中国市場に関する考え方
チャイトピ:インバウンド需要が減少した現在、中国ビジネスチャンスをどう捉えていますか?
北井:中国市場のマーケットの変化は、我々の想像をはるかに超えるスピードで変わっており、とても難しいマーケットになっています。
ただ、OMOというマーケットが進んでいる中国で起きたことは、数年後に必ず日本で起きているため、中国でビジネスを続けていく必要性は強く感じています。
中国と日本でビジネスをしていて気づきましたが、日本・中国という国家間のギャップより、10~20代のZ世代と30代以降の世代間ギャップの方が大きくなりつつあると感じています。そういった意味で、今までは中国用・国内用とマーケティングを分けて考えていましたが、言葉が違うだけでお客さまの行動パターンに違いはあまりないと考え直し、両マーケットに取り組んでいきたいと考えています。
チャイトピ:中国市場に進出する日系ブランドの成功例もあれば、失敗例もありますが、中国で成功するには何が重要だと思いますか?また、日系企業の課題と優位性は何だと思いますか?
北井:成功するための重要性と日系企業の課題は同じだと考えています。日本企業は中国・韓国メーカーと比べ、圧倒的にスピードで負けています。OEMも含めたサプライチェーンのスピードも圧倒的に負けていると考えています。このスピードについていく事が成功のポイントで、我々日系メーカーが苦戦している所だと考えています。
チャイトピ:中国では国潮が90後や00後の若者を中心にブームとなっており、コスメ分野でも現地ブランドが綺麗な見た目と手頃な値段でたくさんのファンを獲得しています。中国のこの国潮についてどうお考えですか?すでに対策などは取っているのでしょうか?
北井:国潮化の流れは我々も19年末頃から感じていました。日本産等の訴求がお客さまに響かなくなってきたのも同時期からです。国潮化というと国内回帰という考えになりがちですが、pdcとしては中国のZ世代は「どこ産」という拘りがなくなりつつあり、SNS等を通じて、商品の効果やエビデンス、見た目や有名インフルエンサーのおすすめ等で購買行動をしだしたと考えています。
同時に中国産の化粧品のレベルが著しく成長したことも大きな要因ですが、国潮化≒中国産を買おうではなく、いいものが欲しい≒中国産≒国潮化と考えております。消費者に国潮化という考えが浸透したからという考え以上に、海外メーカーが、中国産のメーカーに、コスト・品質・スピードに負けた結果、国潮化が加速していると考えています。pdcは現地のトレンドに合わせた商品開発を視野に入れ、対応出来るようにしたいと考えています。
「酒粕パック」の使用感を調査

中国の消費者が酒粕パックをどう評価しているのか、筆者はpdc中国EC店舗のユーザーレビューや中国の友人に使用感を調査した。結果は以下の通りである。
・薄っすらお酒の匂いがして、新鮮感がある
・使用した後、くすみがなくなり、肌が明るくなった
・値段が安く、170グラムで10回ぐらい使える
・初代より2代目が洗い流しやすい
中国ではシート状のフェイスマスクが使用の利便性から長年マスク市場シェアの大半を占めたていが、近年では性能が重視され、洗い流すタイプのパックが人気を集めている。筆者も実際に使用してみたが、この点において、くすみ対策の酒粕パックは魅力的だと感じた。
また、中国では酒粕を化粧品の素材に使用するコンセプトはほとんど存在しない。パウチ容器のパックであることも珍しいため、一般的なものよりも水が入りにくく、衛生的である。この2点からも面白さを感じて購入する人も少なくないようだ。