都会の喧騒に疲れて、どこか自然豊かな場所でのびのびと暮らしたいなあと思ったことがある方は多いはず。

今、地方移住が何かと話題です。

地方移住というと…以前は定年を迎えた方がセカンドライフで田舎に住む、というイメージが強くありました。しかし最近は若年層の人気も高くなってきており、ライフステージの変化や自分の理想とする生き方を理由に地方に引っ越す、といったパターンが増えてきたようです。

例えば、「自然の多い田舎で子育てをしたい!」「大好きな山登りをたくさんするために山に近い場所に引っ越す」などですね。

認定NPO法人である「ふるさと回帰支援センター」では、人気の移住先ランキングを毎年発表しています。このランキングは毎年行われていますが、例年上位に入る、根強い人気を誇る県があります。なぜ何年もランキングで上位を独占できるのか…?上位に入った県の人気の理由を探ってみました!

2019年2月に発表されたばかりの最新移住ランキングはこちら!!

1位:長野県

長野県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:2位
2017年:1位
2018年:1位

2年連続1位を獲得したのは長野県。移住ランキングで総じて人気の高い、上位常連とも言える県です。他の県を大きく引き離しています。

人気の秘密は…

◎移住の先輩がたくさんいる

これは個人的にとても大切なことだと思うのですが、長年移住ランキングの上位にいる長野県なだけに、移住の先輩がすでにたくさん住んでいます。見知らぬ土地へ飛び込む時の疎外感を少なからず緩和してくれますし、アドバイスも色々ともらえそうで心強いですね。

◎日本国内トップレベルの雄大な自然!

なんと長野県は、県の面積の約20パーセントが自然公園になっているそうです!加えて全国最多の百名山の山々があり、自然の宝庫でもあるのが大きな理由の一つなのでしょうね。

◎土地が広く希望にあった場所が見つかる

縦に長く広大な土地を持つ長野県。「ウインタースポーツがしたい!」と北部に移住したり、「思い切り雄大な自然の中に住みたい!」と南部に移住したりと、個人のニーズに答えてくれる選択肢があります。個々の願望を比較的広く受け入れてくれるのも、人気の理由ではないでしょうか。

◎自治体の支援が手厚い!

住まい、子育て、仕事などを合わせてなんと396もの移住支援制度があります。

創業支援も充実していて、相談窓口での相談、助言、創業支援などの情報提供などを積極的に行っているようです。また、IT事業者を対象に、最長6カ月間住居とオフィスがおためし的に提供される「おためしナガノ」など、起業・創業支援に特化した取り組みは長野県ならではです。

若者~年配者と、それぞれのニーズに合わせた移住支援を行なっているのも長野県の大きな特徴です。10代~20代の若者向けに就職先の相談会、30~40代向けに転職セミナー・Uターン助成金などの相談会、そしてセカンドライフ世帯に向けた「農ある暮らし入門研修」など、異なるニーズにしっかりと答えてくれています!

2位:静岡県

静岡県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:3位
2017年:3位
2018年:2位

年々ランキングを上げてきており、最近注目されている移住先が静岡県。2018年は2位にランクアップ。特にUターン移住者が多く、若者人気が高まってきています。

人気の秘密は…

◎過ごしやすい気候

温暖な気候で、冬は東京よりも約2℃暖かく、夏は約1℃涼しいのが静岡。そのため空調代も安く済みます。

◎首都圏、関西圏へのアクセスが良い!

東海道新幹線の停まる駅がもっとも多い静岡県。また第二東名高速道路が開通したことで、車での移動もさらに便利になりました。行きたい時に都会に出ていけるくらいの田舎がちょうどいいということなのでしょうか…。

◎安く家が買える

実は、持ち家比率が東京と同じくらいの静岡県。

しかし、2016年の地価平均と坪単価平均を見てみると、
 

東京都 86万4328円/m2(地価平均)、285万7282円/坪(坪単価平均)

静岡県 8万6853円/m2(地価平均)、28万7117円/坪(坪単価平均)

