目次
不動産所得がある場合の上限額
 ・給与所得と不動産所得を合算して計算される
 ・不動産所得がある場合は上限額が高くなる
 ・不動産投資が赤字の場合
 ・赤字の場合は上限金額が減る可能性も
 ・年間所得を予測してふるさと納税を利用する
不動産投資をしている場合は確定申告が必要
 ・確定申告で税金の控除・還付を受ける
 ・ふるさと納税で確定申告が必要な人は?
 ・ふるさと納税の利用と確定申告の流れ
 ・ふるさと納税の確定申告に必要なものは?

不動産所得がある場合の上限額

不動産投資をしている人のふるさと納税の上限と確定申告の流れを解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

不動産投資をしているケースでは、ふるさと納税の上限額はどのようになるのでしょうか。上限額の計算方法などについて、2つのポイントを説明します。

給与所得と不動産所得を合算して計算される

ふるさと納税はメインの給与所得だけでなく、副業の給与所得や事業所得、不動産所得といった所得を合算して計算します。上限額の計算をするときは、合算することを覚えておきましょう。

不動産所得がある場合は上限額が高くなる

ふるさと納税で控除できる税額は、寄付をした年の所得に応じて算出される住民税と所得税の金額によって異なります。納税額が多いほど、上限額も高くなります。

不動産所得がある場合、不動産所得と給与所得を合算した所得額をもとに住民税と所得税が計算されるので、納税額が上がり、ふるさと納税の上限額が高くなる可能性は高いでしょう。

不動産投資が赤字の場合

不動産投資をしている人のふるさと納税の上限と確定申告の流れを解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

一方で不動産投資を始めた初年度は、初期費などが多くかかって不動産所得がマイナスとなる可能性もあります。不動産投資が赤字の場合、ふるさと納税にはどのような影響があるのでしょうか。赤字が出た場合の問題点と対処法について解説します。

赤字の場合は上限金額が減る可能性も

ふるさと納税の上限額は、給与所得と不動産所得の合計額によって変わります。不動産所得が赤字の場合、給与所得からマイナスの不動産所得が引かれるので(損益通算といいます)、損益通算した結果の金額が所得となり、所得が減る形になります。課税対象となる所得額が少なくなると納める税金も低くなりますが、ふるさと納税の上限額にも影響が及ぶ可能性があります。

給与所得だけを念頭においてふるさと納税の上限額をシミュレーションしていると、想定していたふるさと納税の上限額をはみ出て利用してしまい、上限額を超えた分は純粋に寄付することになるかもしれません。

年間所得を予測してふるさと納税を利用する

ふるさと納税を利用する際に上限額を超えると、超過分は単なる寄付となる可能性が出てきます。給与所得者の場合は年間所得が予想しやすいですが、不動産所得が変動する可能性がある場合は、年間所得を予測しながらふるさと納税を利用しましょう。ただ、不動産経営は予測がしやすい投資とはいえ、年末近くになって「エアコンが故障した」「給湯器が故障した」ということも起こりえます。経費が余計にかかり予測の所得を下回る可能性もゼロではありません。

不動産投資をしている場合は確定申告が必要

不動産投資をしている人のふるさと納税の上限と確定申告の流れを解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

不動産投資をしている場合は、確定申告が必要です。そのため、後述しますが「ワンスストップ特例制度」は使えず、確定申告が必要となります。

確定申告で税金の控除・還付を受ける

不動産投資をしている人がふるさと納税による税控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告とは、1月1日から12月31日を1年間とし、年間の所得金額を確定して申告・納税する手続きです。

ふるさと納税で確定申告が必要な人は?

ふるさと納税を利用している人の中で確定申告が必要な人は、以下の条件に該当する人です。

  • 給与収入が2,000万円を超えている
  • 6つ以上の自治体にふるさと納税を行った
  • 給与所得を2つ以上の会社から得ている
  • 個人事業主
  • 住宅ローン控除を受けている
  • 不動産所得がある

例えば「5つの自治体にしか寄付していないからワンストップ特例制度が使える」と思うかもしれませんが、不動産投資によって確定申告をすると、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」による申告は無効となります。確定申告によってふるさと納税の控除をうけることになります。

ふるさと納税の利用と確定申告の流れ

ふるさと納税を利用して確定申告を行う場合は、以下の流れで進めていきます。

ふるさと納税で寄付を申し込む

ふるさと納税を利用する場合、まずは寄付をする自治体を選びます。寄付先を探す際には、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税の活用事例」を確認するのもひとつの手です。

また各社が運営するふるさと納税のポータルサイトでは、自治体名だけでなく返礼品の内容や人気ランキングから寄付先を検索できます。特に希望する自治体がなければ、興味のある返礼品やランキングで寄付先を選択してもいいでしょう。

寄附金受領証明書と返礼品を受け取る

寄付先が決まったら、ポータルサイトから寄付を申し込むのがスムーズです。自治体ホームページからの申し込みも可能ですが、自治体によっては支払い方法が限られており、電子決済に対応していない場合もあります。ポータルサイトを利用すれば、クレジットカード決済やコンビニ決済、通信会社の提供する電子決済などさまざまな決済方法が選択可能です。

ふるさと納税の返礼品は、申し込み後に事業者から送付されます。また、寄付した自治体から「寄附金受領証明書」が届くので、受け取ったら大切に保管しておきましょう。「寄附金受領証明書」は自治体がふるさと納税を受領したことを証明する書類で、確定申告時に添付書類として提出します。ただしe-Taxの場合は添付は不要となります。

確定申告をする

確定申告の期間は、原則として毎年2月16日〜3月15日の1カ月間と定められています(いずれかの日が土日である場合は日程が変動します)。確定申告を行うには、税務署窓口での申告や、確定申告の時期だけ自治体の役所に設けられる専用窓口での申請だけでなく、e-Taxを利用した電子申請も可能です。確定申告書は自身で作成することもできますが、書類を作成する時間が取れなければ、税理士に依頼してもいいでしょう。

確定申告が完了すると納税金額が確定します。ふるさと納税だけの場合は、税金の還付が受けられますが、不動産所得を申告した場合には納税することになります。納付は以下のいずれかの方法で行いましょう。

  • 税務署窓口での納付
  • コンビニ納付
  • クレジットカードでの納付
  • e-Tax
  • 振替納付

税金の控除・還付を受ける

確定申告が完了すると、所得税の還付分は1〜2カ月で入金され、減額された住民税は翌年6月に「住民税決定通知書」にて通知されます。所得税の還付をいち早く受けたい場合には、e-taxでの確定申告をおすすめします。e-taxを利用すると2~3週間程度で還付が受けられたり、窓口申請よりも早く確定申告ができたりとメリットが多いため、利用を検討してみてもいいでしょう。

ふるさと納税の確定申告に必要なものは?

ふるさと納税の確定申告に必要な書類は以下の通りです。

  • 不動産所得の申告に必要な書類(家賃収入などがわかる資料、不動産運営にかかった経費がわかる資料など)
  • 寄附金受領証明書
  • 源泉徴収票
  • ふるさと納税以外の控除(住宅ローン控除等)を受けるための書類
  • 口座情報(還付金の入金用口座)
  • マイナンバーカードまたは個人番号通知カード(e-Taxの場合)
  • 印鑑(e-Taxの場合は不要)