光は色によって波長が異なるため、色に応じて生物や植物に異なる効果を示すことがあります。
たとえば、これまでの研究で、赤色の光は、植物の光合成の効率を上昇させることが分かっています。
そこでオーストラリア・ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の産業科学者アレクサンダー・ファルバー氏とアレクサンダー・ソエリヤディ氏は、光合成にとって効率的でない緑色の光を赤色の光に変換する材料を開発しました。
現在、赤い材料で農作物を覆うことで、その収穫量が最大37%増加すると分かっています。
彼らの会社「LLEAF Pty Ltd」は、新しい材料のメカニズムを解説しています。
目次
赤色の光が光合成の効率をアップさせる
光の波長を変化させる赤いプラスチックで農作物がよく育つ
偏った光で育った農作物は安全なのか?
赤色の光が光合成の効率をアップさせる
植物の光合成で重要な役割を担っているのは、光エネルギーを吸収する物質「クロロフィル(葉緑素)」です。
そして、このクロロフィルは波長が約400~700nmの光を吸収可能。
波長によって光の色は異なるので、光合成可能な波長域は、青色(400~500nm)、緑色(500~600nm)、赤色(600~700nm)の3つに大きく分類できます。
またこれまでの研究により、「クロロフィルの光吸収効率は波長によって異なる」と分かっています。
特に赤色の光は吸収効率が良く、緑色の光は吸収効率が悪いのです。
そこで研究チームは、「緑色の光の割合を減らし赤色の光の割合を増やすなら、光合成が促進され農作物の生産性が向上するかもしれない」と考えました。
そしてこの案を実現させるため、緑色の光を赤色の光に変化させる材料「LLEAF」を開発しました。