医学博士号&MBAを持つ医師が教える「戦略的疲労予防習慣」

2019.9.24
SENSE
(画像=THE21オンラインより)
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日常生活の中で簡単にできる!

眼科医として臨床や研究に携わりつつ、現代人の健康管理に関しても数々の提言を行なっている猪俣武範氏は、できるビジネスパーソンほど「休息上手」だと語る。休みナシの働き方は疲労を蓄積させ、業務効率を落とし、ますます長時間労働に陥る悪循環を生む。仕事の効率を上げるために、日常の中できちんと休息を取る、「戦略的疲労予防術」をうかがった。

運動の状況をウェアラブルデバイスで管理

運動をすると疲れるというイメージがあるかもしれませんが、実は、適度な運動は逆に疲れを取ってくれます。運動不足になりがちな人は、ウェアラブルデバイスを活用して、自分の運動の状況を「見える化」しましょう。そのためには、リストバンド型の活動量計が便利。例えば「Fitbit」は、歩数や消費カロリー、心拍数など、多彩なデータが取れるうえ、「目標歩数までの到達度」「睡眠時間が不十分」などの通知が届いて、モチベーション管理にも最適です。

夏でもシャワーで済まさず湯船に浸かる

「1年を通じてきちんと入浴する人は、しない人に比べて、1.35倍も幸福を感じている」という論文があります。この数字にはまだ検証の余地があるでしょうが、入浴には、(1)血管を拡張させる「温熱作用」、(2)筋肉の弛緩や、筋肉による血管・臓器への圧力の低下を促す「浮力作用」、(3)水圧によって下半身の血圧循環が促される「静水圧作用」の三つの効果があることは確かです。半身浴でも、これらの効果はあります。シャワーで済ませず、湯船に浸かるようにしましょう。

お風呂は「38~39度のお湯に15分」入る

疲れを取るには、体温より少し高い38~39度のお湯に15分浸かるのが理想です。額に汗が出てきたら、それは身体が体温を下げようとしているサインなので切り上げましょう。サウナも同じく低温がお勧め。60度程度の低温で15分入るのが、最も疲れが取れやすい入り方です。岩盤浴も同様。39度の低温の岩盤浴で不安軽減効果が出たという研究結果もあります。

アスリートも実践している「交代浴」をする

アスリートの間で近年人気なのが、温水と冷水に交互に入る「交代浴」。温水に入ったあと、いったん冷水に入ってから、もう一度温水に入ると、血管がより拡張し、疲れが取れると言われています。この簡易版として、「足だけ交代浴」を試してみるのもいいでしょう。方法は、自宅の浴室に桶を用意して、冷水を張るだけ。お湯で温まった足を桶の中の冷水に浸けて、また湯船に戻す、ということを繰り返して疲れを取り除きましょう。

ドライアイになっていないかセルフチェックを

戦略的疲労予防習慣
(画像=THE21オンライン)
人間が感知する全情報のうち、8~9割を視覚情報が占めていますから、目の疲れは業務効率に大きく影響します。中でも注意したいのが、ドライアイ。現在、日本には該当者が約2,000万人もいて、自分では気づいていない「隠れドライアイ」の人も多数います。自分がそうでないか、セルフチェックをしてください。方法は簡単です。「12秒、瞬きが我慢できるかどうか」を試して、できなければドライアイの可能性大です。

パソコンの画面は「伏し目」で見る

長時間のパソコン作業はドライアイの原因に。1時間作業をしたら15分休むのが理想です。また、「伏し目」にすることで、目の乾きを防げます。画面は目から40cm離し、うつむき加減で見られる角度に調整を。顔に冷房の当たらない場所に座ることも大切です。人間は何かを注視すると瞬きが減り、そのぶん、目も乾きがちになりますから、画面に向かうときは意識的に瞬きの回数を増やしましょう。

眼鏡とマスクのダブルで眼を守る

眼鏡をかけると、目の周辺の湿度を保つ効果があります。普段眼鏡をしない人なら、市販の「ドライアイ用眼鏡」を使うのもいいでしょう。眼鏡とマスクを同時に使うと、さらに効果アリ。マスクをすると、鼻の両脇の隙間から暖かく湿った呼気が上に漏れてきて、目の周辺に湿った空気をキープできます。冷房を強く効かせる夏はもちろん、乾燥しやすい秋冬にもお勧めです。

週に1度は「休眼日」を設ける

ドライアイや老眼を引き起こす眼精疲労の対策としては、まず、室内の照度を300ルクス以上にすること。パソコンの画面の明るさは500ルクス以下が理想です。次いで、週末の1日をスマホやパソコンの使用を控える「休眼日」にしましょう。身体だけでなく、目にも休日が必要です。

手軽な「イワシチップス」で血液サラサラに!

ビジネスパーソンが「疲れないための食事」を手軽に摂るなら、コンビニを活用するのが一番です。陳列されている多種多様な食べ物の中から、「この栄養素ならこの食品」という知識を持っておきましょう。例えば、血液サラサラ&脳の疲労回復機能を持つDHA・EPAを摂るなら、サバの塩焼き、サンマの蒲焼き、「イワシチップス」などがお勧めです。

サケのおにぎりでセロトニンを補給

セロトニンは心身を安定させる「リラックスホルモン」。この分泌を促す食材は、おにぎりコーナーで選べます。サケにはビタミンB6が含まれており、セロトニンの合成を促進するので最適。納豆も同じくセロトニン分泌を促進します。おにぎりの他、納豆巻きもいいですし、お寿司なら漬けマグロやネギトロ、サーモンを選びましょう。おでんコーナーにある牛すじやがんもでも、セロトニンを補給できます。

