人生の大半を使って、それで食っていきたいか

少年B:
それでは最後に、平沼さんの考える専門性を教えていただいてもよろしいでしょうか? 「自分だけのスキル」を見つけたい人に一言お願いします。
平沼:
私は自分の専門性をみつけるために試行錯誤したわけではなくて、ひたすら好きなことを突き詰めた結果が今なんです。趣味への興味の高まりと、インターネットやアフィリエイト、Web広告といった仕組みが登場してきた時期が合致したことも、とても幸運だったと思います。
現在は昔以上に、個々人の持つニッチな分野での専門性が直接収入に結びつくサービスがたくさんありますよね。ブログやSNS、YouTubeなど、発表する場はたくさんありますから、好きなことをしっかり継続して発表していくことが大事なんじゃないかなぁと思います。
少年B:
確かに、発表する場が増えて、好きを仕事にしやすくなりましたよね。

平沼:
でも好きを仕事にするなら、自分の人生の大半を使って、それで食っていきたいかどうかは考えた方がいいと思っています。そういう情熱がないと続きませんから。
あと、私がもうひとつ大事にしていることがあって、それは自分からライバルを見に行かないことです。ライバルと自分を比較することは、毒でしかないと思うんですよ。自然と彼らのことが耳に入るのはやむを得ないですが、自分から相手のことを調べれば、だいたいは羨ましい部分や、自分の自信を失うような部分を、自然と探してしまいますよね。それは「自分が突き詰めたい分野への本来の興味」をゆがめてしまう。評価するのは第三者だけで結構だと思っています。
少年B:
確かに、「あいつはこんなことをやってるぞ!」って思うと、焦りや嫉妬、追随する気持ちが生まれてしまいますよね。

平沼:
自己防衛のためにも、あくまで自分の活動を大事にするのがいいんじゃないかなと思います。私自身もまだ道半ばで偉そうなことは言えませんが、丁寧な発信で同好者を増やしていくことが大切です。そのためには、説明不要の分かりやすい部分では思いっきり興奮を伝える一方、ある程度知識がないと楽しく読めない部分は、懇切丁寧に説明するようにしています。
また、自分が持ちたいファンの姿をイメージして、その方向に誘導することも大事です。危険な探索や冒険を求めるファンの声にばかり応えていては、命がいくつあっても足りません。そういう人たちにも歴史や技術の部分の魅力に気付いてもらえるように、地道に発信するのが大切かなと。
ファンの声はいろいろなことを気付かせてくれる存在だけど、自分がモチベーションを保ち続けることはもっと大切です。自己防衛をしながら、楽しく活動していくのがいいんじゃないでしょうか。

【記事のまとめ】
・休まず浮気せず、ずっと好きなものを発信していくことが大切
・自分から営業をしないことで、心の安定が図れる
・人と比べず、評価は第三者に任せる
・自分の持ちたいファン像のイメージを持ち、自分の発信を合わせていく
・発信のモチベーションを保つことがもっとも大切
(執筆:少年B 編集:泉知樹)
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