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そもそもなぜ、入居率が低い物件が存在するの?
空室を減らして入居率を上げることが、不動産投資を成功に導くカギ
そもそもなぜ、入居率が低い物件が存在するの?
エリアにはよりますが、入居率が低い物件が存在する主な背景として、土地所有者が利用されていない土地を有効活用や相続税対策の目的で新規の住宅供給が需要を上回るペースで行われている現状が挙げられます。
アパートを建てると、よく「相続税対策になる」といわれますが、相続税対策を目的とした新規物件が需要以上に増加することで、結果的に入居率が低い物件が増えてしまうことになります。
そもそも、なぜ、不動産を建てると節税対策になるのでしょうか?
例えば、現金で1億円を持っているAさんがいるとします。Aさんが死亡した場合、現金1億円なら相続税評価額は1億円になります。しかし、Aさんが生前にその1億円で5000万円の土地を買って5000万円のアパート(建物)を建てたとします。この場合、土地は相続税路線価によって評価され、8割ほどの評価額、つまり約4000万円となります。
●土地の評価額=5000万円×0.8=約4000万円
人に貸し出すと、アパートに住んでいる人が持つ借地権と借家権という権利がある分、所有者の権利が制限されるため、評価額は下がります。人に貸したアパートは貸家建付地と呼ばれます。貸家建付地の評価額は借地権割合と借家権割合、どのくらい貸しているかの割合である賃貸割合の割合を差し引いて、評価額を計算します。貸家建付地の評価額を算出する計算式は、以下の通りです。
●貸家建付地の評価額=土地の評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
借地権の割合は、土地によって異なり一般的には60〜70%程度です。借地権の割合は、国税庁のHPに掲載されている財産評価基準(路線価図・評価倍率表)で確認できます。借家権は一律で30%と決まっています。賃貸割合は、アパートのすべての部屋の床面積に対する、実際に住んでいる人の占有面積に応じて決められ、満室の場合は100%となります。
例えば上記の4000万円の土地の場合、借地権割合が70%、賃貸割合が30%、賃貸割合が100%だったと仮定したときの計算式は以下の通りになります。
●貸家建付地の評価額=土地の評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=4000万円×(1−70%×30%×100%)=3160万
土地の評価額は、3160万円となります。
建物に関しては、固定資産税評価額(時価の70%程度)で評価されるので、上記の5000万円で購入した建物の場合は、3500万円となり、さらに人に貸し出すことで借家権割合の30%が差し引かれて賃貸割合は100%であるため、2450万円となります。
●賃貸物件建物の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)=3500万円×(1-30%×100%)=2450万円
この2450万円を、先ほどの土地と建物の評価額と合計すると、5610万円となります。
●3160万円+2450万円=5160万円
ご覧の通り、1億円の評価額と比べておよそ半分の評価額になってしまうのです。そのため、Aさんのように多くの人が相続税対策としてアパートを建てているのも、無理のない話かもしれません。
もちろん、アパートが全て相続税対策のためであるとは限りませんが、増加しているアパート経営者の主な目的が節税である以上、オーナーからすると入居者がついていようがいまいが大きな問題ではないので、入居率が低くなることは自然な現象といえます。
空室を減らして入居率を上げることが、不動産投資を成功に導くカギ
不動産投資と入居率の関係についておさらいしましょう。
- 不動産投資で安定して利益を得るためには、入居率の向上が最重要課題。
- 近年の不動産市場における入居率の低下の主な原因は、需要を考えない土地の有効活用や相続税対策を目的としたアパートなどの住宅の過剰供給にある。
- 通常の不動産経営において入居率が低い主な原因は、需要がないエリアでのアパートやマンションの建設、相場より家賃が高い、募集がうまくいっていない、清掃状況に問題がある。
- 入居率を上げるためのポイントは、入居者目線で考える、不動産業者との関係を良好に保つ、清潔感を追求するの3つ。
不動産投資は株式投資などと同じ投資である以上、リスクが存在します。中でも大きなリスクは、空室リスクです。従って、空室を減らして入居率を上げることが、不動産投資を成功させるカギだといえます。
提供元・レイビー
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