メディアが実名公表を求めた

英国内通信社PAメディアや複数の地元メディアを発行するリーチ(旧トリニティー・ミラー)は、被告の匿名報道令解除を求めていた。

リーチは実名公表により殺害事件の全貌を報道でき、都市にまん延するナイフ犯罪、暴力、大麻取引について市民の知る権利に応えることができると説明。「重大な公共の利益になる」「新聞の立場からは被告の身元を明らかにしない報道は空疎になる」と主張した。

PAメディアは解除が「犯罪の抑止になる」と訴えた。

被告の匿名令解除について、ベーカー判事は「権限行使の過程を明らかにする開かれた司法や報道の自由」と「被告の身元が報道されることによる、被告の安寧に対する危害」のバランスを取ることが必要だと指摘。匿名令解除で「開かれた司法の原則を選択したことに満足している」と述べた。

事件の状況は「一般市民及び地域社会の関心事であるばかりか、ナイフ犯罪やその原因、予防に関する公的議論を形成するものだ」としたほか、重大事件での被告の実名公表は犯罪の「効果的な抑止」として重要だとする見方を示した。

被害者の父、「私の人生は墓場だ」

法廷では被害者の父エドガーズさんの声明文が代理人を通じて読み上げられた。

「私の思いをどうやって言葉にしたらいいのだろうか」「どんな父親も自分の息子を埋葬することになってはいけない」「私の人生は墓場だ。心は空っぽで、何もこれを変えることはできないだろう」。