チョコレートに秘められた健康効果を知る 明治チョコレートフォーラム

2020.1.6
SENSE
(画像=おたくま経済新聞)
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 チョコレートに秘められた健康効果などについて研究者らが発表する、明治「チョコレートフォーラム2019」が2019年12月13日に都内で開かれました。カカオの成分が持つ様々な健康効果の可能性が示され、チョコレートの新たな一面を知ることができました。

 フォーラムではまず、日本唯一のチョコレートジャーナリスト、市川歩美さんによる近年のチョコレートをめぐる市場のトレンドと、令和初となる2020年のバレンタインデー(金曜日)におけるトレンド予測が発表されました。ここのところ、いわゆる「友チョコ」や、みんなで楽しむためのイベントとして、バレンタインデーは変化しているようです。また特に10代で、娘からお父さんに贈ることも増えているとか。
 
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 帝京大学理工学部バイオサイエンス学科の古賀仁一郎教授からは、これまで特性が明らかにされてこなかった、カカオに含まれるタンパク質「カカオプロテイン」の特徴について、研究結果が発表されました。これまでカカオプロテインは分離・抽出が難しく、研究が進んでいなかったとのこと。
 
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 古賀教授の研究グループでは、アルカリ液で処理することによってカカオプロテインの水溶化に成功。抽出・精製が可能になったことで、カカオプロテインが乳タンパク(カゼイン)や大豆タンパク質より難消化性であることが分かり、食物繊維と同じくお通じ(便通)の改善に役立つのではないかと、実際に臨床試験を行ったそうです。
 
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 臨床試験では、カカオプロテインが豊富に含まれる高カカオチョコレートを食べる群と、カカオプロテインが全く含まれないホワイトチョコレートを食べる群に分け、2週間でお通じの回数と腸内フローラ(細菌叢)の比較を行いました。
 
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 結果、カカオプロテインを摂取した群ではお通じが良くなり、腸内フローラでは、特にフィーカリバクテリウム(フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ)の増加が見られたといいます。フィーカリバクテリウムは1922年にドイツの微生物学者プラウスニッツにより分離・発見された菌で、酢酸を消費して健康に有益な酪酸(短鎖脂肪酸)を産生するため、次世代のプロバイオティクスとして注目されている腸内細菌。
 
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 長寿の人ではその割合が多くなっているため、疾病予防に関与する「長寿菌」との別名もあるそうです。また、お通じの改善により腐敗産物も減少し、お肌の潤いにもカカオプロテインは関係しているようです。
 
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 続いて登壇したのは、糖尿病の臨床研究を長年行ってきた、公益財団法人佐々木研究所(明治時代に佐々木東洋が設立した杏雲堂医院に始まり、特にがんに関する研究で知られる)の佐々木敬理事長。理事長職の傍ら、現在も千葉県の東京慈恵会医科大学附属柏病院の糖尿病・代謝・内分泌内科で、非常勤診療医長を務めています。
 
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 佐々木理事長からは、糖尿病の臨床研究におけるエキスパートとしての観点から、高カカオチョコレートの摂取による生活習慣病の予防について。糖尿病は代謝疾患の一種であり、血中のブドウ糖(グルコース)濃度が調節できなくなってしまう病気です。

 血糖値は絶えず変化しており、特に食事の後は高くなります。ブドウ糖の代謝機能が正常な人の場合は、高くても一定の範囲に収まりますが、糖尿病の場合、その上がり方が激しくなっているのです。
 
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 糖尿病は進行すると動脈硬化や血栓により、失明や手足の壊死、心筋梗塞や脳血管障害など、様々な合併症を起こす厄介な病気。その予防には「低GI」の食生活が有効だといいます。
 
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 GIとは「グライセミック・インデックス(Glycemic Index)」の略で、糖質50グラムを摂取した時の血糖上昇を、ブドウ糖(グルコース)あるいは白米を摂取した場合と比較した指数。ブドウ糖や白米を100として、その相対値で表します。
 
