将来的な独立を視野に入れながら、副業/複業をされている方も多いでしょう。その過程で、以下のように思うことはないでしょうか。

「個人事業主とフリーランスの違いってなんだろう?」 「どちらも似たようなものなんじゃないの?」

この記事では、個人事業主とフリーランスを比較しながら、その違いを詳しく解説します。それぞれのメリットやデメリット、税金や社会保障の違いもふくめ、比べていきましょう。

目次
個人事業主とフリーランスの違い
個人事業主のメリット/デメリット
フリーランスのメリット/デメリット
フリーランスから個人事業主へ切り替えるタイミング
個人事業主とフリーランスが支払う税金の種類
個人事業主とフリーランスが受けられる社会保障
おわりに

個人事業主とフリーランスの違い

個人事業主とフリーランス。なんとなく意味合いは同じと思ってしまいますよね。しかし、実はそれぞれ微妙に異なる意味があります。

個人事業主とフリーランスの違いは?実は微妙に異なる意味
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

個人事業主は「継続的な事業を行う個人」

個人事業主は「会社などの組織に所属せず、同種の行為の事業を継続して行う個人」のことです。

法律上では、個人事業主は以下のように定義されています。

消費税法 第2条 3:個人事業者 事業を行う個人をいう
(出典:消費税法)


消費者契約法 第2条 逐条解説:「事業」とは、「一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行」である
(出典:消費者契約法の逐条解説)

なお個人事業主として正式に認められるには、税務署に「開業届」を提出する必要があります。言ってしまえば、開業届さえ提出すれば誰でも個人事業主になれるのです。

フリーランスは「働き方を指す呼称」

個人事業主に対し、フリーランスはあくまで「働き方の呼称」です。

厚生労働省は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要)」にて、フリーランスを次のように定義しています。

実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者

フリーランスはあくまで働き方の呼称なので、個人事業主でありながらフリーランスとしての働き方をしているケースもあります。なおフリーランスが開業届を出すことで、「個人事業主」とも名乗れます。

<おまけ>個人事業主/フリーランスと、法人の違い

「法人」とは「法的に認められた人格=会社」を指す言葉です。

現実に生きている私たちは「自然人」と定義されますが、自然人とは違い、「法律上で認められた人格を有する会社」のことを法人と呼ぶのです。

たとえば、オフィスにするためにマンションの一室を借りるとき、これまでは個人名を名義にしていたところ、法人名での契約が可能となります。法的に認められた人格のため、許される手続きなのです。

個人事業主とフリーランスの違いは?実は微妙に異なる意味
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

個人事業主のメリット/デメリット

個人事業主のメリット/デメリットを元に、個人事業主に向いている人の特徴を解説します。

メリット

【個人事業主のおもなメリット】

  • お得な税控除が受けられる
  • 利益が少ないうちは税の負担が軽く済む
  • 法人化するよりは手続きが簡単&費用が安く済む
  • 消費税が免除される(条件あり)

個人事業主の主なメリットとして、税金関連の優遇制度が受けられることが挙げられます。

個人事業主は「確定申告」をする義務があります。確定申告とは所得税を申告するためのもの。会社員であれば会社側が行ってくれますが、個人事業主は自分で申告・納税する必要があるのです。

確定申告には「白色申告」と「青色申告」があり、一定以上の利益がある場合は、お得な税控除が受けられる「青色申告」がおすすめ。白色申告と比べて帳簿付けの必要がありますが、『freee』などの会計ソフトを使えば手間を減らせます。

毎年の利益に応じた所得税を支払う必要がありますが、利益が少ないうちは税負担が軽いのも個人事業主のメリット。最初は開業届だけを提出して個人事業主となり、事業が安定して利益が増えてきたら法人化する流れが一般的です。いきなり法人化するよりは、個人事業主として一歩を踏み出した方が、手続きも簡単で費用も安価に抑えられます。

また基準期間(個人の場合は開業届を出した前々年)の売上高が1000万円以下の場合、消費税が免除される「事業者免税点制度」もあります。

デメリット

【個人事業主のおもなデメリット】

  • 利益が多いと税の負担も重くなる
  • 業務が増えてきたときの対処が面倒になりやすい

個人事業主のメリットと対になるデメリットとして、利益が増えてくれば当然のように税負担が重くなります。その場合は法人登記したほうが節税に繋がりますが、手続き面で時間的コストがかかることを覚えておきましょう。

また仕事が順調にまわりだし、事務スタッフやアシスタントを増やすことになった場合も注意が必要です。法人と比べ、個人事業主は社会的信用が得られない傾向にあります。雇われる側にとって、より社会保障や福祉が整っている会社に魅力を感じるのは当然でしょう。よって、人材採用が上手く進まないデメリットが考えられます。

個人事業主に向いている人の特徴

【個人事業主に向いている人のおもな特徴】

  • 将来的に起業を目指す人
  • 向学心が旺盛で、自分の力を試したいと思う人
  • マイペースかつ客観的な人

自分の力で成し遂げたい夢を持つ人、事業を継続させ将来的に起業したい人などが個人事業主に向いています。また事業を立ち上げたからには、何らかの成果を出すまで手を止められません。高い向学心と、限界を試し続けるタフさも求められるでしょう。

仕事の進捗や、現在の立ち位置を客観的に見て判断してくれる第三者もいないため、それらを自力で管理する目も必要となります。