<事例3c>JBpress 2021/08/14
◆【舛添直言】なぜ菅首相の「言葉」は国民の胸に響かないのか
原稿棒読みで気持ちこもらぬ言葉、これじゃ人流減るわけない
東京五輪が閉幕した。アメリカのバイデン大統領から大会の「成功」を祝福された菅義偉首相だが、菅内閣の支持率は最低を更新し続けている。
最大の理由は、もちろん、新型コロナウイルスの感染が拡大の一途を辿っていること。さらに言えば、この難局において首相が国民に向けて、意味あるメッセージをなんら発せていないことに対する大きな失望がある。
気持ちが込められているように思えないから首相に反発するなど、本末転倒も甚だしい思い上がった愚者の勘違いに他なりません。
さらに尾身会長は、精緻な科学的根拠もなく、日本の経済活動を徹底的に破壊した2020年春の人流抑制をもう一度行う必要があると日本社会に呼びかけました。
<事例3d>朝日新聞 2021/08/22
◆尾身氏、人流減「もう少し強くやる必要」昨春並み求める
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は22日、NHKの討論番組で、「人流、あるいは人々の接触の機会を(減らす対策を)いま一歩、もう少し強くやる必要がある」と述べ、踏み込んだ措置の必要性を訴えた。
新型コロナの爆発的な感染拡大について、尾身氏は「今までやってきたものよりもう少し強い対策を打たないと、(病床の逼迫が)大変なことになる」と指摘。人との接触の8割減や、幅広い業種への休業を求めた昨春の緊急事態宣言を「イメージ」として挙げ、「そういうことがもう求められている」と語った。
しかしながら、この発言以降に現実社会で思いがけないことが起こります。尾身会長の人流抑制の呼びかけとは正反対に盆明けから人流は増加し、逆に新規陽性者数は急激に減少したのです。この事実から人流と感染の拡大・縮小は無関係であることが証明されたものと言えます。この現象に対し、尾身会長は次のようにコメントしています。
<事例3e>Yahoo!ニュース・オリジナル 2021/09/28
◆第5波”はなぜ急激に減少したのか 尾身会長が語った5つの要素
尾身会長が示したのは(1)一般市民の感染対策強化(2)人流、特に夜間の滞留人口減少(3)ワクチン接種率の向上(4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少(5)気象の要因――の5要素。(1)は、あまりの急激な感染拡大と医療提供体制のひっ迫を目の当たりにした人々の間で危機感が醸成されたのではないかというもの。
(2)は、繁華街における夜間の滞留人口が「感染の推移と比較的明確に相関することが分かって(いる)」からだという。尾身会長らも、宣言発出前に比べて5割減とするよう呼び掛けてきた。「残念ながら5割には達しなかったけど、6週間以上、20%~35%くらいの減少。かなり低いレベルに維持された」と語り、感染状況の改善につながった可能性があると説明した。
一連の尾身会長の発言のうち、特に注目する必要があるのは(2)の発言です。尾身会長が2021年8月22日に訴えた「人流抑制」は国民全員を対象としたものでしたが、ここでは「人流」を再定義し「繁華街における夜間の滞留人口」としています。まさに尾身会長の言葉通りの徹底的な人流抑制を政府が行っていたら、日本は無駄に莫大な国富を失ったことは自明です。
さらに言えば、過去の人流抑制も実際にはほとんど意味がなかった可能性があります。感染症の専門家は、人流と実効再生産数はマクロに関係があるかのように主張してきましたが、時間遅れは全体を通して見れば、まさにバラバラです。マクロに関係があるかのように見えるのは、感染縮小の場面で緊急事態宣言を不必要に行ったことによって無駄に人流を抑制したためである可能性が大いに考えられます。
さて、現在において尾身会長は、感染対策を「人流抑制」から「人数制限」に再定義しています。
<事例3f>東京新聞 2021/06/18
◆尾身氏「ステイホームなんて必要ない」 人流抑制より人数制限を重視
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は19日、コロナ対策を繁華街への人出を減らす「人流抑制」から、飲食店などの「人数制限」へシフトすべきだとの考えを示した。専門家による「基本的対処方針分科会」後に記者団に語った。
専門家らは昨年の「第5波」の際には、人流抑制を主張していた。この日、尾身氏は「今までやってきた対策を踏襲するのではなく、オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ」と主張。「『人流抑制』ではなく、『人数制限』が一つのキーワードになる」との考えを示した。「今回は何でもやめるという、ステイホームなんて必要ないと思う。リスクの高いところに集中して、みんなで気をつけるということだ」とも語った。
まさに「人数制限」は、過去の発言と矛盾した総合的判断に基づく再定義であると言えます。このように、日本のコロナ禍では、専門家やワイドショーやコロナ脳や反コロナ脳による誤った総合的判断に基づくデマが飛び交いました。けっして誤りを訂正することなく、「再定義の誤謬」で主張をコロコロ変える彼らの無責任な態度こそが、日本社会を破壊したと言えます。
文・藤原かずえ講座
文・藤原かずえ講座/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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