目次
食べていくために、「食べていくことを考えない」

食べていくために、「食べていくことを考えない」

少年B:

手広くお仕事をされている地理人さんですが、その楽しさを教えてください。

地理人:

地図をベースに、新しい仕事が見つけられたら楽しいですね。「東京の地理の歴史を書いてください」って依頼がきても、ありがたいけどそんなにおもしろくはない。私より書ける人がいるでしょうし。でも、「地理を活かした研修」とかがきたら、おっ!てなりますよね。「そんな仕事あるんかい!」って(笑)

少年B:

それは確かにおもしろポイントですよね。「これで食べていけるぞ!」と思ったきっかけのお仕事はありますか?

7歳から始めた空想地図作りが、10種以上の仕事につながったワケ
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

地理人:

「これ!」という仕事はないんですが、2014年からいろんな仕事が蓄積されて、一定数貯まったタイミングですかね。取材、トークイベント、執筆、DTPデザイン、複数の仕事が重なって一気に来たタイミングがあって、その時に「もしかして仕事として食べていけるか……?」と思いましたね。

少年B:

仕事が複数くると「自分に需要があるんだな」って思えますね。

地理人:

あと、「複数ないと私の収入は成り立たない」って感じですかね(笑)

少年B:

地理人さんが今後、挑戦したい仕事や夢があれば教えてください。

地理人:

夢ではないんですが……。2018年くらいに企業の大きな仕事が途切れて、劇的に収入が下がったんですよ。そのあと持ち直した理由は企業案件の復活じゃなくて、書籍とグッズと展示なんです。

少年B:

違う仕事が入ってきたんですね! そして書籍にグッズに展示……クリエイターなら諸手を挙げて喜びそうな話です。

7歳から始めた空想地図作りが、10種以上の仕事につながったワケ
(画像=▲2016年~2020年の展示/デザイン仕事の移り変わり(資料より関係部分のみを抜粋)、『Workship MAGAZINE』より 引用)

地理人:

それまでは「企業向けのお仕事がんばるぞ!」と思ってたんですが、それが途切れて、なんとなく作家っぽい仕事になってきてるんですよ。企業に呼ばれたワークショップでも「クレイジーな地理人の話」をしてくれと言われることが増えてきて。

そうすると、「食っていくために仕事のクオリティを上げる」よりも「食っていくことを考えない、私の衝動」の方が価値になり始めているんですよね。

少年B:

食べていくために、「食べていくことを考えない」という……。

地理人:

倒錯してますよね。

もっと空想地図を作る、展示を増やす。実績を積み重ねるよりも、そうやって「地理人」個人のインパクトを出していくほうがいいのかな、と思っています。

7歳から始めた空想地図作りが、10種以上の仕事につながったワケ
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

少年B:

最後に、「自分だけのスキル」を見つけたいフリーランスに一言お願いします。

地理人:

すでに自分の武器がある人は、それを突き詰めていくのがいいとは思います。

一方で「何もないなあ」と思ってる人は、ひたすら「他者との比較」をすることが大切だと思っています。自分の能力って、ほんと何気ないところにあるんです。自分が何気なくやってることが、周りの人にとってはすごいことだったりする。

少年B:

なるほど……。

地理人:

たとえば器用貧乏だったら、「他の人が手を出さない領域まで広げる」とか。そうすると「あんなことまでできるの!?」になるじゃないですか。

少年B:

確かに……。想像を超える幅広さは武器になる気がします。

地理人:

その強み1本で行けるかはわからないけど、何個か発見して、組み合わせてみれば食べていけるかもしれない。特技と掛け合わせることもできるかもしれません。

【記事のまとめ】

  • 突き詰めるのではなく、さまざまな仕事に手を出すのもひとつの手
  • 趣味でやっていたことをアウトプットすることで仕事になった
  • 専門性は「プラグイン」としても活用できる
  • 自分が何気なくやっていることが人にとっては「すごいこと」かも

(執筆:少年B 編集:イズミカズキ 撮影:じきるう)

提供元・Workship MAGAZINE

【関連記事】
フリーランスで爆死しないためのリスクマネジメント ?独立、その前に!?
仕事の名義、正解ってあるの? ~フリーランス、名義をどうするか問題~
フリーランスの名刺論 ?それ、覚えてもらえる名刺ですか?~
"祈られない" 営業方法 ~提案の正解、たぶんこれです~
フリーランスのアンガーマネジメント ~ちょっと待て、その一言がブタのもと~