専門性は本当に必要なのか?
少年B:
今回は専門性にまつわる取材なのですが、黒田さんご自身は謎解きイベントというニッチな分野を特別やりたいわけではなく、あくまで手段の一つとして考えているように見受けられました。
そんな黒田さんが、「自分だけのスキル」を見つけたい人に一言かけるとしたらどう言いますか。
黒田:
何が自分にとって大事なのかってのをまず知らないといけないかな、と。僕は謎作りじゃなくて、場作りがしたいわけですし。
たとえばデザイナーの方であれば、「デザインをする行為が楽しい」とか、「美しいものを作ることが楽しい」とか、「評判実績を作っていくってことが楽しいのか」みたいに、おなじ仕事をしていても、みんないろんな目的があると思ってて。
「何かを実現するために」やるのか、「誰かのために」やるのか、それとも「手段が重要」なのか。誰かのためにやる人は、わりとやることの中身は選ばなくて人からの感謝などが大事なんじゃないかなって感じます。
少年B:
なるほど。

黒田:
専門性が差別化できるほどなくても人間関係から仕事を取ってくる人っていますよね。それはそれでいいと思ってて。人との関係性を構築していくことが楽しいのかもしれないですし。
業界の中で唯一無二の存在になりたいのならそのレベルの専門性も必要だと思うんですけど、仕事をとるってことに関していうとそうじゃない方法がいくらでもあります。そう考えたら、「そもそも、差別化できるほどの専門性って必須ではないんじゃないか?」って思うんですよ。
少年B:
専門性は必要不可欠なものではないと。
黒田:
仕事の発注側からしたら、成果物を安定したクオリティで納品できることが一番大事なわけですが、そこに高い専門性が必要じゃないケースもありますよね。高い専門性はあくまで、他の人たちとの差別化なわけで。専門性をつけることは手段のひとつなので、目的によって手段は変わってくるんじゃないかなぁと。
少年B:
なるほど! 「なぜ専門性が欲しいのか」が大切なんですね。
黒田:
もちろん、専門的な能力を欲しがっている企業も多いので、専門性で勝負したい人はしっかりわかりやすく「ここにいるよ!」って声を出すのも大切です。ほんとに小さいことですけど、そういうところからやっていけばいいんじゃないかな、と個人的には思います。

【記事のまとめ】
- 「手段」と「目的」、自分にとってどちらが大切なのかを知ろう
- 専門性とは目的ではなく、あくまで手段のひとつである
- 目的が大事なら「ニーズのある」手段を選ぼう
- 自分の大切なものによっては、専門性は必ずしも必要ではない
(執筆:少年B 編集:北村有 撮影:じきるう)
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