不動産投資には、多くのメリットがあります。そしてデメリットもあります。不動産投資を始める前には、メリット・デメリットを含め全体像を理解したうえで始めることをおすすめします。

目次
不動産投資のメリット
 ・他人のお金で投資ができ、家賃収入で返済ができる
 ・資産ポートフォリオに組み込むことで運用の幅が拡大
 ・節税効果が得られる場合がある
 ・安定した収入
 ・私的年金の形成
 ・生命保険、死亡保険として活用できる
 ・インフレのリスクヘッジができる
不動産投資のデメリット
 ・必要資金・初期費用がかかる
 ・ランニングコストがかかる
 ・空室時は家賃収入が入らない
 ・流動性が低い

不動産投資のメリット

不動産投資とは、投資目的で不動産を購入し収益を得ることです。株式投資やFXではなく、あえて不動産投資を選ぶメリットとは何なのかを考えてみましょう。

他人のお金で投資ができ、家賃収入で返済ができる

投資をする場合、通常は自分の手持ちのお金を使って投資商品を購入します。しかし不動産投資の場合、不動産投資ローンを使って借入れをすることで、手元にあるお金をそれほど使わず投資をすることができます。ここが不動産投資の大きな特徴です。

またローン返済には家賃収入をあてるため、「他人のお金で資産が増やせる投資」ともいわれます。

例えば2,000万円の価格の不動産を、借入期間35年、金利1.9%の不動産投資ローンを使って購入したとすると、次のようになります。

不動産購入価格:2,000万円
家賃収入:月額8万円(年間96万円)
ローン返済:月額約6.5万円(年間約78万円)

毎月のローン返済は、家賃収入でまかないます。ローン完済後は、家賃収入が自分の収入になるという仕組みです。

なお上記試算はそのまま手元に入ってくる金額というわけではなく、実際にはローン返済のほか、固定資産税、管理委託費、火災保険、地震保険などのランニングコストを差し引いた金額が手元に入ってきます。

資産ポートフォリオに組み込むことで運用の幅が拡大

不動産投資は不動産投資ローンを活用することで、手元のお金を使わず投資ができます。資産運用を考える際に、自分のお金を使った投資のみをポートフォリオに組み込む場合、手元の資金が枯渇すれば、新たな投資商品を購入するのが難しくなります。

しかし不動産投資ローンを活用することができれば、「手元にあるお金を使った投資」にプラスして、「別の手段で不動産投資」という選択肢を組み込むことができます。

また現物の不動産という実物資産をポートフォリオの1つに組み込むことで、実物資産と金融資産の2方面から資産を増やしていくことが可能となり、リスク分散にもつながります。

節税効果が得られる場合がある

税制の面でもプラスになる場合があります。不動産投資によって得られる収益(不動産所得)は、給与所得と合わせて「一つのかたまり」として扱われます。不動産投資の収益がマイナスになった場合、ほかの所得の黒字分と相殺する損益通算が適用されます。相殺することで給与所得が減る形となるので、納める税金が結果的に少なくなることがあります。特に購入初年度には節税となる場合が多いです。

不動産投資では、かかった経費を確定申告時に計上しますが、購入した不動産価格は1度には経費に計上できません。どうするかというと、毎年減価償却をする、つまり少しずつ経費計上していきます。建物の価格を経費として計上すると、キャッシュフローは黒字のまま、帳簿の上でマイナスになることがあるので、この場合も結果的に節税となることがあります。

ただ、節税対策として不動産投資を行うのは適さないことがある、ということも理解しましょう。詳細は以下の記事を参考にしてください。

安定した収入

不動産投資の利益の一つである家賃収入は、毎月大きく変動するわけではありません。例えば、賃貸契約が2年ごとに更新ならば、その間の家賃は安定しています。株式投資などは市場の影響を受け株価は刻々と変動しますが、家賃は一定のため、ある程度の収益予測を立てることができます。

見込める家賃の価格が安定しているという意味で、不動産投資は安定した収入が得られるといわれています。不動産投資ローン完済後、安定した収入源となります。

私的年金の形成

金融庁が2019年6月3日に発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」で話題になった老後2,000万円問題。老後2,000万円分足りなくなるという試算があり、また公的年金の受給開始年齢はどんどん引き上げられ、受給額も目減りするなど、老後に備えた投資の必要性が活発に議論され始め、投資を考える人が増えています。

生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後に必要な生活費が36.1万円、総務省「令和2年度 家計調査年報 高齢夫婦無職世帯」によると、高齢の無職夫婦世帯の1カ月の平均収入は26万円というデータが出ています。

この不足分を補う役割として、安定収入が見込める不動産投資が注目されているというわけです。不動産投資ローン完済後、家賃収入を私的年金として活用できます。

生命保険、死亡保険として活用できる

不動産投資に不動産投資ローンを利用する際、基本的に団体信用生命保険への加入が必要です。この団体信用生命保険は、不動産投資ローンの返済中に投資家本人が死亡・高度障害などになった場合、ローンの残債が免除されます。

不動産は手元にそのまま残るため、売却して生命保険代わりに利用することもできますし、保有し続けて家賃収入を得ることも可能です。

インフレのリスクヘッジができる

インフレとはモノの値段が上がり相対的にお金の価値が下がることです。現金を不動産に換えておけば、物価とともに不動産の価格も上昇し、価値が目減りしません。同様にデフレの影響も受けにくく、安定資産として価値があるといえます。

不動産投資のデメリット

不動産投資にはデメリットやリスクも数多くあります。しっかりと把握したうえで始めるようにしましょう。

必要資金・初期費用がかかる

不動産投資を始める際、ここでは区分マンションの場合を例に挙げますが、購入に必要な自己資金の目安は10万円から100万円程度です。不動産会社から直接購入するか、不動産会社を介して購入するか、また実際には不動産会社や物件により異なりますが、ある程度のまとまったお金は必要です。また、金融機関からの借入金も数千万~数億円単位になるため、金利の変動リスクなども負うことになります。

ランニングコストがかかる

不動産投資は物件を購入して終わりではなく、運用していく中でさまざまなコストがかかってきます。マンションの場合には、大規模修繕の際にかかるお金を修繕積立金としてプールしておく修繕コスト、管理を管理会社に依頼する管理コスト、固定資産税・都市計画税などの税コストなど、購入してからも維持のためにある程度のお金が必要になります。

空室時は家賃収入が入らない

空室になってしまった場合は、収入がなくなってしまいます。しかし借入れをしている場合にはそのローン返済が、また固定資産税、マンションの場合には管理費や修繕積立金などもかかるため、新しい入居者が見つかるまでは自分の財産を切り崩さなければなりません。

GA technologies(GAテクノロジーズ)が運営する「RENOSY不動産投資」では、入居率99.75%、平均空室期間26日と安定した運用を実現しています(2021年3月25日時点)。

流動性が低い

株式投資であれば、株式市場が開いている時間に売買ができます。売りたい人と買いたい人の数も多いため、比較的時間をかけずに希望の金額での売買が可能です。

一方、不動産物件を売却しようとしたとき、株式の売買に比べて時間はかかります。不動産という、唯一無二の存在として実在する物件を買いたい人を探す必要があるためです。

通常は、不動産会社を通じて市場で買い手がつくまで待ちます。買い手が見つかったあと、売買契約を交わす手続き等があり、売却には時間と費用がかかります。この場合には、少なくとも2〜3カ月はかかります。

不動産会社が直接買い取る場合には、手続きの手間も費用も時間も少なく、最速1週間くらいで売ることができます。ただし売却価格は、仲介の場合に比べて安くなる傾向があります。