作るのは謎じゃなくて「自分がいる理由」

少年B:
そもそもですが、謎解きイベント会社・ハレガケの起業はどのような経緯だったんですか?

黒田:
のちの共同創業者になるイベンターの方に「無人島でバーベキューをやるから、何かイベント企画作ってよ」と言われて。それが割とうまくいって、そこからじゃあ一緒にやろうか、って話になりました。いまウチでは『NAZO×NAZO劇団』ってブランドで、キャストと絡みながら謎を解くイベントをやってるんですけど、その原型を作ったり。

少年B:
運命の出会い的な……。

黒田:
どうですかね……。でも価値観は近かったです。彼はシェアハウス経営が本業で、イベントも「第二の家族を作る」ということを大切にしていて。僕は「自分を100%発揮できる、人の活きる場を作る」ことに重きを置いていたので。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

黒田:
人が思いっきりはしゃいだり、自分の力で難しいものに立ち向かっていく体験ってすごくいいなと思っていて。そういう場を作りたいんです。それにその体験って、その人がそこにいないと成り立たないですよね。

少年B:
……といいますと?

黒田:
たとえば演劇や映画であれば、そこに「自分がいる理由」ってありませんよね。見ている人がいなくても劇は進むので究極的にはいなくても成り立つかな、と。もちろんそれが悪いわけではないですが。

少年B:
「自分」はあくまで観客ですもんね。

黒田:
でも、謎解きはそこに「自分」がいないと始まらないんですよ。キャストもいるけど、謎を解いて、物語を進めるのはあくまでも参加者本人なんです。

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

黒田:
「謎解き」自体は手段で、そうやってイベントという仮初の場ではあるけども「人が輝ける場を作ること」が目的なんです。「謎解きが好きか?」と聞かれたら、好きでも嫌いでもないんです。でも謎解きへの愛がないわけでもなくて、謎解き以上に、僕のやりたいことを実現できる手段ってないのかな、と思っています。

いまは社員も増えたので、僕の仕事は謎作りよりも組織作りがメインになっているんですが、その場所がイベント会場から社内に変わっただけで、やりたいこと自体は変わってないですね。メンバーそれぞれが考えて、成長して、自分らしく生きていける環境を作っていきたいという。

謎制作者の募集では「謎を作ったことない人」ほぼ不採用

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:
現在黒田さんは会社として謎解きをプロデュースしていますが、「どういう人を採用したい」みたいなのはありますか?

黒田:
たとえば謎制作者の新卒応募だと、「謎を作ったことないけど作りたいです!」みたいな人はほぼ落としてますね。謎作りに設備やお金はいらないので、まずは自分で作ってみたらいいんじゃないかなって思います。

自分から動ける人じゃないと、会社に入っても結局謎は作れないと考えてるんです。いや、うちのノウハウが足りないだけかもですが、謎って「教えてもらって作れるもの」ではないので。

少年B:
会社として、「謎解きはこうやって作ろう!」みたいなのってないんですね。

黒田:
残念ながら、ないんですよね。その謎がいいかわるいかを判断するところはあるんですけど。

少年B:
えっ、それは気になります。言える範囲でぜひ教えてください!

「謎解きイベントじゃなくてもよかった」謎解き社長に教えてもらった、その仕事をやる理由
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

黒田:
「謎の難易度が適切か」「ユーザビリティに優れてるか」「ただの作業になってないか」といったところですね。テストプレイを何度かするので、そこで実際の反応を見ながら選んでいきます。やっぱり想像よりも簡単だとか、難しいとかはあるので。

少年B:
謎解きイベントのクリア率ってどれくらいなんですか?

黒田:
スタイルにもよるのですが、2~3割ぐらいが多いですね。クリアしたときの喜びは大きくなきゃいけないので、クリアしない場合が当たり前として、がんばれば解ける、みたいな感じで作っています。お客さんの層によって、たとえば謎解きファンみたいなお客さんが多くいらっしゃるとクリア率は高くなりますけどね。