長時間労働による「過労死」の認定が社会問題になったこともあり、昨今の日本においては国が主導して「働き方改革」を推進しています。
残業時間が劇的に減ったのは喜ばしいことかもしれませんが、一方で「給与の手取りが減ってしまい、ローンの返済が厳しい」と収入面で困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本業の収入減を補うには、増えた余暇時間に副業をするのが有効です。
しかし、未経験の方は「本当に稼げるの?」「どんな仕事があるの?」などの疑問が尽きないことでしょう。
そこで今回は、サラリーマンにおすすめの副業の選び方を解説します。
どんな副業を始めようか悩んでいる方は是非参考にしてみてください。
副業が注目される背景
働き方改革による残業代ダウン
副業が注目を集めている背景には、国が進めている「働き方改革」があります。
2017年3月に「働き方改革実行計画」がまとめられ、罰則付き時間外労働の上限規制の導入が明記されました。
時間外労働について、条件付きで年720時間まで延長できるとしながらも、原則は月45時間、年360時間を上限としています。
これを受け各企業において、残業時間が上限値を超えないように「所定の時間になったらPCの電源が落ちる」など強制的に残業を抑制する仕組みが導入されるようになりました。
また、国は残業の抑制と並行して会社員の副業促進も図っています。
それにより、これまで就業規則で副業を禁じていた会社も、規制を緩和して副業を認める流れになりつつあります。
収入減と増税によって手取りが目減り
副業を始める人が増えている要因の一つとして、サラリーマンの平均給与が実質的に減り続けていることが挙げられます。
国税庁の民間給与実態調査によれば、サラリーマンの平均年収の推移は以下の通りです。
平均年収 | 対前年伸び率 | |
---|---|---|
令和元年度 | 436万円 | -0.01 |
平成30年度 | 441万円 | 0.02 |
平成29年度 | 432万円 | 0.025 |
平成28年度 | 422万円 | 0.003 |
平成27年度 | 420万円 | 1.3% |
平成26年度 | 415万円 | 0.003 |
平成25年度 | 414万円 | 0.014 |
平成24年度 | 408万円 | -0.002 |
平成23年度 | 409万円 | -0.7% |
平成22年度 | 412万円 | 0.015 |
平成21年度 | 406万円 | -0.055 |
平成20年度 | 430万円 | -0.017 |
平成19年度 | 437万円 | 0.5% |
参考:国税庁|令和元年分民間給与実態調査結果について
国税庁|平成30年分民間給与実態統計調査|15P
平成21年には、前年のリーマンショックの影響から406万円と大きく落ち込んでいるのがわかります。
その後、令和元年にはリーマンショック前の給与水準に戻っており、平成19年と同等の平均年収まで改善しています。
しかし、消費税が10%に上がっているほか、公的年金の保険料率も上がっているなど、実質的には平成19年当時より手取りは減っているのが実情です。
そんな中、減ってしまった手取りを補填するための手段の一つとして、副業に取り組む人が増えているのです。
副業を探す時の条件は3つ
1.スキルアップや人脈づくりにつながるか
サラリーマンが副業を行うなら、スキルアップや人脈づくりにつながるものが望ましいといえます。
例えば求人情報誌などで、チラシ投函や新聞配達の仕事が見つかることがあるかもしれませんが、スキルアップにつながるとは考えにくいでしょう。
業種にはよりますが、サラリーマンは他業界の情報を得たり、人脈を広げる機会があまり多くはないでしょう。
しかし、副業を行うことで全く知らない業界の人とつながるチャンスが増えます。
せっかく貴重な時間を使って副業するのですから、新しい知識やスキル、人脈を得られるような仕事を探しましょう。
そうすることにより、副業で新たに得た知識や経験を本業でも活かせるようになるでしょう。
2.長く楽しみながらできるか
副業を始める目的はさまざまですが、「本業だけでは足りない収入を補う」という方も多いでしょう。
しかし、副業は本業を終わらせた後のスキマ時間や休日に行うことになりますから、自分の余暇時間を減らすことになります。
自由に使える時間を労働時間に変えるわけですから、本業ではなかなかチャレンジできないようなジャンルを選定するなど、楽しみながら長く続けるための工夫をしてみましょう。
3.副業先が本業と競合しないか
副業を探す際、本業とバッティングする同業他社での仕事は避けましょう。
同業他社において、副業で利益を上げるということは、他社から見たライバルである本業の会社の利益を奪っていることになるためです。
同業他社で働くことで、その気がなくても本業の重要な情報が漏洩してしまうことも考えられます。
そうなれば本業を解雇されるだけでなく、損害賠償を請求される可能性さえあるのです。