もともとの感染者数の計算方法が違う

私は実はオミクロンの致死率はインフルエンザよりずっと低いと考えています。

まずインフルエンザの致死率はどうやって計算されるか。

インフルエンザは5類ですので、定点観測をしている特定の病院が感染者数を報告します。

こんな感じの週報です。

オミクロンは本当にインフルより致死率が高いのかを検証する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

定点観測をしている病院は以下の通りです。

インフルエンザ定点医療機関(全国約5,000カ所の内科・小児科医療機関)、及び基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の内科・外科医療機関)が届出をして、そこから人口比やそのほかの要素で統計的に日本全体の感染者数を推測します。

この計算式が変わりました。

従来、この全り患者数の推計は、「医療機関の施設数」を用いていたが、医療機関の規模が適切に反映されず、推計が過大となる傾向が指摘されており、 第21回感染症部会(平成29年6月19日開催)において、2018/19シーズンからは、「外来患者延数」を用いた推計方
法に変更することが了承された。
・ なお、2018/19シーズンからは、2017/18シーズンまでの全り患者数の推計と数値の比較を行う場合、2017/18シーズン以前のり患者数に、0.66(新推計方法に基づく数値への変換変数)を乗ずる必要がある。

オミクロンは本当にインフルより致死率が高いのかを検証する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

要するにかなり適当に推測していて、2018/19年から「医療機関の施設数」を用いていたが、「外来患者延数」を用いることになり、

2019年からインフルエンザの新規感染者数は急に0.66掛けになった

ということになります。簡単に言うと同じ死者数なら2019年からインフルエンザの致死率は1.5倍になったということなんです。

たとえば

オミクロンは本当にインフルより致死率が高いのかを検証する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

2018年の死者は3325人ですので、致死率は

3325/1458万 = 0.02%となります。もちろん年によって致死率はだいぶ変わるので厚労省は0.2~0.4%としているわけです。

ちなみにインフルエンザで死者が出ますと5類ですので届け出しないといけません。

イ  感染症死亡者の死体
指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、インフルエンザが疑われ、かつ、[1]のすべてを満たすか、[1]のすべてを満たさなくても[2]を満たすことにより、インフルエンザにより死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

その場合、以下の条件を満たすことが求められます。

オミクロンは本当にインフルより致死率が高いのかを検証する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

熱が低かったり、突然ではなくずっと前からだったり、上気道の炎症がないとインフルエンザでの死亡とは認められません。要するにコロナのように「直接の死因はコロナ以外」「コロナは軽症だがほかは重症でそちらがコロナで悪化した」ようなものは算入されません。

話が逸れました。

インフルエンザの感染者数は上記のように定点観測から仮に計算され、それも方式によって4割もかわる雑なものでした。計算方法は現在は

定点の外来患者延数×全医療施設の外来患者延数

というやり方。いままで、施設数(定点の施設数と全国の施設総数の比)を掛け算していたけど、それだと「定点に選ばれた施設はでかいところが多い→そのまま掛け算すると過大推計」になっていた。よって定点の外来でインフルと判明した人の比率を全外来患者で割って推定する。この場合、かかったけど外来に来なかった人はいないものとして計算されます。定点の病院で何%がインフルだったからこの期間の全外来のうち何人がインフルだったかというざっくり計算。

ではコロナはどうかというと

医療機関で検査を受けて陽性と判明した人

ということになります。街の有料、無料の検査では陽性になってもきちんとした医療機関で再検査しないと患者に算入されません。この場合、医療機関に行かずに治癒したような人は当然算入されません。

ではオミクロンではそのような人はどれくらいいたのか。

4000人弱のアンケートでは20%近くが自覚症状があったと・・・・

大阪府のデータでは市中感染は

オミクロンは本当にインフルより致死率が高いのかを検証する
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

と、無料、有料でかなりの差が出ます。普通は有料の方が高いはずですが、無料が抗原検査、有料がPCRが主体で感度(特異度)の差なのかも・・・謎です。

脱線しましたが、インフルもかかったけど病院に来ない人はいないものとして推定されます。だからオミクロンもかかっても病院に行かなかった人は算入されないのは同じですが、問題は

インフルは病院に行きやすいがオミクロンは行きにくい

ということだと思うんですよ。オミクロンで喉が痛い程度でも病院に行って確定されると家族ごと10日間の隔離。熱が高くて不安な人は病院にいって検査してもらうが、そうでないなら葛根湯でも飲んで治すという人が多ければ、実際のオミクロンの感染者数は検査した人の数よりずっと多くなります。わたしのTwitterアンケートではまさしくそんな感じです。

この場合は、オミクロンの致死率はインフルより相当に低くなります。逆にちょっとでも熱があったら怖い怖いと医者に駆け込む人、回りにうつしてはならないと気にしてすぐ医者に行く人がインフルよりずっと多ければオミクロンの致死率は高くなります。

つまり致死率の計算は病院にどれだけの人が行くかによってかなり左右されるため、コロナとオミクロンを比較しても実はあまり意味がない。わたしは「面倒くさいからオミクロンでは病院に行かない」という人のほうがインフルよりずっと多いと思うのですがデータはないです。

となると、死亡率(人口あたりの死者数)で判断するしかないです。

コロナの死者とされるのは1~2月で全国で5240人。これの60%が直接の死因ですから3144人。

上記のようにインフルエンザの死者も1月に集中して4ヶ月で3000人強という感じですから、死亡率はほとんど変わりませんよね。