ロシア国民の間でプーチン氏への批判は強まって来る
しかし、今回の侵攻によるEUからの制裁の影響や人権を無視した今回の暴挙から人道的な意味でもプーチン政権の欧米からの孤立は免れないであろう。これまでEUにおいて親ロシア派のハンガリーのオルバーン首相でさえもロシアへの今回の制裁に賛成を表明した。
インターネットの時代にロシア国民の前にウクライナで起きている出来事が刻々と情報として伝わっている。ウクライナというロシアにとって兄弟国家を尊厳することもなく、人道面での尊重もない一方的なロシア軍の乱暴な攻撃が逐一情報としてロシア国民の前に披露されている。ロシアの国民は今後反プーチン政権への結束を高めることになるであろう。
そのような動きは反体制派指導者ナワリヌイ氏を支持する動きが大規模な抗議デモに発展したことで証明済みだ。今回はその再現の始まりであるかのように、早速反戦デモが起きた。また、軍人の間でもウクライナへの侵攻に反対しているグループがいることも明らかになっている。今回のウクライナ侵攻でロシア国内でもプーチン大統領への批判が強まって来るはずだ。
ロシア経済を支えている天然ガスへのEU加盟国の依存度は今のところ41%である。スペインの場合はアルジェリアからの輸入依存度が60%と高い。これを契機にEU加盟国の間でロシアからの天然ガスの依存度を次第に減少させて行くはずだ。
プーチン大統領政権がこの先18カ月で崩壊することはない。しかし、今回のウクライナへの侵攻を契機にこの先、同期間内にプーチン大統領に陰りが必ず現れるはずである。それが近い将来彼の政権の終焉を迎える要因になるであろう。
文・白石 和幸/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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