埼玉県熊谷市と言えば、日本の最高気温を何度か塗り替えたことから、「暑い町」が代名詞になった感があります。とはいえ、1年を通してみれば、四季のメリハリもしっかりある土地。加えて何よりの魅力はその日照時間の多さ!年によっては日本一の快晴日数を誇る「晴れ」の町でもあるのです。

熊谷市は埼玉県の北部に位置し、東京駅から新幹線で40分弱、在来線でも都内から約1時間の距離です。江戸時代には中山道の宿場として発展し、明治初期には「熊谷県」の県庁所在地でもありました。

今日はこの熊谷市から国宝である歓喜院聖天堂と、「さくら名所100選」に数えられる熊谷桜堤をご紹介します。

目次
国宝に指定された歓喜院聖天堂
御本殿まで3つの門
庶民の浄財を資金に44年かけて完成
緻密な装飾に躍動感あふれる彫刻
平成の工事で蘇った色彩
荒川沿いの桜堤

国宝に指定された歓喜院聖天堂

晴れの町、熊谷の国宝と桜の名所
(画像=<まばゆいばかりの御本殿、奥殿の側面 © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

妻沼聖天山歓喜院(めぬましょうでんざんかんぎいん)は、熊谷市の北部に建てられた高野山真言宗の仏教寺院です。「斎藤別当実盛公が、当地の庄司として、祖先伝来のご本尊聖天さまを治承三年(1179年)にお祀りした」(聖天山パンフレットより)のがはじまりで、「実盛公の次男斎藤六実長が出家して(中略)建久八年(1197年)に本坊の歓喜院を開創した」(同上)ものです。JR熊谷駅からは、朝日バス6番乗り場から出ているバスで約30分。妻沼聖天前で下車してください。

御本殿まで3つの門

晴れの町、熊谷の国宝と桜の名所
(画像=<妻沼聖天山、貴惣門 © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

バス停から参道を進むと、御本殿(歓喜院聖天堂)までに、貴惣門、中門、仁王門の三つの門をくぐることになります。貴惣門は1851年竣工。3つの破風で成る非常に奇抜な意匠を特色とし、国の重要文化財に指定されています。上の写真は正面から撮っていますが、参拝の折には忘れず側面から眺めてみてください。

晴れの町、熊谷の国宝と桜の名所
(画像=<妻沼聖天山、中門 © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

2つ目の中門は、1670年の妻沼の大火を免れたもので、それゆえ聖天山最古の建造物でもあります。左右に金剛力士像が配された仁王門は1658年創立ですが、現在建っているのは、台風で倒壊した後、明治27年に再建されたものです。仁王門手前右手には、参拝者の休息用にベンチなどが置かれています。その奥の高台には、木々に囲まれた美しい多宝塔を望みます。

晴れの町、熊谷の国宝と桜の名所
(画像=<多宝塔 © Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

仁王門をくぐり抜けた先にようやく見えるのが、2012年国宝の指定を受けたご本殿(歓喜院聖天堂)です。日光東照宮と同じ権現造で、拝殿の後ろに中殿、奥殿が続きますが、日光東照宮と異なるのは、ここでは、表の拝殿よりも奥殿の方が煌びやかだということ。表にも色鮮やかな彫刻は見られますが、側面から後方にかけて施された絢爛豪華な彩色彫刻には及びません。