3.南アフリカのオミクロン株

オミクロンの先駆的事例として、市中感染で急激に拡大しピークアウトをして、その後急激に収束したのが南アフリカです。

山火事理論でオミクロンの今後を予測する②
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

図2は、左が線形表示、右が対数表示で、新規陽性者(赤)推移と共に死亡者(青)のデータ、予測線(紫)が示してあります。12月上旬に山火事理論を用いて予測したものが水色破線です。山火事理論では、立ち上がりの情報から初期条件を決めると、ピークアウトの位置、大きさ、ピークの幅がすべて決まります。

従って、ピークの幅だけを狭めることは難しいのですが、実際に南アフリカのように幅の狭いピークが出現しているので、モデルに「感染発症はしないが免疫を獲得する効果」を新たに導入して、幅を狭くするメカニズムを実装しました(紫実線)。

それでも紫実線が限界です。データはより狭い幅を示しているので、これが、オミクロン株の特有の現象なのか、南アフリカの状況の特殊性なのか、今後の解析が待たれます。オミクロンとしては最初の事例なので、今後を予測する上でも重要な情報になります。

4.日本のオミクロン株の予測

山火事理論でオミクロンの今後を予測する②
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

図3に日本のオミクロン株の予測(1月7日再計算)を示します。左図上が実効再生産数Rtのデータ(青)と予測値(赤)、左図下が線形表示での新規陽性者のデータ(青)と予測値(赤)、右図は対数表示で、新規陽性者のデータ(赤)と予測値(黒)、死亡者のデータ(青)と予測値(黒)、60歳以上の新規陽性者のデータ(緑)と予測値(橙)です。

日本は現在のオミクロン株の拡大が始まる前が、日毎の新規陽性者が100人程度のほぼゼロコロナ状態だったため、オミクロン株の拡大が穏やかでしたが、正月明けの4日から陽性者数がほぼ垂直に上昇しました。7日の段階で6千人/日を超えました。

このような垂直上昇のようなデータから初期条件を推定するのは難しいのですが、一応、再計算して予測線を出してみました。この図(2022年1月7日予測)ですと、ピークアウトは2月中旬、1日最大6万5千人の陽性者で、その後収束という予測です。(前回の予測の約10倍です)