がん団信は必要なのか?
ここでは、がんに関する各種データを用いて解説します。がん団信への加入を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
がん患者数
がん患者数の推移
平成20年 (2008年) | 平成23年 (2011年) | 平成26年 (2014年) | 平成29年 (2017年) |
---|---|---|---|
151.8万人 | 152.6万人 | 162.6万人 | 178.2万人 |
引用:厚生労働省「患者調査 統計表」より
厚生労働省が公開している「患者調査」より、直近4回分のがん患者数を上記表にまとめています。
がん患者数は増加傾向にあり、ローン返済に対するがんリスクは高まっているといえるでしょう。
がん生存率
がん生存率の推移
生存期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 |
---|---|---|---|---|---|
相対生存率 | 0.86 | 0.778 | 0.734 | 0.705 | 68.4% |
引用:国立研究開発法人国立がん研究センター
「全がん協生存率調査 相対生存率(全部位/2009年-2011年)」より
万が一がんになってしまった場合、長年に渡って治療を続けなければならないリスクが考えられます。
がんの原因など個々の要因において生存期間は異なるでしょう。
上記表は全部位のがんにおける平均的な数値のため、あくまで参考としてご覧ください。
がん患者・経験者の就労問題
厚生労働科学研究費補助金、厚生労働省がん研究助成金「がんの社会学」に関する合同研究班(主任研究者 山口 健)(平成16年)によると、がんの診断後に勤労者の34%が依願退職または解雇、自営業者等の13%が廃業という結果になっています。
万が一がんになってしまった場合、休職・退職・廃業による収入減のリスクがあるのです。
がんになってしまった場合の治療費や生活費に不安がある方は、リスク対策の一つとしてがん団信の選択が考えられるでしょう。
がん団信の詳細
みなさんの中には、がん団信の詳細を理解してから加入を検討したいという人がいるのではないでしょうか。
ここでは、がん団信の仕組みや利用条件などの詳細について解説します。
がん団信の仕組み
がん団信の仕組み自体は、住宅ローンと不動産投資ローンにおいて大きな違いはありません。
多くの金融機関では、ローンの金利を上乗せする形で保険料の徴収を行っています。
上記でも解説したように、がん団信の被保険者は金融機関に保険料を支払い、所定の「がん」と診断確定されるなど保険金支払いの条件を満たした場合にローンの残額が返済される仕組みとなっています。
利用条件
がん団信は生命保険の一種ですから、加入にあたり健康状態の告知義務があります。
そのため、告知内容によってはがん団信に加入できないということがあり得ます。
過去から現在に渡る病歴などを保険会社に伝えなければなりませんが、虚偽の報告をした場合は告知義務違反となるので注意が必要です。
万が一告知義務違反があった場合、保険が解約となったり、保険金が支払われなかったりするなど重いペナルティが課せられます。
住宅ローンの場合、団信への加入を必須としている金融機関が多くあります。
そのため、健康状態に問題があると判断された場合に、住宅ローンを組むこと自体が難しい場合があるのです。
しかし、フラット35のように団信への加入が必須でない商品や、ワイド団信といった加入審査が比較的緩い商品が展開されています。
不動産投資ローンの場合は、団信への加入が必須の場合と任意の場合、どちらも考えられます。
金融機関やローン商品などにより異なりますので、詳細は担当者に確認してみましょう。
支払い条件
がん団信において保険金が支払われる(=ローンの残債の返済が行われる)条件は、「所定のがんであると医師による診断確定が行われること」です。
保険の種類によっては、「余命が〇か月と診断される」という条件でも支払われることがあります。
支払い条件の違いは住宅ローン・不動産投資ローンの違いというよりは個々の保険商品毎の条件の違いとなりますので、いずれにしても商品内容をきちんと確認することをおすすめします。
対象外のがん
対象外となるがんの種類については、保険商品により異なります。
住宅ローン・不動産投資ローンのいずれにしても、金融機関が取り扱う保険商品の内容を確認してみてください。
金融機関の取り扱うがん団信によっては、子宮頸がん0期・大腸粘膜内がん・非浸潤がんなどの上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんを保障対象外としているものがあります。
また、ローン実行日から〇日以内のがん診断確定は対象外としていることもあります。
詳細は、金融機関の担当者などに確認してみましょう。
金利
住宅ローン・不動産投資ローンのいずれにしても、がん団信に加入する場合の金利は金融機関や保険商品によって異なります。
たとえば、みずほ銀行が提供しているがん団信では「金利に0.15%上乗せ」、ソニー銀行のがん団信100では「金利に0.1%上乗せ」を条件としています。
また、ソニー銀行では金利負担ゼロ、がんの診断確定で残債の50%を保障するがん団信50という商品も取り扱っています。
ローン全額の保障にはなりませんが、金利負担を気にする方はがん団信50への加入も選択肢に入れるとよいでしょう。