と、東京よりもかなり安い金額で、より広い家を建てることが可能です。

平均気温・平均年収・人口構成比など、多くの経済数値や意識数値のデータをみてみると、静岡県は平均的のものが多くありました。極端な個性がないことで、移住初心者の方にもハードルが低く、移住先として選びやすい県ということなのかもしれませんね。

3位:北海道

北海道
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:圏外
2017年:16位
2018年:3位

2017年の16位から、大幅に順位を上げ3位にランクインした北海道。2016年10⽉より相談窓⼝を設置し、その認知度が⾼まったことや、道内⾃治体がセミナーを開いたり「北海道ウィーク」として週替りで相談窓⼝での出張相談会(相談デスク)を開催するなどの積極的なプロモーションを展開した結果といえます。

人気の理由は…

◎環境がいい!

冬は寒いと思われがちな北海道ですが、実は室内温度の高さが日本一。最近は省エネ意識の高まりで設定温度低めになってきましたが、それでも本州から移った人は、その暖かさに驚くはずです。夏は湿度が低く過ごしやすいです。夜になると気温が下がりますが熱帯夜が続く本州よりは快適です。

◎食べ物がおいしい

漁業や農業が盛んな北海道では、北海道産の良質で安い食べ物が手に入ります。庶民レベルでも食材の素材は素晴らしいです。日々食べる食べ物も良質で安価です。

◎いつでも北海道旅行できる

ちょっとした休日があれば、北海道旅行ができます。北海道行きの航空券の心配をする必要がありません。花や紅葉など季節により、また天候により見られる日が変わってくるものであっても、天候や状況を見てすぐに行くことができます。

4位:山梨県

山梨県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:1位
2017年:2位
2018年:4位

毎年、移住ランキング上位常連県が山梨県です。

人気の理由は…

◎都心へのアクセスがGOOD!

特急電車に乗れば90分ほどであっというまに東京です。アクセスの良さというのは、見知らぬ土地に住む移住者にとってとても魅力的ですよね。移住の下見&移住体験もハードルが低く気軽に実践できます。将来的にはリニアモーターカーの駅が建設される可能性もあり、よりアクセスが良くなる可能性を秘めています。

◎自然に恵まれている

富士山をはじめ、南アルプスなどの山々に囲まれた山梨県はとっても自然が豊か。思い描いていた田舎暮らしをそのままのイメージで再現できます。フルーツをテーマにしたテーマパーク「笛吹川フルーツ公園」や、日本屈指の渓谷を保有する「西沢渓谷」など、自然がつくる美味しい果実や美しい景観に恵まれているのも山梨の大きな魅力です。

◎移住セミナーが頻繁に行われている

移住相談会や空き家見学ツアーなど、月に一回ほどの頻度で移住セミナーが行われています。その結果、「移住しやすそう」「移住者の受け入れに積極的な県」という認知の拡大に繋がっているのかもしれません。

◎空き家バンク制度がある

使われていない空き家を資源として、移住を希望する人に貸し出しをする制度があります。移住に最も必要な“家”を手軽に見つけられるのは魅力的ですね。

以前はシニア世代の移住者が多かった山梨県ですが、ここ数年は30代~の子育て世代の移住者が多いそう。自然豊かな環境でのびのびと子育てをしたい、と移住してくるファミリー世代が多いようです。一方で、それを受け入れる県の支援体制がきっちり出来ており、需要と供給の関係がしっかり整っているのも人気の理由なのかもしれません。

5位:新潟県

新潟県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:8位
2017年:5位
2018年:5位

少しずつランクを上げてきている新潟県。昨年に引き続き、2018年もベスト5にランクインしました。

人気の理由は…

◎首都圏に常設している移住相談窓口が多い

移住に力を入れる新潟県は、首都圏に常設している移住相談窓口が多く4箇所と、全国で最多。セミナーや相談会も年に30回以上開催しており、PR活動が盛んです。相談できる場所が多くあるというのは、心強いですね。

◎里山移住体験で移住のイメージを掴める

新潟の自治体は、多くの移住体験ツアーやプログラムを開催しています。例えば、「アキハスムプロジェクト」は里山と田園風景が豊かな新潟市秋葉区の移住促進プログラム。親子で一緒に体験できる「Akiha森のようちえん」や「Akihaマウンテンプレーパーク」など、多彩な体験ができます。

