庶民の浄財を資金に44年かけて完成

(画像=<仁王門とその向こうに見える御本殿 © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)
側面から後方にかけての見学は有料となりますが必見です。拝観時間内の正時には、ボランティアガイドさんの説明を聞けるので、できればその時間に合わせて拝観することをおすすめします。約30分で、歓喜院聖天堂の歴史から彫刻があらわす故事まで、どこにも書いていない内容を実に詳しくレクチャーしてもらえます。それ以外の時間帯は、音声ガイドが流れます。
暴風雨や火災の被害を受けたのち、現在残る歓喜院聖天堂の再建が始まったのは、1735年(享保20年)のことでした。これは、日光東照宮の約100年あとにあたります。徳川家が命じた日光東照宮と異なり、歓喜院聖天宮の再建に関わる諸費用は、すべて近隣の庶民らの浄財を財源としたため、1779年(安永8年)の完成までに44年という長い年月を要しました。かかった工費は2万両だったと言います。
緻密な装飾に躍動感あふれる彫刻

(画像=<リスや猫も生き生きと © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)
奥殿の外側を覆いつくす装飾は、現地で実際に見て説明を聞くのが一番かと思いますが、ひとつだけ個人的に印象的だったことを挙げるとすれば、実在の動物の生き生きとした表情と、想像動物の彫刻の多さです。龍や鳳凰のほか、蜃(シン)、貘(バク)、玄武(ゲンブ)などもそこここに見られます。御本殿の表側には、鯉から、鯱(シャチ)、飛竜(ヒリュウ)と進化する様子も彫られていて、子どもも興味を持つに違いないと思いました。

(画像=<波の中、右から左へ鯉、シャチ、飛竜が見える © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)
妻沼聖天山歓喜院
所在地:埼玉県熊谷市妻沼1511
電話番号:048-588-1644
境内は常時開放
国宝聖天山堂拝観
拝観時間:平日10:00~15:30、土日祝:9:30~16:00(受付は拝観終了時間30分前まで)
拝観料:1人700円
無料ボランティアガイドの時間:基本的に10時、11時、12時、13時、14時、15時、16時(16時は4月~10月のみ)