打上げサービスを展開するプレイヤー
SpaceX の Falcon 9 をはじめ、使い捨てロケットを含めると大型ロケットの打上げサービスには多くのプレイヤーがいます。

打上げサービスにおいては、価格や信頼性、オンタイム打上げなど重要視されるいくつかの観点があります。近年は、SpaceX の登場も相まって市場全体で大がかりな価格競争に向かいつつあるといえます。
一方で、打上げサービスにて50%のシェアを持つ老舗の Arianespace は、再使用化が最終的に信頼性と低コストの両立をできるか危惧しており、新型ロケットには使い捨て方式を選択し開発を進めています。
つまり、SpaceX や Blue Origin は再使用化による打上げコスト低減を目指し、Arianespace や三菱重工(及びJAXA) などは、従来の使い捨てロケットを踏襲し信頼性を担保したまま開発費や製造費を抑えるなど、組織ごとに様々な作戦がとられています。
実は飛行機よりも安いロケット
次にロケット自体の費用について考えてみます。そもそもロケットとは乗り物として高い買い物なのでしょうか?
ロケットと同様に移動用の乗り物である飛行機と比較してみましょう。

意外なことに、実は飛行機の方が 1 機当たりの値段は高いのです。つまりロケット自体はそこまで高い買い物ではないといえます。(注:飛行機、ロケット共に製品やメーカーによって価格は異なります。)
次に、1 回の使用にかかる費用を考えてみましょう。ロケットや飛行機などの場合はざっくりと以下のように考えることができます。
価格 = 開発費 + 製造費 + サービス費(打上げ/フライト) + 燃料費 + 利益
この中で特に大きな額を締めているのが、「開発費」と「製造費」です。
「開発費」は製造した1機1機に分担させて回収することが多く、たくさん作った方が 1 機当たりに載る開発費が安くなります。H-ⅡA の開発費は約 2000 億円、Boeing 787 の開発費は明言されてはいませんが、1000 億円以上といわれています。
「製造費」は機体を再使用する場合、その使用回数に応じて、1 回の使用あたりに載る製造費を安く見積もることができます。
つまり、ロケットは飛行機と比較して、製造数も少なく使い捨てのため、もの単体としては飛行機より安くても、1 回の使用にかかる費用は桁違いに大きくなってしまっていたのです。
飛行機の例から考えると、ロケットの1回使用あたりの値段を下げるには次の2つが考えられます。
①機体を沢山作り、1 機あたりに載る開発費を安くする、使い捨て方式
②作った機体を再使用し、1 回あたりに載る製造費を安くする、再使用方式
このような背景から、再使用ロケットによる低コスト化という構図が生まれてきたことになります。