カルシウムを補給して精神を安定させる

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精神を安定させるカルシウムは、シラスなどの小魚で摂れます。その他、カマンベールチーズ、プロセスチーズ、桜エビせんべいなどにも含まれています。カルシウムの吸収を助ける働きをするマグネシウムには、筋肉の働きを調節する作用もあります。ワカメ入り味噌汁、玄米おにぎり、カシューナッツ、ピーナッツ、アーモンドなどに豊富に含まれます。

サラダチキンで疲労抑制

強い抗酸化作用を持ち、疲労を抑制する「イミダゾールジペプチド」。渡り鳥が長距離を飛び続けたり、マグロやイワシが常に泳ぎ続けたりできるのは、この成分の作用によるものです。イミダゾールジペプチドが多く含まれているのは、鶏の胸肉やカツオ、マグロなど。密閉パックのサラダチキンもいいでしょう。

ランチでの「ダブル炭水化物」を避ける

ランチ後に強烈な眠気に襲われる人もいるでしょう。それには二つの原因があります。一つは、血液が消化器官に集中して、脳に回る血液量が低下すること。もう一つは、食事中に上がった血糖値が急激に下がることです。後者については、血糖値の上昇が激しいほど、その後の低下も急激になります。ですから、「ラーメンとライス」「うどんとご飯」など、血糖値の上昇が激しくなる「ダブル炭水化物」メニューはNG。ランチは糖質を抑え、野菜を多めに摂りましょう。

体調が悪ければグルテンを避けてみる

小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質であるグルテンのアレルギーにより、疲労感や思考力低下が起こる「グルテン過敏症」。テニスのジョコビッチ選手もその一人で、グルテン断ちをすることにより、成績の急上昇を実現しました。5人に1人が該当するので、「もしかして自分も?」と思ったら、パンやパスタ、スイーツなど、小麦粉を使う食べ物を避けてみて、体調の変化を見てみましょう。ビールや味噌、醤油も避ければ、さらにいいでしょう。

間食にはアーモンドチョコレートを

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(画像=THE21オンライン)
チョコレートは栄養価が高く、食物繊維も豊富。含有成分の一つであるGABAには、脳や脊髄の神経の興奮を抑えて、イライラの解消や睡眠の改善を促す作用があります。また、ナッツ類はセロトニンを生成する「トリプトファン」というアミノ酸が豊富。ですから、両者が一緒になったアーモンドチョコレートは間食に最適。ただし、糖分の摂りすぎにはくれぐれも注意すること。チョコレートのカカオの比率が高いものを選んで、食べすぎないようにしてください。

お酒を飲むときは「つまみ」に注意

お酒は「慣れれば強くなる」というのは間違い。代謝が速くなるだけで、アルコール許容量は変わりません。それどころか、年齢とともに肝臓は縮むので、酒量も少しずつ減らすのがベター。とはいえ、やめてしまう必要はありません。ただし、つまみには注意しましょう。肉や揚げ物よりも魚やチーズ、納豆を。渇きものはナッツ類に。加えて野菜を意識的に摂れば、生活習慣病の予防になります。

朝食のメニューは「卵かけご飯」が最強

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朝食は毎日摂ったほうがベター。体内時計が目覚めて、規則正しいリズムがもたらされます。「忙しい朝にそんな時間はない」という人には「TKG」=卵かけご飯が強い味方に。ご飯、卵、醤油のみで一瞬で完成し、すぐ食べられます。卵に含まれるトリプトファンは心を安定させるホルモンであるセロトニンを作り出すので、日中の仕事の精度がアップし、疲労の予防や回復効果も期待できます。

「塗り絵」などの単純作業でプチ瞑想を

近年、マインドフルネスの好影響が科学的に証明されつつあります。緊張緩和、肥満抑制、脳の活性化、胃腸の状態の改善など、様々な効果があります。お寺でするような本格的な瞑想でなくてもOK。電車内でボンヤリしているとき、周囲の音が気にならない状態になりませんか? それも軽いマインドフルネス状態です。単純作業でも同様の効果が得られます。例えば「塗り絵」。自律神経が整い、色によるヒーリング効果もあります。

「ハイパワーポーズ」でストレスが減る

的確な判断や勇気の源となるホルモンのテストステロンを増加させ、ストレスホルモンのコルチゾルを減らす、最も簡単な方法――それは「ハイパワーポーズ」をとることです。足を肩幅に開き、両手を腰に当て、胸を張りましょう。これを1日に2分間行なうだけで精神的疲労が取り除かれ、自信が湧きます。毎朝、鏡の前で出勤直前に行なったり、大事なプレゼン前にトイレで行なったりするのがいいでしょう。

《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2019年7月号より》

猪俣武範(いのまた・たけのり)
医学博士
1981年、千葉県生まれ。茨城県育ち。2006年、順天堂大学医学部医学科卒業。08年、東京大学医学部附属病院初期臨床研修医修了。12年、順天堂大学大学院医学研究科眼科学にて医学博士号ならびに眼科専門医取得。12年からハーバード大学医学部眼科スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBA取得。15年より順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教、16年4月より病院機能管理室兼務、同年11月より戦略的手術室改善マネジメント講座助教を併任。日本の医療従事者の海外留学を支援する(一社)JGMS(Japan Global Medical Career Support)を設立。16年に(一社)IoMT(Internet of Medical Things)学会を設立し、代表理事を務める。趣味は硬式テニス。著書に『目標を次々に達成する人の最強の勉強法』『働く人のための 最強の休息法』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。(『THE21オンライン』2019年07月31日 公開)

文・林 加愛/提供元・THE21オンライン

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