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 日本Glycemic Index研究会の代表幹事も務める佐々木理事長が示した、代表的な食品のGI値を見ると、意外にもチョコレートは40。「糖分」と「糖質」は異なるので、甘さとは無関係なのですが、GI55が低GIの目安とされているので、40のチョコレートは立派な低GI食品といえます。
 
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 オーストラリアでの研究では、同じチョコレートでもカカオの含有率が高い高カカオチョコレートの方が、より血糖値の上昇が緩やかになることも分かりました。GI値はカカオ分79%で29、86%で18と、かなり低いもの。バランス良い食生活が何より大事ですが、高カカオチョコレートは低GI食品だということは覚えておいても良さそうです。
 
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 最後に、愛知学院大学心身科学部健康栄養学科の大澤俊彦特任教授が、愛知県蒲郡市で行ったカカオポリフェノールによる血圧低下の臨床試験について発表。この研究のきっかけは、カカオの産地であるパナマで、伝統的なカカオ飲料を飲むクナ族の人々が、都市に住む人々よりも食塩の摂取量が多いにもかかわらず、血圧が低いという、ハーバード大学の研究だったといいます。
 
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 当時、高血圧など生活習慣病の罹患率が愛知県内で最も高かった蒲郡市。45~65歳の市民を対象に、高カカオチョコレートを1日に5枚(3日で1箱分)、総ポリフェノール量にして約650mgを4週間摂取してもらい、血圧などの変化を分析しました。
 
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 そうしたところ、最高血圧・最低血圧ともに低下が見られ、特に高血圧の人の場合、血圧の低下量が大きかったという結果に。また、善玉(LDL)コレステロールも増加し、血流の改善効果も見られたそうです。
 
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 同時に、脳をはじめとする神経細胞の栄養因子であるBDNF(Brain-Deriverd Neurotrophic Factor=脳由来神経栄養因子)の増加も確認。認知症予防の可能性もあるとのことです。
 
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 このフォーラムで、筆者は血流測定を体験してみました。カカオポリフェノールによる血流改善効果を見るため、フォーラムの開始前に毛細血管の血流を撮影。開催中にカカオドリンクを飲み、フォーラム後で血流に差が見られるか、というもの。
 
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 手の薬指、甘皮部分の毛細血管を顕微カメラで撮影し、ドリンクを飲む前と飲んだ後での血流の様子を比較します。日頃の不摂生に反して(?)、ドリンクを飲む前から血流が良かった筆者の場合、目に見える範囲での血流に変化は見られなかったのですが、ほかの方の様子を見ると、毛細血管を血球がスムーズに流れるようになっているのが確認できました。
 
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 フォーラム後には、東京慈恵会医科大学附属柏病院の湯浅愛栄養士監修による、高カカオチョコレートを使った低GIのカレーが試食できました。実はカレー、ジャガイモなど高GIの食材がいろいろ使われていて、食後の血糖値が上がりやすいメニュー。高カカオチョコレートなど、低GIの食材に置き換えて作られたカレーです。
 
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 アステカ時代からメキシコで飲まれている「ショコラトル」という飲み物も試飲することができました。カカオ豆や唐辛子、トウモロコシの粉でとろみをつけた飲み物で、どこか甘酒のような、体の温まる飲み物です。カカオ豆をすりつぶす、日本でいう薬研(やげん)に相当する伝統的な道具も展示されていました。
 
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 会場にはチョコレートの原料となるカカオの実とカカオ豆も展示。触ってみると、カカオ豆を包んでいる部分はスポンジのようなフワフワの触感で、ゴーヤ(苦瓜)の種を包んでいる部分に似た感じでした。
 
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 チョコレート、特にカカオの成分による健康への効果については、まだまだ研究が始まったばかりで、分からないことが多いといいます。研究が進むにつれ、まだまだ色々な効果が明らかになりそうです。

取材協力:株式会社明治

(取材・撮影:咲村珠樹)

文・咲村珠樹/提供元・おたくま経済新聞

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