最近、「SDGs」というキーワード、よく耳にしますよね。
なんとなく「環境に優しくしよう」「社会に良いことをしよう」といったことを想像される方も多いと思います(この理解は間違ってはおりません!)。
では、
・SDGsって曖昧な概念だと思っていませんか?
・SDGsとビジネスと聞いてピンときますか?
・関連キーワードである「ESG」の意味は分かりますか?
と言われるといかがでしょうか。
この記事では近年のホットワードである「SDGs」とは何か、また、関連するキーワードである「ESG」について、できる限り分かりやすく、よくある勘違いも含めてご説明します。
また、SDGs及びESGに関する取り組みが盛んになることにより、どのようなビジネスチャンスが生まれるかについても、事例も踏まえてお伝えしますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
(1)SDGsとは、その定義とよくある疑問、勘違い
まず、「SDGs」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月の国連サミットで採択された、「誰一人取り残さない」を原則に置いた国際目標で、国連加盟193か国が2030年の15年間で達成することを目指すとされています。1972年に開催された国連人間環境会議で採択された人間環境宣言など、持続可能な開発に関する計画の流れを汲むものです。
SDGsは17の目標があります。SDGsのが普及した背景の一つとして「わかりやすさ」が挙げられます。カラフルなアイコンと明確な定義を元に、社会課題のフレームワーク・ツールとして提示されてきました。17の目標を細分化した169のターゲット(具体目標)も存在しております。

Source : mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/about_sdgs_summary.pdf、『宙畑』より引用)
SDGsですが、「ビジネスとは関係ないでしょ?」や「曖昧な概念でしょ?」のような疑問や勘違いが多く聞かれます。上述のSDGsの定義と合わせて、そんな疑問や勘違いを解消していければと思います。
ESGとはなにか
SDGsとセットで語られることが多い「ESG」は、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った3つの要素に着目して投資をしましょう、という「投資の観点」です。
ざっくりと言えば、ESGとは「投資家がSDGsを達成するために投資をする際の観点」となります。
始まりは、2006年に国連の事務総長だったコフィ・アナン氏が、人類として地球の長生きに貢献しようとしているのに、投資家が短期的な投機目的で活動してはだめだ、ESGの観点から投資せよ!というメッセージを「責任投資原則」(PRI)にESGの観点を組み込むことで投資家に呼び掛けたことでした。
その後、2008年に起こったリーマンショックをきっかけに、短期的な利益を追い求める投資の方法に対する反省や批判が高まったことが、投資家のPRIへの署名を加速させました。現在は世界最大の資産運用会社であるブラックロックを初め、2020年8月時点で3332の年金基金や運用会社等がPRIに署名しており、日本では85機関が署名、その運用資産残高の合計は103兆ドルに達しています。
企業はこのような環境の変化を受け、SDGsを踏まえた経営・事業の構築をはじめることとなりました。つまり、ESGとSDGsについてはSDGsが目的であり、ESGが手段であるとも言えます。

SDGsって曖昧な概念?CSRとの違いは?
次は、「社会貢献性」という共通点から、CSRとSDGsの違いを気にされる方もいらっしゃると思いますので、CSRとSDGsの違いを説明します。
CSRはCorporate Social Responsibilityの略であり、企業の社会的責任を意味します。1990年代後半のアメリカにおいて提唱された概念であり、企業は経済的な価値だけではなく、社会性も考慮して活動していこうというものです。ただし、抽象的な概念であり、取り組みについても各社の捉え方によってしまうところがあります。
一方のSDGsは上述の通り、17の目標、169のターゲット、232の評価指標が設定されており、さらに国連から具体的な目標として採択をされているというお墨付きもあります。具体性があることにより、SDGsはバズワードではない、明確な概念であると言えます。
例えば、目標13「気候変動に具体的な対策を」では、温室効果ガスの排出による気候変動に対する対策を行うものです。
この目標に紐づいたターゲット13.aでは「重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020 年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。」と定められています。さらに、それに紐づく評価指標13.a.1として、「2020-2025年の間に1000億USドルコミットメントを実現するために必要となる1年当たりに投資される総USドル」など、数値も伴う具体的な目標が定められています。
つまり、CSRは企業の社会的責任を論じた若干抽象的な概念であり、SDGsは評価指標まで設定されている地球のために達成すべき具体的な目標となります。
さらに詳しく知りたい方におすすめの書籍
本記事ではできる限り多くの方にSDGsを理解していただくため、多くの要素を省いて記載しました。さらに詳しく知りたい方については書籍や別のサイトを読むことをおすすめします。例えば、「1冊で分かる! ESG/SDGs入門」(著:大森充)などにおいて非常にわかりやすく記載されています。