より長い効果を求めて

重度の脳障害患者が「睡眠薬」によって、逆に”意識を取り戻す”事例が報告される
(画像=ゾルピデムをヒントに新たな薬が作られるかもしれない / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究とリチャード氏の協力により、無動無言症に対する理解が大きく進みました。

精神レベルの低下は脳の活動低下だけでなく、過活動によっても引き起こされるという事実は、既存の常識を大きくくつがえす結果と言えるでしょう。

もし将来的に、ゾルピデムのような脳の過活動を抑制する効き目を持ち、それでいて効果時間が長く、耐性がつくにくい薬が開発されれば、リチャード氏の精神をより長い間、正常な状態に維持できるようになる可能性があります。

現在、ゾルピデムの持つ特殊な覚醒効果を動物実験で確認する作業が続いており、遠くない将来、リチャード氏の貢献が報われる日がくると考えられます。

参考文献
medicalxpress
, sciencetimes

提供元・ナゾロジー

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