自宅以外の家という意味では、別荘もセカンドハウスも共通していますが、目的が違えば、税の加算方法も変わります。日本や海外に別荘を所有した際の課税の仕組みや注意点を、「購入時」「所有時」「売却時」の3つのステージに分けて解説します。
目次
別荘とセカンドハウスの違いは?
・別荘やリゾートマンションについて
・セカンドハウスについて
・認められる条件は?
別荘購入時にかかる税金
・不動産取得税
・登録免許税
・消費税
別荘とセカンドハウスの違いは?
別荘とセカンドハウスは同じような意味にとられがちですが、税制上でははっきりと区別されています。新しく購入した家屋をどのような目的で利用するかで、税金が変わってくる点に注意しましょう。
別荘やリゾートマンションについて
「別荘」は大別すると、戸建て別荘とリゾートマンションがあります。
タイプは異なりますが、どちらも「保養」が主な目的です。日頃の疲れをリフレッシュするため、風光明媚なリゾート地に建設され、休暇の際に利用されることがほとんどでしょう。
リゾートマンションの中には、プール、スパなどの共用施設を設け、非日常的なアクティビティを提供しているところもあります。
セカンドハウスとの大きな違いは「日常生活の用に供しない」という点にあります。
セカンドハウスとは別荘以外の家屋で「週末に居住するため」や「遠距離通勤者が平日通勤のために職場等の近くに取得するもの」で毎月1日以上居住の用に供するものをいいます。
一方、別荘とは日常生活の用に供しない家屋で専ら保養の用に供するものをいいます。
つまり税務上はセカンドハウスは「住宅」であり日常用であるのに対して、別荘は非日常用、つまりぜいたく品として扱われるので両者間で税制上の特例適用において差異が生ずることとなります。例えば別荘もセカンドハウスも「固定資産税」などを払う必要がありますが、用途の違いで、税制の優遇度合いが異なってくるのです。
セカンドハウスについて
上述したように、別荘とセカンドハウスは税制上でも明確に区別されており、セカンドハウスには、以下のような固定資産税の軽減が設けられています。
- 住宅用地の特例(敷地部分)
- 新築住宅固定資産税軽減制度(建物部分)
住宅に係る固定資産税の特例には、住宅の敷地について固定資産税の課税標準額が最大で評価額の1/6減額される「住宅用地特例」や、要件を満たした新築住宅の固定資産税額の1/2を減額する「新築住宅固定資産税軽減制度」があります。これら特例の適用対象となる住宅とは、人の居住の用に供する家屋等で、別荘以外のものとなっています(都市計画区域内にある住宅につき課税対象となる都市計画税についても同様の措置があります)。
なおセカンドハウスの場合にはそのほかにも不動産取得税に係る課税標準・税率に関する特例や登録免許税に係る税率に関する特例の適用があります。
認められる条件は?
別荘とセカンドハウスは、外観だけでは区別がつきづらいです。セカンドハウスである住宅として認められるには、どのような条件や理由が必要なのでしょうか?
- 日常生活に欠かせない平日利用のための住居
- 少なくとも月1回以上、帰る必要のある生活の拠点
- 利用は定期的だが、通勤場所が遠距離のために必要である
つまり外見上は高級な家屋でも、仕事の準備や家族と過ごすために毎週末利用している、などの実態を示すことができるのならば、住宅であるセカンドハウスに該当することとなります。なお、日常的に利用しているかどうかについては、例えば毎月検針される電気の使用量や水道代金等をもとに確認されることとなります。
セカンドハウスとして認められ、かつ減税措置を受けるには、取得後、60日以内に「都道府県税事務所」へ申請を出す必要があります。
別荘購入時にかかる税金
セカンドハウスでない以上、税制上の優遇措置は期待できません。そのため、別荘購入前には、かかる全ての税金を把握しておくことが必要です。
まずは、「別荘購入時」にかかる3つの税金についてみていきましょう。
不動産取得税
売買、贈与などで別荘を取得、または新築・増設した際に、土地と建物それぞれに「不動産取得税」が課せられます。
- 土地・建物の税額 = (固定資産税評価額) × 4%
これは、不動産の所在する都道府県が課す税の類で、不動産取得時に1回だけ納めるものです。毎年課税される固定資産税と混同しないようにしましょう。なお土地部分は「宅地」に該当するため、2021年3月31日までは課税標準(固定資産税評価額)が1/2となる措置が講じられています。
なお、計算時に用いられる「固定資産評価額」については、各市町村の固定資産課税台帳で調べることができます。
納税通知書は、半年~1年後に届き、納期は都道府県により異なります。
登録免許税
上記の「不動産取得税」とこれから説明する「登録免許税」の2つは、別荘購入時に必要なまとまったお金です。あらかじめ準備をしておくとよいでしょう。
「登録免許税」は、所有権保存登記や移転登記の際に課される「流通税」です。
別荘購入の場合、所有者が売り手から買い手に移転するため「所有権移転登記」を行います。(別荘を新築した場合は「所有権保存登記」)
課税標準は、固定資産税評価額をもとに算出され、以下の方法で税額が決定します。税率は、贈与・売買・相続によって異なります。
- 登録免許税の税額=(固定資産税評価額)×(各税率)
- 印紙税
印紙税とは、不動産購入時の売買契約書やローン借入時の契約書に貼付する印紙代のことを指し、金額は不動産の売買価格によって異なります。ちなみに売買契約書を2部作成し、1部が単なる控え(コピー)である場合には原本のみが課税対象となります。
国税庁の印紙税額一覧表では、取引金額が100万円以上~500万円以下は2,000円、500万円以上~1,000万円以下は1万円となっています。
納付の際は、印紙税相当額の収入印紙を購入し、課税文書に貼り付ける方法をとります。
出所: No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
消費税
消費税とは国内における資産の譲渡や役務提供があった場合に課税されるもので現在の税率は8%となっています。
不動産の購入に際しては建物部分の購入代金や仲介手数料などに消費税が課税されますが土地部分は非課税となっています。