目次
不動産投資にかかる初期費用の内訳
・初期費用1.不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
・初期費用2.各種税金(不動産取得税、印紙税)
・初期費用3.ローン事務取扱手数料
・初期費用4.ローン保証料
・初期費用5.火災保険料(地震保険料)
・初期費用6.仲介手数料
・初期費用7.清算金(固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金)
不動産投資の初期費用を下げる方法はあるのか
・中古の区分マンション投資なら初期費用を少額にしやすい
不動産投資にかかる初期費用の内訳
上記であげた初期費用ですが、内訳に何が含まれるのかをみていきましょう。
- 不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
- 各種税金(不動産取得税、印紙税)
- ローン事務取扱手数料
- ローン保証料
- 火災保険料(地震保険料)
- 仲介手数料(不動産業者を介す際)
- 清算金(固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金)
ひとつひとつ具体的に紹介します。
初期費用1.不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
不動産を所有する際は、所有者を明らかにするために所有権の「登記」をします。不動産を登記する手続きに必要な料金が不動産登記費用です。不動産登記費用は、登録免許税と司法書士報酬の2つに分かれます。もちろん、手続きを自分自身で進める場合は、司法書士報酬は発生しませんが、複雑で専門性の高い業務なだけに司法書士に依頼することが一般的です。
なお、取得した不動産の建物の一部もしくは建物全てが「未登記」である場合などには、土地家屋調査士へ依頼し、取得不動産の「表題部」に関する登記(表示に関する登記)をするケースもあるようです。
登録免許税
不動産登記の申請をする際、国に税金を納めなければいけません。それが登録免許税です。ただ、一口に不動産登記といっても、さまざまな種類があります。
例えば、売主から買主に所有権が移転する際にする登記は、所有権移転登記を行います。所有権移転の税率は下記の通りです。
課税標準 | 税率 | |
---|---|---|
土地 | 固定資産税評価額 | 1.5%(2021年3月31日まで軽減税率) 2.0%(2021年4月1日以降) |
建物 | 固定資産税評価額 | 2.0% |
参考: No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
また、不動産を不動産投資ローンで購入した場合には、融資を行う金融機関が抵当権を設定します。ローンの返済が万が一滞った場合、その不動産が競売にかけられ、融資を行う金融機関が優先的に弁済を行うことができる権利です。この権利を明らかにするために行うのが、抵当権設定登記です。税率は以下の通りです。課税標準は、金融機関からの借入金です(債権額)。
課税標準 | 税率 |
---|---|
債権額 | 0.4% |
また、ローンを完済した時には「抵当権の抹消の登記」が必要な場合もあります。詳しくは「 法務局の抵当権の抹消の登記に関するページ 」や以下のページを参考にしてみましょう。
司法書士への報酬
不動産の登記申請は自ら法務局へ申請することもできますが、登記手続きは複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
登記の手続きや登録免許税の納付などを司法書士に代行してもらう場合、不動産登記の申請時までに納付する必要がある登録免許税のほか、司法書士へ支払う報酬が発生します。
司法書士の報酬額は、 平成14年(2002年)の司法書士法改正(平成15年4月1日施行)により、2003年4月1日以降自由化されました。現在は不動産会社の仲介手数料のように法律で決まってはいないので、司法書士事務所、司法書士によって報酬が異なります。
不動産購入に関わる司法書士への報酬の目安は、インターネットで登記の種類別に金額が確認できる司法書士事務所サイトなどをみつけることができます。
取得する物件により幅がありますが、登録免許税と司法書士報酬を合わせて数十万円と言われています。
初期費用2.各種税金(不動産取得税、印紙税)
不動産を取得する際には税金がかかります。具体的には、取得に関わる不動産取得税と、売買契約書・ローンを組む際の契約書締結の際にかかる印紙税です。それぞれ詳しく解説します。
不動産取得税
不動産取得税は、初期費用といっても物件購入時には発生せず、購入後数ヶ月〜半年後くらいに各都道府県から「納税通知書」が届き、納める税金です。
不動産取得税=取得した不動産の価格(課税標準額)×3%
取得日 | 土地|家屋(住宅) | 家屋(非住宅) |
---|---|---|
平成20年 4月 1日から 令和3年 3月31日まで | 3.0% | 4.0% |
上記の「取得した不動産の価格(課税標準額)」とは購入時の金額ではなく、取得した不動産の固定資産税評価額となります。
また土地と建物の税率3%は、上記の期間とされています。さらに土地に関しては、令和3年3月31日までに取得した場合、固定資産税評価額の1/2の金額に対して課税されます(2019年5月時点)。
土地にかかる不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3%
参考: <都税Q&A><都税:不動産取得税> | 東京都主税局
印紙税
紙で契約書を交わす場合、印紙税という税金を納める必要があります。印紙税は契約の金額により異なります。例えば次のような契約金額に対しての税額を抜粋します。
記載された契約金額 | 税額 →軽減措置 |
---|---|
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 →1万円※ |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 →3万円※ |
