バーチャルオフィスという名前だけ聞くと、なんだか怪しいぞ? 住所を借りるってどういうこと? と疑問が出てくるかもしれません。
それもそのはず。国内でバーチャルオフィスが出始めてまだ20年ほどしか経っていないため、まだまだその存在を知らない人が多いのです。
バーチャルオフィスとは、「事業用の住所を借りられるサービス」です。ビジネスの信用度を高め、個人情報を守ることもできる、フリーランスにおすすめのサービスといえます。
今回はわかりやすくバーチャルオフィスの機能を紹介するとともに、なるべく実務に即したバーチャルオフィスがおすすめの理由と、おすすめのバーチャルオフィス6ヶ所を厳選してご紹介します。
注:バーチャルオフィスには「住所貸しがメインのオフィス」のものと、コロナ禍やメタバースで注目された「バーチャル空間にてアバターで仮想出勤するオフィス」の2種類あります。ここでは住所を借りられるタイプのバーチャルオフィスをピックアップします。アバターは関係ありません。
バーチャルオフィスがおすすめな人
バーチャルオフィスってどういう人が使っているの? なぜ事業用の住所が必要なの?
最初は誰もがそう思うでしょう。しかしフリーランスで活動していくと、実務上どうしても住所が必要になるケースがあります。
そのようなときこそバーチャルオフィスの出番。ここではどのような人がバーチャルオフィスをよく利用しているかご紹介します。
バーチャルオフィスの利用シーン | |
フリーランス 副業をしている人 |
・自宅住所を伏せたいとき ・自宅と事業用住所を分けたいとき |
ネットショップを運営している人 | ・特定商取引法に基づく表記のため |
起業または起業準備をしている人 ※スモールビジネス含む |
・事務所を用意する初期費用を抑えたいとき ・登記に使いたいとき ・起業準備費用を抑えたいとき |
おすすめな人1. フリーランス
フリーランスとして活動を始め、取引先が増えてくるに従い、源泉徴収?!商品見本が送られる?!契約書類に住所を記載?!と、住所をクライアントに開示しなければならないケースが出てきます。所在地や拠点を示すためにどうしてもビジネス用の住所が必要になるシーンがあるのです。
また自己PRとして、名刺や自社HPなどで信用を得やすくしたいときも住所があると効果的なケースがあります。
このようなときのために、ビジネス用の住所を貸してくれるバーチャルオフィスが存在します。実際に仕事を行う場所は自宅でも構いませんが、自宅を公開すると個人情報が不安というわけですね。
しかしバーチャルオフィスを契約すれば、自宅以外のビジネス用の住所を名刺やHPに記載できます。またバーチャルオフィスの住所を対外的に使うことで、自宅住所を公開しなくても済むのです。
おすすめな人2. 副業をしている人
得意なことを活かし、隙間時間や週末にスモールビジネスをする副業ワーカーも、バーチャルオフィスを利用するケースがあります。自宅住所を伏せたい、オフィス街の住所でビジネスをしたいといった理由で契約するケースが多いです。
副業もフリーランスも、場合によっては住所を公開・記載しなければいけないケースがあるため、自宅住所はちょっと明かしたくない……というときにバーチャルオフィスはうってつけです。バーチャルオフィスはオフィス街のビルの住所を利用できるため、自宅住所よりも心象が良いという効果もあります。
おすすめな人3. ネットショップを運営している人
人気の副業として、ネットショップでの商品販売があります。このようなネットショップを運営する際は、消費者トラブル防止のため特定商取引法に基づき、販売者の住所や電話番号を記載しなければなりません。このケースでも、契約したバーチャルオフィスの住所や電話番号を掲載することができます。
ただし、特定商取引法には「現に活動している住所」という条件があるため、活動実態のないバーチャルオフィスではいけません。「貸し会議室あり」「シェアオフィス(コワーキングスペース)利用可」などの条件を満たせるバーチャルオフィスにしておいたほうが無難でしょう。
おすすめな人4. 起業または起業準備をしている人
起業を志す際に事務所を借りるため、バーチャルオフィスを契約するケースもあります。一般的な事務所を借りるには敷金礼金、保証金、保険費用など多額の初期費用がかかりますが、バーチャルオフィスであれば初期費用をおさえて事務所の住所を借りられます。
また、登記利用を認めているバーチャルオフィスであれば、そのまま本店所在地として登記もできます。
登記する際の住所は自宅でも問題はありませんが、自宅が賃貸だと商用利用できず登記に使えないケースもあるためバーチャルオフィスを借りるのです。このようなメリットがあるため、起業や創業のほかに法人化したスモールビジネスでもバーチャルオフィスは利用されます。
