、日本市場全体の株安もあって下落基調だが、それでも株式投資家の期待は大きいだろう。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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