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50代からの専業YouTuber、不安はなかった?
作業量は1日12時間。専業YouTuberのリアル
50代からの専業YouTuber、不安はなかった?
少年B:
あとは50代で専業YouTuberになったということについてなんですが……。
数年前には「父さんな、会社を辞めてYouTuberになろうと思うんだ」なんてネタがインターネットで流行っていました。それはかなり揶揄した文脈の表現だったと思うんですが、実際にやってみることに、不安はなかったんですか?
鐵坊主:
はい、まもなく54歳になります。この連載では最年長じゃないですかね(笑)。
ただ、不安はそれほどなかったですね。専業YouTuberになろうと決めたのは、チャンネル登録者数が6,000?7,000くらいの時です。「JR西日本が赤字路線を徹底的に廃線にしたらどうなるか」という動画を出したら大きく話題になり、チャンネル登録や再生数が伸びているタイミングでした。
▲代表作の「赤字路線を全部廃線にしてみた」は大きな反響を呼んだ
少年B:
自分もその動画で鐵坊主さんを知りました。まだ1万人いかない段階で決められたんですね!
鐵坊主:
勝算が見えたんですよね。ある程度こういうことをやれば、視聴者さんもついてきてくれると思えたことと、コンテンツの持続性という意味でも、毎日の鉄道ニュースを拾っていけばいろんな切り口で続けていけるのでネタは尽きないだろうと。
あと、カナダに長年住んでいるので、一般的な日本人とは考え方が違うのかもしれません。
少年B:
と、いうと……?

鐵坊主:
日本だと、就職してから大学に入り直す、とかはあんまりないじゃないですか。いないわけじゃないけど、かなり珍しいことだと思います。でも、カナダではそれが当たり前のことで。大学に入り直して、全然違うキャリアに進むなんてことは日常的なんですよね。
私は1991年からカナダにずっと住んでるので、もうカナダの考え方が染み付いているのかもしれません。なので、50代からいきなりYouTuberになるのも、私としては決して特殊なことだとは思いませんでした。
少年B:
なるほど、我々にとってはびっくりするようなことですけど、それが当たり前の環境だと。

鐵坊主:
それから、ちょうど専業YouTuberとして独立を考え始めたくらいのタイミングで、一過性脳梗塞になりかけたんです。朝起きたとき、すべてのものが二重に見えて。
幸い2時間くらいで治ったし、病院にも行ったのでいまは大丈夫なんですが……。いつ手足や頭が不自由になるかわからないし、やりたいことはできるうちにやったほうがいいなとあらためて思いました。
少年B:
ご無事でよかったです。たしかに、やりたいことはできるうちにやったほうがいいですよね……。
作業量は1日12時間。専業YouTuberのリアル
少年B:
チームではなくひとりで動画を作っているとのことですが、どれくらい時間がかかるのでしょうか
鐵坊主:
資料を集めて解説する動画であれば、資料を探して読み込む時間を含めて10?12時間くらいです。バーチャルツアーなどの動画だと、工数がかかるので16?20時間はかかりますね。起きてる時間はほとんど何か作業してるか考えてるかです。
割がいいとはいえませんが、専業YouTuberやってる人は、ほとんどの人が同じじゃないでしょうか。正直、好きじゃないとやっていけない仕事だとは思います。たとえば乗り鉄動画をあげている人は、毎日のように電車に乗らなきゃいけないでしょうし。
少年B:
動画で稼ぐぞ?!なんて、軽い気持ちでやるもんじゃないですね……!

鐵坊主:
自分は1日12時間パソコンの前で作業してても苦ではないので、続けられている部分があると思います。
少年B:
動画投稿のペースとしてはいかがですか?
鐵坊主:
以前は週3ペースで投稿していましたが、最近は投稿ペースを上げています。これは純粋にお金のためなんです。
これはYouTuberはみんな言ってますが、1本の動画に対する作業量と再生回数は比例しないんです。ならば、投稿本数を増やしたほうがいい。やっぱり食べていかなくてはいけませんから。ただ、いまのクオリティを落としたくはないし、そのへんはちょっと難しいところですよね。
少年B:
鐵坊主さんは登録者が約4万人、動画は1つあたりだいたい2万再生~それ以上の数字を持っていますが(※2022年2月1日時点)、収入についてはどれくらいなんですか?

鐵坊主:
もちろん時期や動画によって幅もありますが、円にしたら20万円後半?30万円ちょっとぐらいじゃないですか。時給換算したら、1000円くらいにしかならないと思います。若い方ならいいかもしれないけど、50代の稼ぎとしては本当に少ないと思いますよ。
少年B:
まさかそこまではっきり教えていただけるとは!! 作業量からすると、もう少しほしいところですよね……。
鐵坊主:
ただ、YouTubeは新しいチャンネル登録者が過去の動画を見てくれるケースも多いように感じています。投稿頻度を上げて、チャンネルを続けていくことで、収益も増えていくとは思います。だから、クオリティを落とさずに動画の投稿数を上げるのがこれからの課題ですね。
ブログも「書いた記事が資産になる」のは同じなんですが、個人的には過去の記事はあんまり読まれないケースも多かったように感じていたので……。そこがYouTubeだと違うのかな?という気がします。