目次
数万円で始める「REIT」(不動産投資信託)
100万円程度で始める「不動産小口化商品」(任意組合型)
数万円で始める「REIT」(不動産投資信託)
REITとは、不動産を投資対象とする投資信託(不動産投資信託)です。
特徴やメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。
特徴・利回り
運用対象を不動産とする投資信託を、REIT(不動産投資信託)と言います。
少額の不動産投資としては最もメジャーな方法で、日本のREIT市場の時価総額は13兆円超(2020年10月時点)、分配金の平均利回りは年4%程度です。
数万円から不動産投資できる方法として、多くの投資家から人気を集めています。
日本のREITは、投資法人が不特定多数の投資家から集めた資金を元に、運用会社を通じて不動産を運用します。
不動産運用で得た収益を分配金という形で投資家に分配する仕組みは、クラウドファンディングと同じです。
日本のREITの仕組みは、海外REITと異なる独自の仕組みで、J-REIT(Jリート)と呼ばれています。
ここでは日本のJ-REITを中心に、メリットやデメリットを解説します。
メリット
現物不動産投資と比較したときのJ-REITのメリットは、以下の3点です。
・上場市場で取引されているため、手軽に売買できる
・不動産を購入、運用、管理する手間がかからない
・比較的少額(数万円)から始められる
J-REITは証券取引所に上場しているため、上場株式と同様にリアルタイム取引が可能です。
市場が開いている時間であればいつでも売買できるため、不動産投資でありながらも換金性・流動性が高い点は大きな魅力と言えるでしょう。
現物不動産で悩みがちな物件選びや入居者のクレームといったトラブル、物件の定期的なメンテナンスも不要です。
専門家に任せながらも安定した利回りを得られるため、数多くの投資家から支持されているのでしょう。
なお2020年10月27日時点で上場しているJ-REIT銘柄全62件のうち、5万円以下で投資できる銘柄は5件、10万円以下の銘柄は10件です。
不動産クラウドファンディングほどの手軽さはありませんが、物件の購入に数百万円はかかる現物不動産と比べれば、比較的少額で始められると言えます。
デメリット
現物不動産投資と比較したときのJ-REITのデメリットは、以下の3点です。
・投資法人の破綻や上場廃止により、元本割れする可能性がある
・株式市場の影響を受けやすく、投資金額(株価)が常に変動している
・物件選びや運用、管理をコントロールできない
機動的な取引と専門家にお任せできる点がJ-REITの魅力ですが、そうした特性は見方を変えればデメリットにもなりえます。
投資対象の不動産が自然災害にあえば、当然運用の利回りは悪化します。
投資金額(株価)は常に変動しているため、株価市場の影響を受けて大きく下落する可能性もあるでしょう。
また運用管理は専門家に任せる仕組みになっているため、自身で運用を工夫して利回りを上げることはできません。
流動性に優れ、運用管理を専門家に任せられるからこそ、こうしたデメリットも生じる点は覚えておきましょう。
100万円程度で始める「不動産小口化商品」(任意組合型)
不動産小口化商品とは、ひとつの不動産を複数の投資家で所有する不動産投資の方法です。
不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品は、「任意組合型」「匿名組合型」「賃貸型」の3つに分けられます。
ここでは一般的に広く知られている任意組合型の特徴やメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。
特徴・利回り
不動産小口化商品(任意組合型)は、ひとつの不動産が小口に分けて販売されている金融商品です。
具体的には、3,000万円の不動産が一口100万円、合計30口で販売されているイメージです。
投資家は小口化された商品を口数単位で購入し、購入した不動産から得られる収益を他の投資家と分け合います。
物件によって利回りは異なるため一概には言えませんが、年3~4%程度の利回りが相場です。
不動産小口化商品(任意組合型)の特徴は、収益だけではなく物件の所有権も分配される点にあります。
不動産クラウドファンディングやREITの場合は物件の所有権がないため、得られる利益はインカムゲインが主体です。
しかし不動産小口化商品(任意組合型)であれば、物件の売却によるキャピタルゲインも見込むことができます。
ただし、共同購入とはいえ現物不動産への投資になるため、最低でも100万円程度の投資金額が必要です。
メリット
一般的な現物不動産投資と比較した場合の不動産小口化商品(任意組合型)のメリットは、以下の3つです。
・不動産を運用、管理する手間がかからない
・個人では購入が難しい物件に投資できる
・現物不動産と比べて少額(100万円~)で物件の所有権を持てる
不動産小口化商品は比較的少額で物件の権利を得られること、そして個人では購入が難しい物件も投資対象にできる点が大きな魅力です。
都内の一等地で駅からも近く、交通の便が申し分ない優良物件は空室リスクが低い反面、物件価格が数千万円することもあります。
そんな優良物件でも、小口化という手段を使えば所有権を得られるため、長期的に安定したインカムゲインを得やすいのです。
また対象不動産の運用・管理は不動産特定共同事業者に任せられるため、手間をかけずに運用できる点も魅力です。
デメリット
現物不動産投資と比較した場合の不動産小口化商品(任意組合型)のデメリットは、以下の3つです。
・運用収益の悪化による元本割れの可能性がある
・現物不動産と比べると利回りが低くなることが多い
・単独の所有権は持てない
不動産小口化商品(任意組合型)は単独での所有権ではないので、自身で運用をコントロールできません。
また現物不動産に比べて、利回りが低くなるケースが多いとも言われています。
利回りは投資対象物件によっても変わってくるため、よく確認した上で投資するようにしましょう。