6位:広島県

広島県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:4位
2017年:4位
2018年:6位

2014年は18位、2015年は6位、そして2016年は4位と、じわじわ~とランキングを上げてきているのが広島県ですが今年は6位にランクイン。

人気の理由は…

◎都市部と自然が非常に近い地形

瀬戸内海や豊富な緑に囲まれた県でありながら、広島市などの大きい街には1時間もかからずに行くことができます。朝一で新鮮な魚介を採り、午後には街でショッピングといったことも簡単にできてしまうんですね!

◎若者のU・Iターンを促進

広島県安芸太田町では、平成26年に「がんばるビジネス応援補助金」が整備され、街の活性化に繋がる事業を考えている方を対象に経費の補助を行なってくれます。このほかにも、移住や定住する方向けに家やお金の面での様々な補助があります。

◎婚活や子育てにまで関する取り組みが盛ん

地域ぐるみで婚活をサポートする取り組み「こいのわPROJECT」から、広島県の子育て応援ポータルサイト「イクちゃんネット」の展開、そして「イクボス企業同盟」を結成するなど、とにかく子育てに関する取り組みが盛んです!切れ目のないサポートや地域ぐるみでの子育て意識の改革は、とてもありがたいですね。

県庁所在地である広島市は人口約118万人と、中国・四国地方では最大の政令指定都市でありながら、海や山の自然に囲まれ、離島も多くあります。「海暮らし」「山暮らし」「街暮らし」と、多彩な移住先を選べるのも広島の魅力ですね。

7位:福岡県

福岡県
ここ3年間の移住ランキングの推移
2016年:5位
2017年:6位
2018年:7位

2016年の移住ランキングから急激にランクアップした福岡県ですが今年は7位に留まりました。

人気の理由は…

◎交通の便が良い

九州の北に位置する福岡県は、九州・アジア各地の玄関口であり、どこに出かけるにしてもとてもアクセスが良いですよね。福岡空港は博多駅から電車でなんと5分!バスやモノレールをはじめ、JRや西鉄など移動がとてもしやすい県です。

◎食が豊か

とれたての海の幸に加え、内陸には山間部や平野が広がる福岡県は、果実などの農産物も豊富。博多ラーメンやもつ鍋など、福岡ならではの郷土料理も魅力的ですね。

◎世界でも認められた住みやすい都市

イギリスロンドン発のグローバル情報誌「モノクル(MONOCLE)」が発表した、「住みやすい街ランキング 2016」では、福岡が12位に選出されました。東京・大阪よりも物価が安く、自然も多く住みやすいのが特徴です。

100万人都市である福岡市を保有する福岡県。都市部と地方、それぞれのいいとこを取った住みやすそうな県です。上記の理由に加え、“地方移住に興味はあるけれど、そこまで田舎ではなく、程よい地方都市に住みたい”という若者の支持を受けてのランクインになったのではないか?と筆者はよんでいるのですが、いかがでしょうか。

希望移住先の自治体支援を調べると人気の秘密がわかるかも⁉︎

今回の移住先人気ランキングを見てみると、上位に入った都道府県の多くの自治体が、移住者のための様々な支援に取り組んでいました。

ランキングにまとめた以外にも、島根県では就職ガイダンスや雇用環境の整備など、就職にかなり力を入れていたり、前年は20位圏外だった佐賀県も⼥性向けセミナーや起業セミナー開催に加え、市町村の出張相談会や就職相談の機会を増やし10位にランクインしています。

移住を検討するのなら、地方自治体の取り組みにも目を向け、より住みよい地域への移住を目指したいですね。来年の地方移住ランキングも楽しみです!

文・もかちん/提供・Fledge

【関連記事】
子どもの「金融教育」は何歳から始めるのがベスト?
40代に始めておきたい「相続対策」 早めにやっておきたい2つのこと
子供1人の教育費は進路によって3,000万円も違う 私立か公立か、留学するか……?
「子どものMBA費用を払う親」が増加傾向?なかには自宅まで売る親まで
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング(PR)