冷蔵庫の中を見てみてください。
牛乳、バター、チーズ、ドレッシング、竹輪、はんぺん、清涼飲料。
見慣れたメーカーの食品が減っていませんか。それが「みなさまのお墨付き」「トップバリュ」などプライベートブランドに置き換わっていませんか。
プライベートブランドの商品幅が広がっているのです。安くて品質はそこそこ。そんな商品を選ぶと、たいていプライベートブランドになります。結果、冷蔵庫はプライベートブランドで埋め尽くされることに。
しかし、現在の安い価格はそう長く続きません。プライベートブランドも、早晩、値上げに踏み切るからです。
今回は、値上げによるプライベートブランドシフトについて考察します。

値上げラッシュが後押し
小売は、プライベートブランドへのシフトを加速させています。
商品中のプライベートブランドの構成比を、西友(合同会社西友 以下 西友)は25%へ。ファミリーマート(株式会社ファミリーマート)は35%以上へ引き上げる、としています。
値上げラッシュが、これを後押しします。
チーズなど乳製品は最大10%、竹輪などすり身製品は最大13%程度の値上げ。家計への影響は大きく、低所得層の負担増は「消費増税2%に相当する」との分析もあります(※1)。今後、食品類は1割ぐらい高くなることを覚悟しなければならないかもしれません。
消費者にとって、値上げ対策となるのがプライベートブランドです。小売り側もニーズに応えるべく、商品棚の多くをプライベートブランドに割り当てています。
ナショナルブランドがプライベートブランドに置き換わる
目標とするプライベートブランドの構成比率は25%から35%、ということでした。しかし、一部ではその目標を優に超えている、それどころか、「プライベートブランドしか選べない」商品さえあります。
例えば「ごま(胡麻)」です。
近隣の西友では、商品棚の6段中3段、つまり50%をプライベートブランドが占めています。筆者が以前から購入していた、カタギ食品の「有機いりごま 金」 は無くなり、プライベートブランド「みなさまのお墨付き 有機いりごま 金」に置き換わりました。
では、このプライベートブランド商品はどこの食品メーカーが作っているのか。
「カタギ食品」です。栄養成分表示もほぼ同じ。パッケージを変えただけで、ナショナルブランドと「同じ商品」といって良いでしょう。

カタギ食品だけではありません。
プライベートブランド商品のパッケージ裏の「製造所」欄を見てみてください。永谷園(株式会社永谷園)やエスビー食品(エスビー食品株式会社)など大手企業が、プライベートブランドの製造メーカーであることに驚くでしょう。
自社ブランド(ナショナルブランド)ではなく、プライベートブランドとして納入するメーカーが増えている。これは、食品メーカーが、小売に取り込まれつつあることを意味します。