【気持ち面】フリーランスが法人成りするメリット

というわけで、ここからは私の感じた、個人的なメリットも挙げていきます。

メリット6. 仕事量が増え、幅も広がった

法人成りの経緯について説明したnoteを公開し、「2020年の収入は566万2553円、所得は407万9431円でした」と書いたところ、「たったそれだけの売り上げで法人化するの?」という意見も当然いただきました。いや、そうですよね。自分自身も、税理士さんからいただいたシミュレーションを見て「微妙なところだなあ」と感じました。

それでも法人化したのは、「これを起爆剤にして、どんどん仕事をいただけるようになるぞ」と決意したためです。実際に、法人化してからは仕事の幅が大きく広がりました。具体的に言うと、12月の売り上げは昨年対比4.5倍でした。(ここから外注費をお支払いするので、まるまる利益ではありませんが……)

こういう結果になったのは、もちろんアシスタントさん・クリエイターさんに一部業務を委託できるようになった(制作体制を拡充した)ためでもあると思うのですが、一番は「応援してあげよう」と思ってくれる方が増えたからではないかと考えています。小さな会社でひいひいやっている人間に対し、世の中はけっこう優しいみたい。これが一番の発見でした。

メリット7. 老後の不安が少しだけ軽くなった

日本の年金制度は、原則として「夫婦の片方がサラリーマンとして働き、もう片方が扶養される」スタイルで組み立てられています。ここから外れる個人事業主(フリーランス)のセーフティネットは、残念ながら貧弱と言わざるを得ません。

この図を見てみましょう。会社員である第2号被保険者は、国民年金+厚生年金保険の2階建てとなっており、希望すれば、確定拠出年金・iDeCoの3階建てにまですることができます。

法人成り経験者が語る、後悔しない!法人化の8つのメリットとタイミング
▲出典:厚生労働省(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

一方、フリーランスを含む自営業者(第1号被保険者)は、何もしないと、国民年金のみの1階建て。希望すれば国民年金基金、もしくはiDeCo(※)を追加して2階建てにできますが、それでもたった2階建てです。

※国民年金基金とiDeCoは併用できますが、上限金額は増えないため、3階建てになるわけではありません。2階部分に、部屋が2つできるだけです。

もちろん、最近では働き方の多様化に伴い、フリーランス向けのさまざまな支援制度も登場しています。以前と比べれば、フリーランスのセーフティネットは充実してきたと言えるでしょう。

ただ、それでもフリーランスにとって「公的年金はじめ、社会保険が少ない」ことは2022年2月時点において揺るがない現実なわけで……。

法人となり、強制的に国民年金+厚生年金保険へ加入させられることにより、ある程度ホッとできるのも事実でした。所定の手続きを踏めば、退職金制度も設けられますしね。

メリット8. 「どんな仕事してんの?」への返事がラク

最後は本当に気持ちの問題なのですが、まだまだ世の中、会社員として働いている方が多いので、「フリーランス」という働き方について説明するのが難しいときがあったんですよね。

その代表例が実家の父で、正月に帰省するたびに、

「お前は今、何して生活してんの?」
「フリーランスでWebのいろいろやってる」
「フリーランス? つまりフリーターか?」
「いやフリーターではなくて、あれよ、自営業みたいなやつ」
「自営業? っちゅうことは店でも構えとるんか」
「いや店っていうか、普通に家で仕事してるけど」
「どういうこっちゃねん!?」

みたいなことになります。ちなみに父は最近、ExcelのSUM関数(足し算)を知ったそうで、「お前、サム知ってるか!?」「サムは便利やぞ!」と何度も自慢してきます。

ところが法人化するとですね、

「お前は今、何して生活してんの?」
「会社やってる」
「ほお〜!」

これで終わりです。これまで「東京に出ていって、インターネットで何かをしているプータローまがいの娘」だったのが、「大社長」にランクアップですよ。

ここでは極端な例を挙げましたが、結局、これが「社会的信用が増す」ってことだと思うんです。そう考えると、ビジネスとはいえ人と人とのコミュニケーションですし、仕事の上でもメリットがあるかもしれません。

ただし、法人化した直後は、あらゆる友人から「ヨッ! 社長!」とイジられます。覚悟してください。