おまけ:スペース・パースペクティブ(Space Perspective)、費用は1人12.5万ドル!

宇宙空間まで到達せず、無重力を感じることもできないものの、模擬宇宙旅行と言えるサービスも登場しています。
JANE POYNTER氏・TABER MACCALLUM氏・CHRISTOPHER KIDD氏の3名によって創業されたSpace Perspective社は、成層圏気球と有人カプセルを用いて上空30kmまでの旅行ビジネスを提供します。
上空30kmの領域は成層圏に位置づけられ、宇宙空間ではありません。しかし、成層圏でも空気は薄く、周囲は暗く、地球が球であることは実感できる高度となっています。
同社が開発するカプセルはSpaceship Neptuneと名づけられており、上昇と下降にそれぞれ2時間、成層圏の縁飛行に2時間で合計6時間の飛行が可能となっています。また、このカプセルには8名の乗客が搭乗でき、予定料金は1人12万5000ドル(約1300万円)とのことです。
Spaceship Neptuneは、フロリダのNASAケネディ宇宙センターの旧シャトル着陸施設から打ち上げられる予定です。
2021年6月18日には無人のテストフライトに成功し、座席券の予約受付開始に踏み切りました。
ツアーの提供開始は、2024年後半に予定されています。
■滞在する宇宙旅行
スペースX(SpaceX)のISS滞在旅行、費用は1人5500万ドル!

日本のビジネスパーソンの間でも有名な起業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXも、宇宙旅行サービスの提供を計画しています。スペースXには、すでにファルコンロケットで国際宇宙ステーションへ物資を輸送するなどの多くの実績があります。しかしそれだけではなく、アクシアム・スペース社と契約を締結して、ファルコンロケットを使って3人の民間宇宙飛行士を国際宇宙ステーションへ送る計画も進めているのです。
同社の発表によると、スペースXが計画している宇宙旅行は10日で、参加者は8日間国際宇宙ステーションに滞在。期間中、参加者は国際宇宙ステーションに勤務する宇宙飛行士の仕事の邪魔をしない範囲で、自由に宇宙での滞在を楽しめます。
現在のところ、この宇宙旅行は早ければ2021年に実施されるのではないかと報道されています。予約はすでに埋まっていて、料金は1人あたり5500万ドル(約60億5千万円)。なお、スペースXは宇宙旅行ビジネスを、本業のロケット打ち上げビジネスに続く有望な新規事業としてとらえているようで、別のプランではファルコンロケットに最大4人の旅行者を乗せて、地球を周回する旅行プランも策定しているそうです。スペースXでは、早ければ2022年初めころにはサービスを開始したいとしています。
スペース・アドベンチャーズ(Space Adventures)のISS滞在旅行、費用は1人約3700万ドル!

スペース・アドベンチャーズは、1998年に起業家のエリック・アンダーソン氏が設立した宇宙旅行会社です。同社は、これまでに7人の民間人をロシアのソユーズロケットで国際宇宙ステーションへ運ぶサービスを実施(Charles Simonyi氏は2回経験)。また旅行者を単に国際宇宙ステーションへ送るだけでなく、オプショナルツアーとして宇宙遊泳を体験できるプログラムなども用意しています。
金額は25億7300万ルーブルで、日本円換算をすると約39億円。
※2020年5月6日時点の為替レートで計算しており、現在ルーブルはコロナの影響を受けて大幅安になっていることに注意
さらに、大気圏内での無重力体験ツアーや地上における宇宙飛行士訓練体験ツアーなどのサービスも手がけており、地上と宇宙の両方 で様々なプログラムを提供しています。
スペース・アドベンチャーズの強みは、これらの豊富なプログラムを組み合わせて顧客の要望に応じた旅行計画を策定し、実際に提供することです。スペース・アドベンチャーズは、現在月の周回軌道を回るツアーを計画しています。
2021年5月13日、実業家の前澤友作氏とビデオディレクターの平野陽三氏がISSに滞在することを発表しましたが、両氏の宇宙旅行をサポートするのは同社です。
月の周回軌道ツアーではロシアの宇宙船を活用して、月を一周してから地球に帰還させる予定です。
ゲートウェイ財団(Gateway Foundation)

カリフォルニア州に拠点を置くゲートウェイ財団は、最大450人が滞在できる宇宙ホテルを2027年までに建設すると発表しています。ロケットの父フォン・ブラウンの名前を冠したフォン・ブラウン・ステーションは回転型のロータリーデザインで、直径190メートルの巨大な宇宙ホテルです。ロータリーの中心は、宿泊客や物資を運ぶ宇宙船のためのドッキングステーションで、宿泊客はそこからチューブを通って部屋へ移動します。
ゲートウェイ財団のプロジェクト以外にも、宇宙ホテルの建設を目指すプロジェクトはいくつも立ち上がっています。宇宙ホテルは、未来の宇宙旅行ビジネスにおける主たるビジネスセクターの1つになるでしょう。
■宇宙を経由した旅行
スペース・プレーン(SpaceX)

スペース・プレーンも、未来の宇宙旅行ビジネスにおける注目株です。スペース・プレーンとは、宇宙空間を飛行する宇宙船のことですが、既存の航空機を駆逐する可能性があると言われています。
スペースXは100人乗りのスペース・プレーン「ビッグファルコンロケット」を開発し、旅客輸送サービスの開始を計画しています。スペースXによると、従来は15時間かかっていたニューヨーク・上海間の航空機によるフライトを、約39分に短縮できるとしています。
現在、全世界では年間に1億5千万人が飛行時間10時間以上のフライトを利用し、52万ルートを飛行しているそうです。あくまで構想段階ではありますが、そうしたフライトの一部を、スペース・プレーンがリプレースする可能性は大いにありうるでしょう。
Hypersonic Vehicle(Stratolaunch Systems)

マイクロソフトの共同創業者 ポール・アレンなどが設立したストラトローンチ・システムズでも、約120mの翼幅を持つ巨大航空機「ストラトローンチ」の計画が進んでいます。2020年3月30日には、詳細なデザインが公開され、順調にいけば2022年に試験飛行が始まるそうです。スペースXより早く実用化する可能性もあるでしょう。
現在構想している「Talon-A」は、極超音速を実用できるように設計しており、マッハ6クラスの機体であるとホームページに記載があります。また自動で水平着陸を可能に、自動離陸もできるようにするとしています。
Talon-Aでは超音速飛行中のデータを収集するための実験が行われます。試験飛行は、早ければ2022年に実現すると発表しています。