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不招請勧誘に対する規制について
不動産投資に関する不当勧誘の実例

不招請勧誘に対する規制について

しかし、そもそもこちらから求めていないのに勧誘されること自体を防ぐことはできないのでしょうか?

こちら(顧客)から契約締結の勧誘を求めていないのに、電話や訪問をして契約の締結を勧誘する行為を禁止することを「不招請勧誘の禁止(ふしょうせいかんゆうのきんし)」と言います。

日本では、金融商品取引法においては一部の特定の金融商品に関しては不招請勧誘が禁止されていますが( 金融商品取引法 第38条4号 )、宅地建物取引業においては勧誘そのものを禁止する法律はありません。

2011年の宅地建物取引業法の改定にあたって意見募集が行われた際の、寄せられた意見に対する国土交通省の回答で、国土交通省の考え方をみることができます。

5.意見の概要:
金融商品と同様に不招請勧誘も禁止すべき。

国土交通省の考え方:
金融商品取引法においては、一部の金融商品についての不招請勧誘が禁止されておりますが、勧誘行為を規制する場合は、宅地建物と金融商品の違いを踏まえた上で、適切に措置を講ずる必要があると考えております。4と同様に、不招請勧誘を禁止することは、過度の営業規制となりかねないおそれがあると考えております。
引用:意見の概要及び国土交通省の考え方

不招請勧誘の禁止をルール化することは、規制のしすぎであるとの考えが読み取れます。そこでいまでも勧誘そのものは違法ではありません。

不動産投資に関する不当勧誘の実例

では、問題となった悪質な勧誘とは、実際にどのような勧誘だったのか。 消費生活センター および PIO-NET に寄せられた事例では、以下のような勧誘内容が報告されています。

ケースA)
担当者から午前0時過ぎまで長時間にわたる勧誘を受けた。翌日仕事があったた め、手付金を払って帰宅させてもらった。 クーリングオフ期間内に業者に解約を申し出たが、手付放棄でなければ応じないという。

ケースB)
担当者から、職場にしつこく勧誘電話がかかってきたため、会って断ろうと思い、夜7時から勧誘員と喫茶店で面会した。夜11時を過ぎ喫茶店が閉店したため帰ろうとすると、勧誘員の上司がやってきてすごまれた。その後朝5時までファミレスで勧誘され、申込書等を書いてしまった。

ケースC)
勧誘電話があったため、必要ないと告げて電話を切ったところ、再度電話をかけてきて感情を逆なですることを言われた。3時間で50回近くかけてきた。
引用:「マンションの悪質な勧誘」に関する実態調査報告 平成23年5月消費者委員会

また、国民生活センターの「 ますますエスカレートするマンションの悪質な勧誘―増加する「強引・強迫」「長時間」「夜間」勧誘― 」では、脅迫、暴力などを含む、より個別の事例が載っています。

ケースD:暴力)
断り続けると営業員に胸ぐらをつかまれ、足を蹴けられた。電話でしつこく勧誘され最後は怒鳴られたりしたので、やむなく会う約束をした。ファミリーレストランで2時間も断り続けたら「表に出ろ」と言われ店の駐車場で胸ぐらをつかまれ、足を蹴られた。土下座して謝罪もさせられた。


ケースE:脅迫)
今までも何度も利殖目的の新築分譲マンションの勧誘電話を受けたことがあるが、全て断っていた。昨日もマンション販売の勧誘電話があり、断り電話をすぐに切った。その後も 4~5 回電話があり、断ったら「生コンを流しに行く」「車でひき殺す」と脅された。 引用:ますますエスカレートするマンションの悪質な勧誘―増加する「強引・強迫」「長時間」「夜間」勧誘―

宅建業法の改正後も、各自治体で注意喚起を促す動きは続いています。

埼玉県  投資用マンションの勧誘に注意しましょう! (掲載日:2020年7月20日)
横須賀市  投資用不動産のしつこい勧誘電話 (更新日:2017年1月31日)

宅建業法の改正後の現在、悪質な勧誘がどのような内容かをまとめた公的データはないので、上記のような悪質な勧誘が続いているのかどうか、具体的な勧誘内容は明らかにはなっていません。しかし望んでいない勧誘を断りたい場合、どのように対応すればいいでしょうか。