知っておきたい身体のニオイの基礎知識

夏間近で、汗などのニオイが気になる季節。制汗剤や消臭スプレーなどを使って対策をしている、というビジネスマンも多いはず。しかし、「身体のニオイ」とひと言で言っても様々で、ニオイが発生する部位や種類によって対策も変わってくる。自分では防止できているつもりでも実はそうではなかった……ということにならないように、マンダムの研究員・原武史氏に、ニオイケアについて教えていただいた。<取材・構成=福井壽久里>

体臭の種類は年代と共に変化する

ビジネスパーソンの中でも、30代半ばから40代のミドル世代は、仕事においてもプライベートにおいても重要な役を担う時期。人と接する機会が多くなることから、ニオイへの意識も高まる年代です。

当社の調査では、実に7割近くものミドル男性が「自分の頭のニオイが気になる瞬間がある」と思っていることがわかりました。しかし、「気にはなっても別段対策はしない」人が4割、という結果も。ニオイが一層気になる夏を前に、その原因と対策についてぜひ知っておいてください。

男性の気になるニオイというと「加齢臭」を連想する人が多いかもしれません。しかし、実は「加齢臭」とは主に、50代以降に発生する枯れ草のようなニオイが特徴の体臭を指す言葉で、男性のニオイ全体を一括りするものではありません。当社の研究によって、男性の主な体臭は年代ごとに特徴的なニオイ、ニオイが発生しやすい箇所、原因物質が変化していくことがわかっています。

主な体臭は20代~30代前半では主にわきから、50代半ば以降では体幹部・背中から発生し、それぞれ「汗臭」「加齢臭」と呼ばれています。2013年にマンダムでは、ちょうどこの中間世代、40代前後の男性に特有のニオイがあることを発表しました。「汗臭」でも「加齢臭」でもない、頭頂部から後頭部にかけて発生する使い古した油のようなこの体臭を、我々は「ミドル脂臭」と名づけました。

枕のニオイの正体は頭部の「ミドル脂臭」

ミドル男性の中には「あなたの枕が臭う」と家族から言われて、ショックを受けたという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのニオイは頭から出る「ミドル脂臭」かもしれません。

そもそも体臭が発生するのは、汗や皮脂(それ自体は無臭)を皮膚上の細菌が食べて吐き出す(代謝する)ことが原因です。

ミドル脂臭の場合、原因物質は「ジアセチル」であることがわかっています。「ジアセチル」は汗の中に含まれる乳酸を、皮膚に常在している菌が代謝することで発生する物質です。この「ジアセチル」と皮脂が酸化して発生する「中鎖脂肪酸」と混ざりあったものが「ミドル脂臭」と呼ばれるニオイです。

「ジアセチル」は30代から40代にかけて発生する量が多くなり、そのぶんニオイが気になります。なぜ40代で増加するのか、その原因はいまだにわかっていませんが、対策を講じることはできます。

シャンプーをするときは二度洗いがお勧め

自分のニオイには、慣れ親しみ鈍感になっているため、気づくことが難しいものです。先述したように枕のニオイをチェックするなどして、早めに対策を取ることがお勧めです。

ニオイ対策というと、ワキや体幹部をケアする方が多く見られます。しかし、ミドル脂臭は頭頂部から後頭部にかけて発生しているニオイですので、身体よりも頭皮のケアをお勧めします。

ケア方法は、まず何よりも頭皮を洗うことが大事。ニオイ物質「ジアセチル」を蓄積させてしまうベタベタとした皮脂を洗い流すことがお勧めです。

洗い方についても、皮脂をしっかりと洗い流す方法をご存知でない方が見受けられますので、詳しく説明します。

シャンプーを適量手に取って泡立て、頭頂部・後頭部を特に入念に指の腹を使って1分半ほど洗います。それを2回繰り返します。一度目のシャンプーで髪に着いた埃などを落とし、二度目で頭皮の脂を落とす意味があります。

ポイントは「ぬり絵をぬりつぶすように」洗うこと。まんべんなく頭皮をしっかり洗うように意識しましょう。「いつも数秒で洗い終えている」という方には長く感じる時間かもしれませんが、このひと手間こそがミドル脂臭に最も効果的な対策方法なのです。

デオドラント製品の前に汗を拭くなどの対策を

シャンプーの他に、頭皮にも使用できるデオドラントスプレーなどを使って、日中もニオイ対策をするとさらに効果的です。ただ、せっかくのニオイ対策も間違えている方が多くいらっしゃるようです。

中でも注意したいのがデオドラント製品の使い方です。デオドラントはそもそも「防臭」するための製品で、ニオイが出るのを防ぐ働きをします。ニオイが発生する前に使用するものであり、事後、つまりニオイが出てから吹きつけても十分な効果が得られません。身体を洗ったり汗をしっかり拭き取ったりして清潔にした後に、デオドラントで防臭するのがその正しい使用方法です。

また、体臭の予防方法として「耳の後ろを洗うとよい」と聞いたことのある方は多いと思いますが、実は耳の後ろからは特に強いニオイは発生していません。主に発生している場所を中心にニオイのケアをしていきましょう。

汗や皮脂などを落とし、清潔に保つことは、どの世代の体臭ケアにおいてもベースとなる最も重要な部分です。そのうえで、自分の年代の体臭の特徴を抑え、ケアすべき箇所に的確なアプローチを行ないましょう。

男性のニオイ対策はもはやエチケット。素敵なミドル男性であるために、正しいニオイの知識を持って「身体のニオイ」に徹底対策していきましょう。

<『THE21』2019年7月号より>

原 武史(はら・たけし)
マンダム基盤研究所 生理解析研究室 主事
1980年、福岡県生まれ。立命館大学大学院修了。理学博士。2005年に㈱マンダムに入社。基盤研究室、ボディケア製品開発室を経て、現在は基盤研究所 生理解析研究室に所属。臭気判定士の資格を所有しており、男性のニオイを実際に嗅いで集めたデータを基に、研究や製品開発に活用している。(『THE21オンライン』2019年07月23日 公開)

文・福井壽久里/提供元・THE21オンライン

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