突然舞い込んできた、スペースポートプロジェクト
――大分空港をスペースポートとして活用するというニュースも度々耳にします。どのような経緯でVirgin Orbitの誘致に至ったのでしょうか。
宙畑メモ:大分空港とVirgin Orbit
大分県は2020年4月にロケットベンチャーのVirgin Orbitと、大分空港を水平型宇宙港として利用し、人工衛星を打ち上げることを目指す、パートナーシップ締結を結んだことを発表しました。
さらに、2021年11月にはVirgin OrbitとANAホールディングス株式会社(以下ANAHD)がパートナーシップ契約を強化。Virgin Orbitの機体の衛星搭載スペースの国内独占販売権をANAHDが取得しました。2022年以降の10年間で20回の打ち上げを目指すとのことです。
参考:
大分県、Virgin Orbitと提携しアジア初の宇宙港へ【週刊宇宙ビジネスニュース 3/30〜4/5】
ANAHDがVirgin Orbitと基本合意書を締結。大分空港からの人工衛星打ち上げへ一歩前進【宇宙ビジネスニュース】
堀:Virgin OrbitとANAHDが最初にパートナーシップを発表したのは、2019年6月のことでした。そのプレスリリースの中に「ANAHDは一般社団法人スペースポートジャパン(以下SPJ)とも国内における宇宙機離発着場に関する検証を行っており、Virgin Orbitの日本におけるサービス開始に最適な打ち上げ場所の選定に向けてSPJと協力し、日本がアジアにおける宇宙輸送ハブになることを目指します」という記載がありました。
宙畑メモ:一般社団法人スペースポートジャパン
日本にスペースポートを開港することを目的に活動を行う団体。会員企業としてANAHD、エアバス・ジャパン株式会社、株式会社電通をはじめ地方自治体やベンチャー企業など2022年2月時点で66団体が参画しています。
参考:
日本を宇宙旅行の拠点に。弁護士・新谷美保子氏が語るこれからの宇宙ビジネス
その後、2019年の夏頃に、大分県に「大分空港をスペースポートとして活用できないか」という話が来たのです。 ちょうど、ISTSの開催が決まり、そして髙山さんの活動も動き始めたタイミングでした。
宇宙に関心はありましたが、スペースポートというところには全く考えが及んでいませんでしたし、SFっぽい未来感のある響きでしたので、個人的には、20年、30年後ぐらいに実現するようなプロジェクトのような印象を受けました。
ところが、SPJの皆さんやVirgin Orbitの担当者と話をしているうちに、アメリカではスペースポートの運用が始まりそうな状況にあること、イギリスでもスペースポートの開港に向けた動きが始まっていることを知り、これは最初に受けた印象ほど足が長い話ではなさそうだと気付いたのです。むしろこのタイミングで何か取り組む必要があるぞと。

当初、スペースポートの取り組みと衛星データの利活用はリンクしていませんでした。大分空港から衛星を打ち上げようという話があるのであれば、衛星の使い道がなければ打ち上げの需要は伸びませんし、車の両輪のような形でスペースポートの運用と衛星データの利活用を進めていくことになりました!