バーチャルオフィスを借りるメリット
社員やアルバイトが10名以上いるなど、複数名で働く事務所が必要である場合は、バーチャルオフィスに不向きです。しかしビジネス上の住所だけ、もしくはちょっとした秘書業務が必要という場合にはバーチャルオフィスが大活躍するでしょう。
バーチャルオフィスを借りるメリットは他にも。下記の表に、バーチャルオフィスを借りるメリットをまとめました。
バーチャルオフィスを借りるメリット | |
事業用の住所を持てる | 多くの利用シーンでバーチャルオフィスの住所が使える |
自宅住所がバレない | ビジネス用の住所を使うことで自宅住所を使う必要がなくなる |
事務所を借りるより安く済む | ビジネス用の住所の取得のために多額の初期費用がかかる事務所を契約する必要がない |
一等地がオフィスになる | オフィス街のなかでも一等地といわれるエリアの住所が使える |
引越しても住所変更不要 | 自宅を引越しても、ビジネス用の住所まで引越し・変更しなくてよい |
経費計上できる | 経費計上できるため節税効果が見込める |
ここでは、メリットに関してさらに詳しくご紹介していきます。
メリット1. 事業用の住所を持てる
フリーランスとして活動するとき、下記のようなシーンでバーチャルオフィスの住所を利用できます。
許認可や税金に関するものは専門家のアドバイスのもと使用するとよいでしょう。
バーチャルオフィスの住所を記載できる目安
バーチャルオフィスの住所を記載できる目安 | |
名刺やポートフォリオなどのHP | ◯ |
特定商取引法に基づく表記 | ◯ ※書き方に工夫が必要 |
請求書等の発行 | ◯ |
業務委託やNDA等の契約書類 | △ ※専門家に要相談 |
郵便物を送ってもらう | ◯ |
源泉徴収・支払調書 | △ ※専門家に要相談 |
納税地・確定申告 | ◯ |
銀行法人口座の開設 | △ ※開設できるかはケースバイケース |
助成金や補助金の申請 | △※商工会や相談窓口で要相談 |
ビジネスカード※クレジットカード | △ ※審査通過はケースバイケース |
許認可 | △ ※専門家に要相談 |
メリット2. 自宅住所がバレない
請求書の発行や荷物の受け取り、ネットショップやサイト運営など、ビジネス上どうしても必要となるのが住所です。自宅住所をビジネス上の住所としても使うと個人情報の流出など不都合な点もありますが、バーチャルオフィスであれば自宅がバレずにビジネスができます。
また自宅が賃貸物件の場合、商用利用が禁止されており、そもそもビジネスで使えないケースも珍しくありません。そういう場合もバーチャルオフィスの出番です。
メリット3. 事務所を借りるより安く済む
オフィスや事務所を借りる際、仲介手数料、保証金、敷金、礼金、前家賃、火災保険の支払い、デスク、チェアー、電話機、コピー機、パソコン、事務用品の用意など、百万円単位で初期費用がかかることは珍しくありません。
またコワーキングスペースやレンタルオフィスを借りるとしても、入会金や2ヶ月分の利用料が発生するなど、ある程度まとまった初期費用がかかります。
しかし、バーチャルオフィスであれば月額数千円からすぐに利用できます。バーチャルオフィスによっては入会金や保証金がかかることもありますが、初期費用不要のキャンペーンやプランもあります。
メリット4. 自分のオフィス住所が一等地になる
バーチャルオフィスはオフィス街に立地していることが多く、中には丸の内、大手町、六本木、渋谷、梅田、心斎橋などで契約できるバーチャルオフィスもあります。
契約したバーチャルオフィスの住所は名刺やHPにオフィスとして記載できるので、一等地がオフィスとなります。
メリット5. 引越しても住所変更不要
自宅をビジネス上でも住所として使用すると、引越しのたびに税務署など行政機関に住所変更の届け出をしたり、名刺やHP、請求書のテンプレートも都度変更する必要があります。プライベートだけでも住民票を移したりと忙しいのに、ビジネスでも住所変更の手間がかかると大変です。
しかしバーチャルオフィスを契約していれば、自宅は引越してもビジネス上の住所は引っ越さないため、ビジネス上の住所変更が不要です。
メリット6. 経費計上できる
バーチャルオフィスは住所や秘書代行を借りるという性質のため、外注工賃や業務委託料など経費として使えます。個室も借りるバーチャルオフィスの場合は賃借料とすることもあります。詳しくは税理士や税務署でご確認ください。
またバーチャルオフィスを借りて、自宅でも仕事をする場合、事前に税務署などに届け出ることでどちらも経費計上できます。バーチャルオフィスは全額計上できますが、自宅は家事按分で算出します。