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相続対策として不動産投資を行う注意点
相続税対策は不動産以外でもできる

相続対策として不動産投資を行う注意点

不動産を活用した相続税対策とは?節税につながる仕組みを徹底解説!
(画像=『レイビー』より引用)

不動産は現金と違って気軽に分割できない

不動産による相続税対策のデメリットの1つは、相続時に安易に分割できないことです。

被相続人が亡くなって空き家になった場合は、不動産を売却することで現金を等分できるため、トラブルにはなりにくいでしょう。

しかし兄弟の1人が住んでいて、ほかに預貯金などの財産が少ない場合は、遺産分割協議が難航することも考えられます。

現金であれば1円単位まで細かく分割できますが、不動産の場合は財産を分割できないことによって遺産分割協議でトラブルになる可能性もあることを覚えておきましょう。

借金しての不動産購入は本末転倒

不動産の資産価値が高ければ相続税を抑えながら不動産収入を得ることができます。
しかし、借金をしてまで不動産投資を行うことが絶対に良いとは限りません。

投資用マンションに空室が目立つ場合は、家賃収入が少なく、投資費用を回収できないリスクがあります。
家賃収入を予定通り得られないとなると、借金の返済に苦労することになるかもしれません。

さらに空室が多い物件を相続した場合、貸家の評価が賃貸割合100%を下回ることで評価減の効果も小さくなってしまいます。

不動産賃貸にはリスクがある

ローンを組んで投資用不動産を購入した場合、家賃収入を得られるメリットと引き換えに、さまざまなリスクもあります。

たとえば「金利上昇リスク」です。
ローン返済中に金利が上昇すると、その分月々の返済額が増えて利益を圧迫する原因になります。

そのほか自然災害により物件がダメージを負うことや、家賃の滞納トラブルが起こることも考えられます。

相続税は節税できても、賃貸マンション維持費用のほうが多くかかるとなると本末転倒です。

相続税対策は不動産以外でもできる

不動産を活用した相続税対策とは?節税につながる仕組みを徹底解説!
(画像=『レイビー』より引用)

生命保険

生前に生命保険に加入することでも相続税対策は可能です。

生命保険では被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われますが、相続人1人につき500万円までは非課税になります。

配偶者と子ども2人が相続人の場合、1,500万円までは非課税になる計算です。

相続税対策で生命保険に加入する場合、一般的に「一時払い終身保険」という商品を利用します。
保険料を支払った時点で終身に渡って保険金額が保障されるため、元本割れのリスクを心配せずに相続税対策が可能です。

生前贈与

賃貸用不動産の場合、不動産の所有者(被相続人)に家賃収入が入ることで現金(資産)が増えるため、結果的に相続時の課税対象額も増えてしまいます。

そこで贈与税の基礎控除110万円を利用し、生前贈与することで将来の相続財産を減らすことも可能です。

また相続時精算課税制度を活用し、生前に収益物件自体を贈与してしまう方法も検討できます。

収益性が高い不動産や不動産を複数所有している場合、贈与税の基礎控除110万円の範囲で毎年贈与したとしても、家賃収入によって相続する現金は増えていく可能性があります。

その場合、相続時精算課税制度を活用して収益物件そのものを贈与してしまうことで、被相続人の預貯金が増えることを防ぐことにつながります。

相続時精算課税制度とは、原則として「60歳以上の父母・祖父母」から「20歳以上の子・孫」に対して財産を贈与した場合に選択できる「贈与税の制度」です。

この制度を利用することで、「特別控除額(限度額2,500万円)までは非課税」となります。

贈与額が2,500万円までの場合、贈与時に贈与税は発生しませんが、2,500万円を超えた分に対しては、一律20%の贈与税が発生します。

また、贈与者である父母・祖父母が亡くなり、資産を相続する際には、この制度を使って贈与された額を相続財産の額に加算して相続税を計算する点に注意が必要です。

なお、すでに贈与税を支払った分は相続税の計算の際に控除が可能です。

ただし、相続時精算課税はデメリットも多く、選択する場合は慎重な判断が求められます。

代表的なデメリットを列挙してみます。

  • 暦年課税制度が使えなくなる
  • 小規模宅地の特例が使えなくなる
  • 相続の物納に使えない

相続時精算課税制度の選択届出書を提出すると、二度と暦年課税の選択ができなくなります。

また、不動産の贈与時に使ってしまった場合は小規模宅地の特例が使えなくなり、相続時と比べると不動産取得税がかかるほか、登録免許税の負担も増えます。

さらに、相続時精算課税で贈与された財産は、物納に利用できない点も知っておく必要があるでしょう。