※平成26年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に作成される契約書について、印紙税の税率が軽減されます(2019年5月時点)。
参考:
No.7102 請負に関する契約書|国税庁 No.7108
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
また、購入後の保有期間中には固定資産税や都市計画税が必要になります。地方によって納付時期や納付方法は異なりますが、東京都の場合この2つを合わせて納付することになっています。
初期費用3.ローン事務取扱手数料
不動産投資ローンを銀行などから融資を受ける際に、支払う事務手数料が不動産投資事務取扱手数料です。事務手数料と略されることもあります。事務手数料は借入金額の1%〜3%で設定されていることが多いようです。
東京スター銀行
(1件につき)融資実行日に、ご融資金額に対して2.2%の事務手数料をお支払いいただきます。
引用: スター不動産担保ローン - 商品説明書(東京スター銀行)
オリックス銀行
借入金額の1.1%(消費税込み)の取扱事務手数料をいただきます。
引用: 不動産投資ローン(オリックス銀行)
初期費用4.ローン保証料
融資してくれる銀行とローンを組む場合、ローン保証会社と契約を結ぶ必要があります。その際、ローン保証会社へ支払う保証料が不動産投資ローン保証料です。保証料を不要としている会社もあります。
初期費用5.火災保険料(地震保険料)
不動産オーナーになる際、気になってくるのが火災保険です。火災保険料は、損害保険料率算出機構が算出する火災保険参考純率をベースに、建物の構造や面積などを加味して各社が算定するため、あまり大きな違いが出ません。
火災保険は加入が義務付けられているわけではありませんが、加入には様々なメリットが存在します。
火災保険は加入すると、確定申告の際に加入にかかった費用を経費として申告ができます。
また、地震保険に加入するためにも火災保険に加入する必要があるという側面もあります。地震保険は単独で加入することができません。ただでさえ地震や台風などの自然災害の多い日本ですから、地震保険・火災保険には入っておきましょう。
初期費用6.仲介手数料
中古物件を購入する際など、投資用の物件購入に仲介の不動産会社が入る場合には、仲介手数料がかかります。売主が不動産会社自らである場合は、仲介手数料はかかりません。 例えばRENOSYでは、不動産投資物件を自ら売主として販売しており、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は、不動産の売買契約が成立したときに、売主との間を仲介した業者に対して成功報酬として支払います。
不動産の売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
(1)200万円以下までの部分 | 5% |
(2)200万円超400万円以下までの部分 | 4% |
(3)400万円超の部分 | 3% |
また、仲介手数料は消費税の対象なのでここに消費税が加わります。
例えば、2,000万円の物件を購入しようとした場合の仲介手数料ですが、
(1)200万までの部分:200万円 × 5% = 10万円
(2)200万円超 400万円までの部分:200万円 × 4% = 8万円
(3)400万円超 2,000万円までの部分:1,600万円 × 3% = 48万円
(1)+ (2) + (3) = 66万円
これに消費税分(10%)を加算し
66万円 × 1.1 =72万6,000円
これが不動産仲介手数料の上限となります。
上記を簡便に算出する方法があります。
不動産の売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
(1)200万円以下 | 取引額の5% |
(2)200万円超400万円以下 | 取引額の4%+2万円 |
(3)400万円超 | 取引額の3%+6万円 |
2,000万円の物件で計算してみると、上記(3)の式にあてはまり
(2,000万 × 3% + 6万)× 1.1 = 72万6,000円
このように簡便な方法でも同じ金額が算出でき、速算することができます。
なお、400万円以下の低廉な空き家等の不動産については、報酬告示改正により、2018年1月1日から現行の報酬額の上限に加え「現地調査等に要する費用」が請求できることとなり、仲介手数料の上限は18万円(税別)となりました(売主から受け取ることができる報酬のみ)。事前に両者間で合意する必要があります。
初期費用7.清算金(固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金)
売主が既に支払った費用、例えば毎年1月1日時点の所有者に課税される固定資産税・都市計画税や、毎月支払う管理費・修繕積立金について、日割り計算で請求されることがあります。
固定資産税は、毎年1月1日時点に固定資産を保有している人に納税義務のある税です。都市計画税も同様に1月1日時点で固定資産を保有している人に納税義務のある税です。
それでは両者の違いは何なのでしょうか。固定資産税がすべての固定資産保有者に納税義務があるのに対して、都市計画税は市街化区域内の土地・家屋を対象とした税になります。
不動産投資の初期費用を下げる方法はあるのか
中古の区分マンション投資なら初期費用を少額にしやすい
中古区分ワンルームマンションへの投資のメリットとして、初期費用が小さくなるという点が挙げられます。初期費用の目安は、物件価格や購入方法(不動産会社から直接購入するか、不動産会社を介して購入するか)によっても変わってきますが、50万〜100万円程度と、比較的少ない資金で始めやすいと言われています。
その理由は、中古区分ワンルームマンションは、所有投資の対象となる物件の価格がそもそも低いためです。ただ、「必要になる自己資金の金額も少なくなる」とは言っても、一番自己資金がかかるのが不動産投資を始めるタイミングです。不動産取得に関わる諸費用は、原則現金で支払います。そのため、最低限の現金資金は予め備えておくようにしましょう。物件価格1億円の一棟マンションですと、仲介手数料込みで800万円程度と言われています。