「フリーランスは専門性が必要な時代」と言われることが多くなりました。でも、専門性とは、いったい何なのでしょうか。わたしはライターをしていますが、グルメに旅行におもしろ記事まで、書けそうなものは何でも手当たり次第に書いています。自分の専門性って何だろう……そんな悩みを持つフリーランスも少なくないはず。

そんなとき、ふと気付いたのです。「ニッチだけどオンリーワンなお仕事をしている人の生き方に、専門性を身につけるヒントがあるのでは?」と。

今回はさまざまな謎解きイベントを企画・制作する『株式会社ハレガケ』の社長、黒田洋介さんにうかがった「そもそも専門性は本当に必要なのか?」という話をお届けします。

目次
「謎解き」がやりたいわけではなかった
「謎」は締切に追われて作る
作るのは謎じゃなくて「自分がいる理由」
謎制作者の募集では「謎を作ったことない人」ほぼ不採用
専門性は本当に必要なのか?

「謎解き」がやりたいわけではなかった

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:
さっそくですが、黒田さんの会社「ハレガケ」は謎解きイベントを企画制作する会社ですよね。具体的にどのような事業を行っているのでしょうか。

黒田:
主に「商業施設のプロモーションや地域振興のための謎解きイベント制作・提供」「社員の懇親を深める謎解きイベントのプロデュース」「toC向けの謎解きイベント」の3つです。会社にはアルバイトを含めて現在17人のメンバーがいます。

少年B:
黒田さんは、なぜ謎解きイベントのお仕事を始めたんですか?

黒田:
最初から「謎解きイベントをやろう」と思っていたわけではないんです。2013年ごろ、会社員のかたわらさまざまなイベントを作っていまして。最初は「そのうちのひとつ」という感じでした。試しに作ってみたら意外と評判がよかったのが謎解きに関わる始まりでした。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:
謎解きイベントありきではなかったんですね!

黒田:
まずはなんとなく「やってみようかな?」くらいな感じでした。自分の特性として、器用貧乏なところがあって。「一流にはなれないけど、二流には早く到達できる」って部分があるので、色々なことに手を出していたんです。そうして色々と試していく中で、謎解きイベントのニーズを感じたんですよね。

少年B:
お若いうちから自分の特性を理解していたんですね……! 初めてイベントを企画したのはいつごろですか?

黒田:
大学生のころ、就職活動支援サークルでイベントを開催したのが初めてですね。コミュニティをつくる、人間関係をつくるのが自分にとって大事だなと、当時は思っていました。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

黒田:
大学を卒業してからは、「コーチングを使って生徒の可能性を引き出す」というコンセプトの塾に出会い、そういう関わりも素敵だなと塾という業界を選び新卒で入りました。塾なら起業しやすそうだなというのもあったので。ただ、1年勤めてみた結果、「僕あんまし子ども好きじゃないな」って……。

少年B:
気付いてしまったんですね。

黒田:
それで、個人で「楽しく学べるイベント」みたいなものを始めたんですが、学びも楽しさも中途半端な感じになってしまって。そこで楽しさに振ろうと思って、いろんなイベントを企画していました。

少年B:
それは副業としてですか?

黒田:
半分趣味、半分副業みたいな感じですね。イベントだけでは食べていけないので、会社員をやりながら土日とか、平日の夜にいろいろイベントを企画していました。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:
いまでこそ大人気の謎解きですが、最初のころはどのようにマネタイズや集客をしていたのでしょうか。

黒田:
ひたすら自主イベントを開催して、参加費をいただいてギリギリ……って感じでした。SNSやイベントサイトで告知をして。共同創業者もイベンターだったので、そのイベントに参加したお客さんが来てくれたりとか。

少年B:
なるほど……。

黒田:
初期のころはまだ会社員もやっていたので、イベントでそこまで稼げなくても暮らしていけたんです。そして実績が積み重なっていく中で、ホームページを開設して「企業向け謎解きイベント」ってメニューを知った企業さんが声をかけて下さったりして、徐々にお仕事依頼が来るようになった感じですね。

少年B:
黒田さんの手掛ける謎解きイベント制作のお仕事では、どのようなものが多いですか?

黒田:
いまは企業さん相手が多いですね。商業施設や地域活性化イベントなど、たとえば高島屋さんの施設内を巡ってもらう謎解きですとか。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=▲日本橋高島屋とコラボしたリアル謎解きゲーム『幸せのバラを集めて』パンフレット、『Workship MAGAZINE』より 引用)

「謎」は締切に追われて作る

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:
謎解きイベントには当然「謎」が欠かせないと思いますが、さまざまな謎のアイデアはどこから生まれるんですか?

黒田:
いろんな謎解きをインプットすることで生まれてくるって感じですかね。デザインもそうなんですが、「どういう見せかたをするのか」がすごい大事だったりするので。視点の組み合わせで考えていくことが多いです。

少年B:
黒田さんは昔から物事を考えるのが好きな子どもだったんですか? たとえばなぞなぞが得意だったり。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

黒田:
よく聞かれるんですが、昔から謎をつくってた、とかじゃないんですよ。言葉遊びはわりかし好きな方でしたけど……。

少年B:
じゃあ、どうやって謎を作るんですか?

黒田:
社内にもいろんなタイプの人がいるんですが、僕の場合は「締め切りがあるから」ですね。締切が謎を作るタイプと言うか。逆にいうと締切がないと作れません(笑)

少年B:
締切に追われてなんですね!(笑) なんだか親近感が湧きました。