ミニストップは欧州産ポテトで客単価増を図る

ハンバーガーチェーンではありませんが、コンビニチェーンのミニストップ(ミニストップ株式会社 以下ミニストップ)も、ポテトを「増量」しています。人気商品「Xフライドポテト」の3倍の量が入った「バケツポテト」を2022年1月14日より発売。

使用するじゃがいもの品種は、欧州(主にドイツ)産の「アグリア」種。特徴は、細長いこと、そして、揚げると黄金色になること。美味しそうに見えるんですね。この品種も、フライドポテトに適しています。SNSでは、

ポテト難民の救い手

バケツ嬉しい

など歓迎する声がみられます。普通なら躊躇する大量のポテト。でも、「ポテトロス」の今なら、ためらわずに食べられるのかもしれません。

吉野家が牛丼販売をやめた理由

次に、この「ポテトロス」と酷似する、18年前の「牛丼ロス」現象を見てみましょう。

狂牛病(BSE)により、米国産牛肉が輸入できなくなったため、吉野家は、2004年2月に牛丼販売を停止します。当時の、吉野家牛丼ファンの喪失感は相当だったようです。販売最終日は数時間待ちの行列に。最後の一杯となった牛丼を食べる客は以下のように話していました。

美味しいんですけど、(残念で)喉通らないです

販売停止は、輸入が再開される2006年まで2年以上にわたりました。なぜ、吉野家は、米国産牛肉にこだわったのか。理由は、価格と供給量にあります。

吉野家が牛丼に使用していたのは「ショートプレート」という部位です。特徴は、脂肪が多いため旨味があること。そして安いこと。他国の牛肉では味が変わってしまう、という点も問題でしたが、価格も大きな問題でした。国産は高価ですし、オーストラリア産も部位別取引ができないため、高くなる。現在の売価で提供することができなくなります。

供給量も問題でした。吉野家の年間ショートプレート使用量は、日本の総供給量をはるかに超える。オーストラリアでも、この量全てを調達することは困難。もし、調達できたとしても、需要の急増に伴い価格が急騰してしまう。結局、米国以外ではこの量はまかなえない。米国から仕入れられない以上、牛丼販売は停止、という判断に至ります。

当時を振り返り、吉野家ホールディングス会長 安部修仁氏は以下のように述べます。

「”牛丼なしでもやっていけることを証明しよう”というチャレンジをすることにしたのです」
(株式会社 吉野家ホールディングス会長 安部修仁氏 )
牛丼を出せなくても吉野家が黒字を確保できた「たったひとつの理由」 17年前のBSE騒動で起きたこと | PRESIDENT Online
(2020/11/17)