医師が自ら実践して結果を出した超・簡単なダイエット法

健康が大事なのはわかっていても、運動をしている暇はない――。そんな忙しいビジネスパーソンでも簡単にできる健康&ダイエット法があるという。日本抗加齢医学会専門医の田井祐爾氏が患者にも勧めている、その方法とは?

今は「普通に生きていると太ってしまう」時代

日本人の年代別体格変化(BMIの推移)のグラフを見ると、20代女性には低体重という問題があるものの、男女とも、年代が上がるとともに、肥満指数の上昇がみられます。現代の社会構造の中で普通に生きていると、徐々に太っていくというのが、自然の流れなのです。

しかし、医学的に健康な状態は、身体が成長を終えた20代の体格を、生涯を通じて維持することです。特に特殊なトレーニングをしているのでなければ、体重が増えていくこと自体が問題だと私は考えています。

実際に、100歳以上の日本人を対象にしたセンチナリアン研究を見るといいでしょう(センチナリアンとは100歳以上の人のこと)。100歳を超えて生き残っている人の多くは、普通か痩せ型の体格です。小太りとされるグループの人たちは、100歳まで生き残れないのかもしれません。

こう考えているので、私は太らない食習慣や運動習慣を持つことを指導の中で強調しています。しかし、返ってくる言葉は、「先生のおっしゃることは、よく理解できます。でも、時間がないんですよ」。理想と現実はかなり乖離していて、一般的な食習慣や運動習慣の重要性をビジネスパーソンに説明しても、なかなか実践してくれません。

結局、一つのダイエット法で、すべての人に有効なものはありません。消化や吸収の効率、エネルギー利用の効率などは、人によって様々です。食材に好き嫌いがあるように、ダイエット法の反応性も様々なのです。

しかし、効率や反応性は違えども、生体内での代謝経路は同じなので、基本的な栄養学や代謝の知識を持つ必要はあります。

太らないためには、エネルギーとして摂取する3大栄養素の一つ、「炭水化物(糖質)」の摂り方が重要になると、私は考えています。冒頭でお話ししたように、年代が上がるとともに肥満傾向に向かうのですが、その原因の一つとして、白砂糖などの精製糖や清涼飲料水などに用いられる異性化糖(ブドウ糖果糖液糖など)の摂取増が関連していると考えていて、この精製糖や異性化糖を摂らない「低炭水化物ダイエット」が、私のダイエット法の基本です。

すると、ほとんどの加工食品が食べられなくなり、患者さんから、「日中の仕事中に食べるものがないじゃないですか!」と言われます。しかし、外食をする場合でも、コンビニで買う場合でも、食材を選択しているのは自分です。「食べるものがない!」と思っている人は、欲望のままに食材を選んでいませんか? 自分の欲求を満たす食材がないと思っているだけで、特定の食材が欲しくなる依存に陥っていると考えたほうがいいのです。

昨今の低炭水化物ダイエットブームのおかげで、精製糖や異性化糖を使っていない加工食品も、コンビニや飲食店で選べるようになっています。食べられるものは近くにあるのに、目に入らないだけです。理性的に食材を選ぶ必要があります。

あなたが太っているのには、実は睡眠の質が関係しているかも

食事も運動もちゃんとしているのに、身体が重い、活力が湧かないと感じている方もいると思います。そういう方は、睡眠をなおざりにしていませんか? 睡眠時間を削って、仕事を頑張っていませんか?

睡眠時間を削り、十分な睡眠が取れなくなると、脳機能が低下して思考が巡らず、記憶力も低下、凡ミスが増えて仕事のパフォーマンスが落ちます。内分泌代謝、免疫系、様々な生体機能への悪影響も生じ、生活習慣病、心血管疾患、そして、発がんのリスクも高まります。

正常な代謝が失われると空腹感のコントロールも難しくなり、太りやすくなるため、ダイエットがうまくいかない原因になります。

では、どのくらい眠ればいいのか、疑問に思われるでしょう。最適な睡眠時間にも個人差があります。「不眠症」という病名がありますが、不眠症の診断基準に睡眠時間は含まれません。日中の眠気やパフォーマンスの低下を感じるかどうかがポイントです。

経験上、どのくらい寝たら、翌日、爽快なのか、既に皆さん知っていると思います。しかし、同じ睡眠時間でも、前日に飲み過ぎたり、疲れて帰宅してソファで眠ったりしたら、翌日、疲れが残っていた、なんて経験、ありませんか? 9~10時間寝ても疲れが取れないのであれば、病気が隠れていることもあります。

これらはすべて、睡眠の質が低下したためで、睡眠時間が足りないからではありません。逆に言えば、短時間の睡眠でも、質を高めることで、代謝が良くなり、ダイエット効果が期待できます。

睡眠の質を高め、パフォーマンスを向上させる「夜はちみつ」

この睡眠の質を高めるために、就寝前のスプーン1杯のはちみつを、私は勧めています。

低炭水化物ダイエットの指導をしながら、糖質であるはちみつの摂取を勧めるというのは、一見、矛盾した話ですが、単に糖質の摂取が好ましくないという話ではなく、重要なのは、糖質摂取により分泌されるインスリンの分泌パターンです。

インスリンは同化ホルモンで、脂肪合成と同時に、タンパク合成も進めます。極度の低炭水化物ダイエットによる低インスリン状態では、筋肉内のタンパク合成(筋肉合成)が進まないだけでなく、血糖を維持するために筋肉内のタンパク質が分解されてしまうため、身体の回復に重要な睡眠時には、適度なインスリン分泌があるほうが回復力が高まります。筋肉再生だけに留まらず、免疫力も、適度なインスリン分泌があるほうが回復します。睡眠を取ることで、病気からの回復が早まるわけです。

そして、もう一つ、低血糖に陥ると、血糖を維持する様々なホルモン(アドレナリンなど、交感神経ホルモンもあります)が活性化して、睡眠の質の低下に繋がり、回復力が損なわれます。

就寝前にはちみつを摂り、安定した血糖とインスリンの分泌を促すことは、質のいい深い睡眠に繋がり、より脂肪が燃焼して、身体が回復するというわけです。

夜遅くまで仕事をして帰宅したビジネスパーソンには、夕食を控え、スプーン1杯のはちみつを摂って寝ることを、私はお勧めします。

文・田井祐爾(たい・ゆうじ)
田井メディカルクリニック院長
香川医科大学(現・香川大学医学部)医学科卒。日本抗加齢医学会専門医、プライマリ・ケア認定医、高気圧酸素治療専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。肥満に対するダイエット指導や生活習慣改善の指導を積極的に行ない、“健やかに長生き”をサポートしている。自身も以前は84kg以上の“デブ医者”で、「夜はちみつダイエット」をきっかけにマイナス24kgに成功。今ではフルマラソンを3時間台で走破、ウルトラマラソン完走、とアクティブな毎日を送っている。著書に『人生を変える 夜はちみつダイエット』(わかさ出版)がある。(『THE21オンライン』2019年06月06日 公開)

提供元・THE21オンライン

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