家賃収入が入るようになったら、収入に応じて税金を払うことになります。

サラリーマンとしての給与収入のみであれば、所得税の納税等については会社に任せていればよいのですが、マンションやアパートを経営するようになれば、オーナー自らが確定申告を行わなければなりません。

そのため、家賃収入にかかる税金についての仕組みを正しく理解し、納税や税金の還付を受けられるようになることが重要です。今回は、家賃収入と税金、確定申告について確認していきましょう。

目次
家賃収入にかかる税金
不動産収入と不動産所得の関係

家賃収入にかかる税金

家賃収入にかかる税金は?計算方法と確定申告のやり方を知ろう!
(画像=『レイビー』より引用)

所得税

個人名義で運営しているマンションやアパートで家賃収入を得た場合、家賃収入にも「所得税」がかかります。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村が行政サービス(ゴミ収集、教育、福祉など)を住民に提供するために徴収している税金です。税額の計算方法は、個人の所得税と似ていますので、所得税の計算方法について理解することからはじめましょう。

参考:法人として家賃収入を得ている場合

不動産経営のために法人を設立する場合は、法人税・法人事業税・法人住民税がかかります。

法人税

法人が事業活動を通して得た所得にかかる税金で、国に納付します。

法人事業税

法人の所得に対して課される地方税です。都道府県に納付します。

法人住民税

法人も都道府県や市区町村に、住民税を支払うことになります。

不動産収入と不動産所得の関係

家賃収入にかかる税金は?計算方法と確定申告のやり方を知ろう!
(画像=『レイビー』より引用)

収入と所得の違い

所得税はその名の通り「所得」にかかる税金です。収入の全額にかかるのではなく、収入から必要経費を指し引いた「所得」に対して、所得税がかかる仕組みです。

所得 = 家賃などの「収入」 - 必要経費

賃貸経営で得られる収入

賃貸物件の経営で得られる「不動産収入」は家賃だけではありません。どのようなものが「収入」にあたるか、確認しましょう。

家賃

入居者から毎月受け取る家賃は、不動産収入の大きな柱です。

もし、家賃を滞納している人がいて、オーナーの元に入金がされていなくても、原則として受け取るはずだった家賃を「売上」として計上しなければなりません。

礼金

オーナーに対し「物件を貸してくれるお礼」という意味で、入居者から支払われるのが礼金です。退去時には返金しない点が、「敷金」とは異なります。敷金は、オーナーが預かっているだけのものなので、預かった時点では、オーナーの収入にはなりません。

更新料

賃貸契約の期限が来ると、入居者との間で契約更新をするかどうか話し合い、更新する場合には更新料を受け取ります。更新料は不動産収入にあたります。

共益費・管理費など

家賃とは別に、電気代、水道代、掃除代などを徴収する場合には、不動産収入として計上しなければなりません。

駐車場利用料

駐車場を併設する賃貸物件で、駐車場利用料を徴収している場合には、駐車場利用料も不動産収入に当たります。

経費として計上できる支出等

マンションやアパートの経営にはコストがかかります。どのようなコストがかかるかを把握し、漏れなく「経費」として計上することが、正確に納税出来るのか、節税になるのかのポイントになります。

修繕費

建物や付帯設備は、時間が経てばどうしても劣化します。外壁塗装や室内のクリーニング、給湯器やエアコンの修理、交換にかかる費用をオーナーが負担した場合、修繕費として経費計上ができます。

修繕積立金

数年~十数年に一度の大規模修繕に備えて積み立てを行うことがあります。

マンションの一室~数室のみを所有し、その部屋を賃貸に出しているオーナーは、修繕積立金を負担している場合が多いでしょう。

国税庁は修繕積立金に関して、下記の見解を示しています。

「修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられます。」

  1. 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
  2. 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
  3. 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
  4. 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

したがって、オーナーの支払った修繕積立金については、原則として実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、上記1ないし4のいずれの要件も満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えありません。

賃貸管理代行手数料

不動産管理会社は手数料を受け取り、物件の清掃、家賃の徴収、住民トラブルの解決などの賃貸管理業務を行います。オーナーは「家賃の数%」などの形で管理代行手数料を支払い、それを経費として計上することができます。

ローン金利

マンションやアパートを購入する際にローンを利用し、毎月返済を行っているオーナーは、返済額のうち金利相当額を、必要経費として計上することができます。

減価償却費

物件を購入するために要した費用は、購入の時点で一括して費用に計上するのではなく、建物の耐用年数が来るまでの期間にわたって、少しずつ費用として計上します。このような会計処理を行うために、「減価償却費」という勘定科目が使われます。

入居者募集のための広告宣伝費

アパートやマンションを建てただけで、入居者が集まるわけではなく、入居者を募集する旨の広告宣伝を行う必要があります。そのための費用は経費として計上することができます。

租税公課

不動産を購入するときに必要な収入印紙代、不動産取得税、不動産経営を続けるために支払う固定資産税や都市計画税は、必要経費として計上できます。

ただし、住民税と所得税は必要経費として計上することができません。

損害保険料

不動産経営にはさまざまなリスクがあり、火災保険や賠償責任保険などに加入して、リスクに備えることが必要です。損害保険に加入して支払う損害保険料は経費として計上することができます。

司法書士・税理士への手数料など

不動産の登記を司法書士に依頼したり、確定申告書の作成を税理士に依頼したりする場合の手数料や報酬は、必要経費として計上することができます。