牛丼1,000円時代がやってくるかもしれない。なぜそのような予想が立てられるのか。その理由は、中国人が牛肉の美味しさに気付き始めているからだ。こうした背景から、牛丼に使うバラ肉の価格が上昇している。牛丼を頼んでワンコインでお釣りが来る時代は終わるかも。

ショートプレートの価格が値上がり

牛丼に使うバラ肉は「ショートプレート」と呼ばれる。赤身と脂身のバランスが牛丼向きな部位だが、アメリカではショートプレートへの需要が低く、価格が安いのが特徴の1つだ。そしてこうしたショートプレートの価格の安さが、日本の牛丼の安さに結びついている。

しかし最近は少し事情が変わってきており、ショートプレートの価格が上がり始めている。そのため、牛丼チェーン各社は牛丼の値上げを余儀無くされている。大手チェーンのすき家は2021年12月、並盛りを350円から400円に引き上げた。

しかしなぜショートプレートの価格が上がっているのか。これには冒頭触れた「中国人」が関わっている。中国人はこれまで豚肉を多く消費してきたが、最近では牛肉もよく食べるようになっており、中国がアメリカから輸入する牛肉の量は年々増加している。

モノの値段は「欲しい」という人が増えれば、需要と供給の関係上、当然上がっていく。もしこのまま値段が上がり続ければ、日本の牛丼が1,000円を超える日は絶対に来ないとは言い切れなくなってくる。

日本人にとっては「身から出た錆」?

日本の国民食とも言えそうなくらいよく食されている牛丼。価格が上がっていくことで中国人に反感を持つ人が増えるかもしれないが、実は日本人にとっては「身から出た錆(さび)」と言えなくもない。

日本はインバウンド観光の振興のためもあり、日本食を海外で積極的にアピールしてきた。そしてその中には、牛丼、すき焼き、しゃぶしゃぶなど、牛丼を使うメニューも多数含まれており、こうしたメニューが中国を含む海外で人気になった結果、ショートプレートの需要が高まることにつながった。つまり日本人にとっては「自業自得」な面もあると言えそうだ。

では実際、牛丼が1,000円になったとしたら、日本の牛丼業界はどうなってしまうのか。1つ予想できるのは、牛丼チェーン各社が「豚丼」をピンチヒッターとして再び全面に押し出す展開だ。BSE問題で牛肉の調達が困難になった2004年ごろのように。

実際にはどうなる?

さて実際は、今後どのような展開になっていくのか。まず大手チェーンの牛丼の価格が今後も値上がりを続けるのか、ウオッチしていきたい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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